今回は「令和のデ・ジ・キャラット」プロジェクトとして復活を果たしたキャラクターコンテンツ「デ・ジ・キャラット」についてご紹介します。元はアニメグッズなどを手掛けるブロッコリーのマスコット的なポジションとして誕生した経緯を持ちながら、なぜ今に至るまで支持を集めているのでしょうか。その理由を筆者の視点から解説していきます。

デ・ジ・キャラットが今もなお支持される理由

歴史を辿ると、1998年から続く老舗タイトルである「デ・ジ・キャラット」シリーズですが、なぜここまで長きにわたって親しまれているのでしょうか。

時代の変遷に合わせて変化できる高い柔軟性

「デ・ジ・キャラット」は、主人公・でじこのストレートな萌え要素と、シニカルで毒舌なキャラクター性のギャップが、心をつかんで離しません。さらに、キャラクターグッズなどの販売を行うショップのマスコットならではの、オタク文化に関するパロディやオマージュの引き出しの多さも、当時人気を集めました。

画像: でじこの萌え要素と毒舌なキャラクター性のギャップがたまりません。 digicharat-reiwa.com

でじこの萌え要素と毒舌なキャラクター性のギャップがたまりません。

digicharat-reiwa.com

これらの要素が、時代ごとの流行を取り入れ、自虐ネタも含む多彩なアプローチで適合できる柔軟性の高さを、コンテンツ全体に与えています。そのあたりが、今なお廃れず受容されている理由ではないかと推察できます。

近い性質を持つコンテンツとして挙げられるのが、かつて週刊少年サンデー誌上で連載されていた「かってに改造」「さよなら絶望先生」といった久米田康治氏の作品や、氏のアシスタントとしてキャリアをスタートし「ハヤテのごとく!」などのヒットを生み出した畑健二郎氏の作品などでしょう。余談ですが、サンデーで先日スタートした久米田康治氏の新作「シブヤニアファミリー」の1話掲載時には、畑健二郎氏連載の「トニカクカワイイ」のタイトルが「ハヤテのごとく!2」にすげ替わるなど、ブラックジョーク気味のパロディに徹する姿勢は今なお貫かれています。

上述したコンテンツ内でも、「流行やサブカルチャーに対するパロディ・オマージュ」が作品全体で行われています。パロディ対象を知っている人は文脈で笑い、知らない層は作品をきっかけに対象を知る、といった読み方が行われていました。

当時の内容には時代性を感じるものの、同じフォーマットを現代に転用すれば、一気に「新しさ」を感じることができるのです。その構造こそが、「デ・ジ・キャラット」が色褪せずに迎え入れられるメカニズムなのではないでしょうか?

90年代~ゼロ年代に生まれた「データベース消費」という形

また、「デ・ジ・キャラット」に関しては、批評家の東浩紀氏が自著「動物化するポストモダン」内で論じています。多数の萌え要素(メイド服・ネコミミ・鈴・しっぽ)をコラージュ的に散りばめたキャラクターであるとした上で、90年代後期以降のサブカルチャーにおける消費のあり方を「データベース消費」と定義し、情報の集積そのものがコンテンツ化しつつあることを指摘しています。

これは、同じく批評家の大塚英志氏が、80年代カルチャーを「物語消費」(商品やグッズの消費行動が単体の個性ではなく、世界観やストーリーの文脈から行われること)と定義したことに対し、90年代以降はどう異なるかを論じたものとなります。

詳細に関しては省略するとして、「デ・ジ・キャラット」の個性や特徴、展開される内容などを今一度鑑みると、たしかに前述した柔軟性の高さは「データベース消費」的なフォーマットであることが分かります。

画像: 「デ・ジ・キャラット」の柔軟性の高さは「データベース消費」的なフォーマットに当たります。 twitter.com

「デ・ジ・キャラット」の柔軟性の高さは「データベース消費」的なフォーマットに当たります。

twitter.com

物語消費の時代には「世界観がキャラクター・アイテムを生み出す」(物語が先)という構図が取られていましたが、データベース消費の時代においては「キャラクターが世界を形作る」(情報が先)であるといった違いが見られます。

では、現代はどのような時代であるかと言えば、それは「シェアリング消費」の時代ではないかと考えられます。SNSをはじめとする情報網のさらなる発達をきっかけに、それまでオタク的属性を保有していなかった人々も、通常のドラマや映画などを消費する感覚で、アニメ・ゲームといった文化に親しむようになりました。もはや、メインカルチャーとサブカルチャーの垣根は存在しなくなりました。

また、好きなキャラクターやコンテンツに対する形容から「嫁」といった所有的な文脈が取り除かれ「推し」という言葉にすげ変わりました。「萌え」は「尊い」などの語彙に変化し、すべては「自分が良いと感じたモノの魅力を広め、逆に他の良さを受け取る」ための意味へと移行しつつあります。従来のオタクが取っていた「所有」という行動は、ネット上や友人間での「シェア」へと転化したとも取れるでしょう。

つまりは、「良いものを独占し、自己の中で良さを堪能する」といった在り方は既に一般的ではなく、「良いものを他者と分かち合うために探索する」といったコミュニケーションツールとして、各種コンテンツが存在する時代になりつつあるのです。

まとめ

今回は「令和のデ・ジ・キャラット」について、その歴史を一から紐解きながら、魅力や人気を集めた背景などを整理してお伝えしました。消費行動の在り方が大きく変化した現代において、「デ・ジ・キャラット」のポジションはどのように変化するのでしょうか。「ショップのマスコットキャラクター」として誕生したでじこは、元から他のモノを「宣伝・紹介」するガイドとしての役割を備えています。そんな性質こそが、SNSによる「シェアリングの精神」が浸透した今、改めて求められているのかもしれません。

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