耐熱性のポリ袋に食材・調味料を入れ、袋ごと湯せん調理するパッククッキング。災害時にライフラインが止まった際のレスキュー調理法として覚えておくと便利です。調理ポイントと、ごはんやカレーライスなどの基本レシピをお伝えした前編に続き、今回は、たんぱく質や食物繊維を補えるおかずレシピ、おやつのレシピをお届けします。また、私がパッククッキングを実践して「非常時はもちろん、普段の食事にも使える!」と感じた食材も紹介します。

食物繊維・ミネラル補給レシピ(副菜)

今からご紹介する副菜3品のうち、春雨を使うレシピ以外は湯せん不要。ごはんとおかずを湯せん調理している間に、パパッと作れます。主食(ごはんなど)と主菜(タンパク質メインのおかず)に、1品だけでも副菜(野菜や海藻のおかず)を加えて、避難生活でも栄養バランスを気にかけてもらえると嬉しいです。

レシピ③切り干し大根のツナマヨネーズ和え

《材料》2〜3人分

・切り干し大根:ふたつかみ(15g)  *キッチンバサミで適当な長さに切っておく

・海藻ミックス(乾燥):ひとつかみ(3g)

・ツナフレーク(缶詰・ノンオイル):1缶(70g)

・マヨネーズ:弁当用パック2袋(12g)

・食酢:大さじ1(15g)

画像: ツナ缶は汁ごと活用しやすいノンオイルをチョイス。

ツナ缶は汁ごと活用しやすいノンオイルをチョイス。

《作り方》 調理時間:15分

材料をすべてポリ袋の中へ入れ、袋の上から手でよく揉み込み、味を均一になじませる。

そのまま15分放置。切り干し大根と海藻が食べやすい柔らかさに戻れば完成!

画像: 材料ぜんぶポリ袋にぶっこみ、もみこむだけ!めちゃ簡単!

材料ぜんぶポリ袋にぶっこみ、もみこむだけ!めちゃ簡単!

画像: 完成です。切り干し大根+ツナに、海藻の彩りがアクセントに!

完成です。切り干し大根+ツナに、海藻の彩りがアクセントに!

切り干し大根は水分を含むと約4倍、カットタイプの乾燥海藻類は約12倍にボリュームアップします。ツナ缶は油漬けタイプだと水分が足りず、十分に戻らない可能性があるので、汁ごと使えるノンオイルタイプがおすすめ(オイル感が欲しい場合は仕上げに亜麻仁油やゴマ油をちょい足しすると風味もアップします)。缶詰の漬け汁を活用する場合は、食品の原材料名欄に記載されている漬け汁の原材料にも注目して選びましょう。

画像: 私は、漬け汁が野菜スープ、帆立貝エキスのものを選びました。

私は、漬け汁が野菜スープ、帆立貝エキスのものを選びました。

レシピ④大豆のなめたけ&ふりかけ和え

《材料》2〜3人分

・蒸し大豆(水戻し不要のドライパック):1/2缶(60g)

・コーン(缶詰):大さじ3(50g)

・なめたけ:大さじ2(30g)

・赤紫蘇ふりかけ(ゆかり):1缶(70g)

・マヨネーズ:小さじ1(2g)

*赤紫蘇ふりかけ→塩昆布や青菜系のふりかけなど好みで変更可

画像: なめたけは開封後は要冷蔵。その日中に使い切りましょう。

なめたけは開封後は要冷蔵。その日中に使い切りましょう。

《作り方》 調理時間:5分

材料をすべてポリ袋の中へ入れ、袋の上から手で優しく揉み込み、味をなじませれば完成!

ポリ袋の中で混ぜるだけ、拍子ぬけするほど簡単。えのきのトロミが全体のまとめ役となり、するっと食べやすいです。

画像: トロミとコーンの自然な甘み、赤紫蘇の塩加減がいい感じ。

トロミとコーンの自然な甘み、赤紫蘇の塩加減がいい感じ。

レシピ⑤春雨とミックス豆の酢の物

《材料》2〜3人分

・春雨(鍋用):2玉(20g)
*棒状の春雨の場合はポリ袋の中で適当な長さにキッチンバサミで切っておく

・海藻ミックス(乾燥):ひとつかみ(3g)

・戻し水:100ml(春雨と海藻が浸る程度)

・ミックスビーンズ(ドライパック、ひよこ豆・青えんどう・赤いんげん豆):1袋(50g)

【甘酢】
・食酢(米酢など):大さじ3(45g)
・砂糖:大さじ2(18g)
・塩:少々(0.5g)

・ごま油:小さじ1(4g)
・白ごま:小さじ1(2g)

画像: 使い慣れた調味酢があればそれをベースに大さじ1程度の食酢を加えると酢が効いた甘酢になります

使い慣れた調味酢があればそれをベースに大さじ1程度の食酢を加えると酢が効いた甘酢になります

《作り方》 調理時間:10分(冷ます時間は除く)

ポリ袋に食酢、砂糖、塩を合わせ、手で軽くもんでなじませ、5分程度置いておく。
(砂糖が酢に自然に溶けるのを待ち、その間に別のポリ袋で春雨と海藻を戻します)

別のポリ袋に春雨、海藻ミックス、戻し水を入れ、袋の中の空気を抜きながら上部を結んで、沸騰した湯(沸騰後の余熱の湯でも可)で約2分湯せんして柔らかく戻す。ポリ袋を湯から引き上げ、火傷に気をつけながらフォークや楊枝で袋の下の方に数カ所穴を開けて湯を切り(捨て湯は透明カップなどで受けると良い)、袋を開け(キッチンバサミで切ってもOK)、冷ましておく。

①のポリ袋に②の春雨と海藻を加え(①のポリ袋の中で②のポリ袋をひっくり返して投入するとスムーズ)、ミックスビーンズとごま油を加え、袋の上から軽くもんで和える。食べる時に白ごまを散らせば完成!

画像: 袋ごと紙皿に盛ると完成イメージが分かりにくかったため、器に盛り直しました。

袋ごと紙皿に盛ると完成イメージが分かりにくかったため、器に盛り直しました。

春雨の戻し湯はぬめりが強いので、このレシピではポリ袋を2つ使い分けます。可能であれば戻した春雨と海藻を少量の水で洗ってザルなどで水切りしてから加えると食感がアップします。自宅以外の避難生活では難しいかもしれませんが、普段の食事で作る際は、ひと手間かけてください。

また、普段の献立に取り入れる際は、ミックスビーンズ→ハム・キュウリ・薄焼き卵の千切りに変えると中華風酢の物のバンサンスー(拌三絲)になります。冷蔵庫で冷やすとして食べると、より美味しいです。

おやつ&朝食に!湯せん調理で作る蒸しパン

疲れがたまると、甘いものが欲しくなりますよね。ホットケーキミックスで手軽に作れる蒸しパンのレシピを2種類お伝えします。1つは、りんごジュースとドライフルーツ入りでビタミンと食物繊維を補給。もう1つは、バナナと、牛乳の代わりにスキムミルクを使い、タンパク質&カルシウム補給の蒸しパンです。できたてホカホカは、おやつに喜んでもらえそうです。朝食としてもおすすめです。時間が経って冷めると少し固くなりやすいものの、乾燥しないようラップに包んでおけば、常温保存で翌日までなら美味しく食べられそうです(夏は早めに食べるのがおすすめ)。

レシピ⑥アップルティー風味の蒸しパン

《材料》2〜3人分

・ホットケーキミックス:1/2袋(90g)

・りんごジュース(100%濃縮還元):2/3本(90ml:粉とほぼ同量)

・製菓用ドライフルーツ(レーズン):1/2袋(40g)

・紅茶の茶葉:ティーバック1個分(2g)

画像: レシピ⑥アップルティー風味の蒸しパン

レシピ⑦バナナミルクの蒸しパン

《材料》2〜3人分

・ホットケーキミックス:1/2袋(90g)

・バナナ:1/2本(50g)

・スキムミルク:大さじ2(12g)

・水:90ml(粉とほぼ同量)

画像: レシピ⑦バナナミルクの蒸しパン

《作り方》調理時間:30分

①生地を作る
【アップルティー風味】ポリ袋の中にホットケーキミックス、ドライフルーツ、紅茶の茶葉を入れ、袋の上を閉じて軽くふり混ぜて水を加える。袋の上から揉んで粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。
【バナナミルク】ポリ袋の中に皮をむいたバナナを入れ、手で押さえるようにつぶす。水、スキムミルクを加えて揉み混ぜ、さらにホットケーキミックスを加え、よく揉んで粉っぽさがなくなるまでしっかり混ぜる。

画像: 左がバナナミルクの生地、右がアップルティー風味の生地。

左がバナナミルクの生地、右がアップルティー風味の生地。

②湯せん蒸しする
2種類とも、ポリ袋の中の空気を抜きながらねじり上げ、上の位置でしっかりと結ぶ。鍋に容量の1/2程度の水を入れ、鍋底に耐熱皿または布巾を敷き、強火で沸騰させる。沸騰したら①を入れ、吹きこぼれないよう鍋蓋を少しズラし、火加減を中火〜弱火にして20分間加熱(途中10分程度で、ヤケドに注意しながらポリ袋の天地をひっくり返すと蒸しムラを防ぎやすい)。火を止め、きちんと蓋をした状態に戻して10分間蒸らす。蒸しパンはしっかり沸騰させてから湯せん調理を始めるのがポイント。

③袋から取り出し、食べやすい大きさに切って完成!
袋のまま食べることもできるが、紙皿などに取り出して切り分ける方が食べやすい。

画像: キッチンバサミで切り分けました。

キッチンバサミで切り分けました。

湯せん調理でも蒸しパンが作れることに、ちょっと感動。バナナミルクはバナナの果肉で生地がしっとり柔らかめ。バナナの香りと自然な甘みが感じられます。アップルティー風味は弾力のある仕上がりで、レーズンの酸味のある甘みと食感、紅茶の茶葉の風味がアクセントに。どちらも美味しいです!

ほかにも、オレンジジュースやにんじんジュースを使ったり、細かく刻んだりんごの果肉やチョコ、クルミ、インスタントコーヒーなど、いろいろな味変レシピを楽しめそう。子どもたちと一緒に作れば、気分転換にもなりそうです。

パッククッキングに使える!おすすめ備蓄食材

最後に、今回パッククッキング実際に試した私が、「これは便利!」「普段の食事にもアレンジできる」と感じた、おすすめの備蓄用食材を紹介します。

画像: 今回、たくさん試して「リピート確定」と思えた備蓄食品の“私的トップ10”がこちら。

今回、たくさん試して「リピート確定」と思えた備蓄食品の“私的トップ10”がこちら。

植物性タンパク質◆大豆の加工食品

昔ながらの凍り豆腐(高野豆腐)をはじめ、乾燥大豆、レトルトやドライパックの大豆やミックスビーンズなど。軽量で長期保存できる点も魅力です。大豆は、肉に引けを取らない良質なタンパク質。その証しである必須アミノ酸がバランス良く含まれています

参考までに、写真下の缶タイプの加工大豆(中央上)には、1缶あたり16.4gのタンパク質が含まれており(*1)、これは1日に必要な成人女性のタンパク質の推奨量50g(*2)の約1/3に相当します。
*1)使用した加工大豆食品に記載の栄養成分表示より
*2)『日本人の食事摂取基準2020年版 八訂』より

画像: ほかにも、きな粉、乾燥おから、乾燥納豆、味噌、醤油など・・・日本は豆加工品が豊富なことを改めて実感。

ほかにも、きな粉、乾燥おから、乾燥納豆、味噌、醤油など・・・日本は豆加工品が豊富なことを改めて実感。

また、大豆には疲労回復を促すビタミンB1、体内の水分を調整する働きがあるカリウム、カリウムと協力して筋肉や内臓を動かすカルシウム、腸内環境を整える食物繊維も多く含まれている優等生です。災害時だけでなく、ぜひ普段の食事にも取り入れてくださいね。

動物性タンパク質◆ツナ缶、サバ缶、魚肉ソーセージなど

ツナ缶(主原料はマグロやカツオ)やサバ缶、魚肉ソーセージなど魚類の加工食品も、高タンパク質の食品です。血流改善を促す機能性が注目されている、オメガ3(n-3)系脂肪酸(DHAやEPA)が多く含まれます。特に、骨ごと軟らかく加工されているサバ缶は、カルシウムなどの栄養成分を丸ごととれることも利点です。なお、湯せん調理には、油漬けよりも汁ごと使える水煮がおすすめ。また、個人的に肉の加工食品が好きではないため、今回積極的に試さなかったのですが、レトルトの鶏肉(ささみ)のほぐし肉が美味しかったので、わが家の備蓄リストに加えたいと思いました。

カルシウム◆スキムミルク

常温保存が難しい牛乳の代用として、スキムミルク(脱脂粉乳)をおすすめします。牛乳から水分と乳脂肪を除いて濃縮・乾燥してあり、「スキムミルク1:水9」の割合で溶かせば、牛乳と同じように使えます(低脂肪なので味は淡白です)。また、牛乳100gと、スキムミルク10gを90gの水で溶いたものを比較すると、含まれるカルシウムとタンパク質はほぼ同等(*3)で栄養面も優秀。普段の料理でも、シチューやクリーム煮に入れたり、パンやお菓子作りに使ったりと、活用しがいのある食材です。
*3)『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』の記載データより筆者が計算

画像: 動物性タンパク質とカルシウムの補給源にストックしたい!

動物性タンパク質とカルシウムの補給源にストックしたい!

食物繊維やビタミン補給源◆野菜・きのこ類・ナッツ類の加工食品

干し野菜、干しキノコ、干しヒジキ、乾燥わかめ・海藻、なめたけ、いりごま、トマトジュース、野菜ジュースなど。特に、干し野菜と干しキノコは、食物繊維が豊富で、天日干しすることでビタミンDなどの栄養価が高まると考えられています。茹でこぼさない湯せん調理では、それらの成分やうまみが戻し水にも溶け出すので、効率的に摂ることができて一石二鳥です。トマトジュースや缶詰のトマトも、抗酸化作用のあるリコペンや旨味成分のグルタミン酸が凝縮されているので、おすすめです。

画像: 海藻類は微量ながらミネラルも補給できますね。

海藻類は微量ながらミネラルも補給できますね。

他にも、玉ねぎ、じゃがいも、さつまいも、にんにく、しょうが、にんじん(夏場は要冷蔵)など、常温で日持ちする生野菜を、備蓄しながら日常的に食べては買い足す「ローリングストック」を日頃からしておけば、非常時の食事にも取り入れることが容易になります。

なお、災害時に備えた食品ストックについて、農林水産省から便利なリーフレットが公開されていますので、そちらも参考にしてください。

災害時に備えた食品ストックガイド(PDF)

まとめ

今回、未公開レシピを含め、パッククッキング料理を18品試作し、家族に食べてもらいました。「これはイケる」「ちょっと食べにくい」などと率直な感想を言い合いながら、改めて普段の食事のありがたさを感じるとともに、災害時の食品ストックについて家族で考える良い機会になりました。本記事がみなさんにとっても、災害時の食事や食品ストックについて考えるきっかけになれば嬉しいです。

【関連記事】→ごはんもおいしく炊ける!パッククッキング湯煎のコツ

※参考文献:松本仲子監修『調理のためのベーシックデータ 第5版』女子栄養大学出版部,2018年、下村道子・和田淑子編著『新調理学』光生館,2018、公社日本フードスペシャリスト協会編『調理学 第2版』建帛社,2020、久保田紀久枝・森光康次郎『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017年

文◆ 野村ゆき(栄養士・編集ライター)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題にかんする情報を中心に分かりやすい記事をお届けします。今回の企画で、干し野菜や干しキノコ作りに興味が湧いてきました。いつか記事でお届けしたいです!

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