【美味しさか時短か】電気(無水)鍋と電気圧力鍋はどちらが有利?できることに違いはある?

調理家電

最近の家電メーカーは、「電気(無水)鍋」もしくは「電気圧力鍋」の新製品をこぞって発売しています。電気鍋と電気圧力鍋の違いは何か?と聞かれてすぐ答えられる人は少ないかもしれません。今回は代表モデルともいえるシャープの電気鍋「ヘルシオ ホットクック KN-HW24G」とシロカの電気圧力鍋「おうちシェフPRO」で比較してみました。

電気(無水)鍋と電気圧力鍋、違いはどこ?

最近の家電メーカーは、必ずと言っていいほど「電気(無水)鍋」もしくは「電気圧力鍋」の新製品を持っています。火付け役は、日本ではシロカ、世界的に見るとティファールかも知れません。ついこの間のことです。今では持っていないメーカーが珍しい状態になってしまいました。今回はこの2つ、それぞれの代表モデルを出し、どの位違うのかを見てみたいと思います。代表モデルはシャープの電気鍋「ヘルシオ ホットクック KN-HW24G」とシロカの電気圧力鍋「おうちシェフPRO」です。

電気鍋代表シャープ「ヘルシオ ホットクック」

ヘルシオ ホットクックKN-HW24G

jp.sharp

「ヘルシオ」の名が冠された電気鍋「ホットクック KN-HW24G」(以下ホットクック)です。電気鍋ですから、普通の鍋の熱源がガスから電気に代わった家電です。まずガスの次にくるとされるオール電化、ITクッキングヒーターとの違いから説明します。この2つ違いは熱源の違いとセンサーです。熱源は電気鍋がヒーター、ITクッキングヒーターがIH。パワーはITクッキングヒーターの方が上です。ポイントはもう一つのセンサーです。ITクッキングヒーターで使われる、通常の鍋にはセンサーはついていません。しかし、ホットクックには温度センサーと蒸気センサーが付いています。ITクッキングヒーターより、より効率よく料理ができると言うわけです。

ちなみに、この正確な温度センサーでサラダチキンのような低温調理もラクラクです。

加えて、家電の鍋は、密閉度を上げることができます。鍋にフタをして密閉度をあげるには、よほど精度良く作らなければなりません。いわゆる「無水」鍋がそれです。それに対し家電は、ジャー、炊飯器などを初め、密閉度の高い家電に挑戦してきました。逆にそうでないと、理論通りに行かないことが多く、効率も悪いです。こんな感じですから、ホットクックは「無水料理」もできます。

あと、料理に対しての火加減は「マニュアル」でも「オートメニュー」でもできます。「ほったらかし調理」とも呼ばれ人気です。が、しかし鍋の味を一定にするには、かき混ぜてやる必要があります。と言うことで「ホットクック」には「かき混ぜ」システムが付いています。

この「オートメニューは、どんどん増えて」います。このため、基本メニューは本体が、追加メニューはクラウドから自分の好きなメニューを引っ張ってきます。これはオーブンレンジにも使われている技術で、そろそろスタンダードと呼ばれるべき技術です。

そして、「予約」もできます。夏場など、生は危ない、腐ります。どうするのかと言うと、傷まないよう初めに火を入れます。電気鍋は便利ですが、調理時間の短縮はできません。しかし、この予約を使うとかなりうまく時間を使うことができます。

考えられることをてんこ盛りに入れた感じです。

電気圧力鍋代表 シロカ「おうちシェフPRO」

おうちシェフ PRO

www.siroca.co.jp

一方の代表はシロカの「おうちシェフPRO」です。

テストしてみましたが、欠点がほぼありません。出来過ぎの感さえあるモデルです。電気鍋との違いは「圧力調理」ができることです。電気圧力鍋は、時短に強いのですが、出来立ては、味のしみ込み薄いのです。私は作ったあと、それなりの時間放ったらかします。味を優先させると、だんだん時短からずれていくような気持ちます。
ここは私の推測ですが、味が染み込むのが遅いのは、分子量に関係あるのではないかと思います。分子量の小さい水は、どんどん入って行くのですが、分子量の大きい分子で構成される味の染み込みはゆっくりと言うわけです。

シロカは、これを研究し、対抗策を見出しました。圧力鍋は圧力が予定値に達した時、圧力を抜き、また圧力をかける、を繰り返します。こうして圧力を一定に保つわけです。要するに圧力が脈動するのですが、これが味がしみ込まない原因であることを突き止めたのでした。この圧力の脈動を徹底して排除、対応した結果、調理の終わり=美味しい料理になっています。それが「おうちシェフPRO」です。

あと、調理後の自動減圧システムも特徴です。圧力鍋の圧力を抜くとき、「怖い」と思う人は多いと思います。それが無くなるわけですが、ちょっと時間もかかります。逆な言い方をすると、知らないうちに1気圧になっています。静かに、平常に、戻るのです。

逆に電気鍋にあって電気圧力鍋にないのが、かき混ぜシステム。圧力調理はかき混ぜる必要がないので、省かれています。しかし、低温、無水、予約などはできます。

電気鍋か電気圧力鍋どちらがいい?

おいしさをとるか、時短をとるか

2つを比較すると、最後の差として残るのは、単純に「圧力料理」ができるのか、どうかの差です。そう言う意味では、同じ買うなら「電気圧力鍋」と言うことができます。ただ、シロカのように微に入り細に入り詰めたモデルは少なく、よくあるのが、「××種類もの調理法を持ちます」と書かれているもの。電気鍋も、圧力鍋もそうですが、基本的に同じ動作ができます。このキャッチはほぼ意味は意味を持ちません。

あと、電気圧力鍋のレシピは、時短に意識が向いていることが多く、余り美味しいのに巡り合いません。レシピはあくまでも参考。適当に作った方が美味しい時も多々あります。

一方、電気鍋は、時短より「美味しさ」を優先させた形になりますので、レシピも美味しいものが多いです。

あと、電気鍋は時短ができずに不便そうですが、放ったらかし調理ができますし、予約をうまく使えば、時短的な使い方も可能です。

要するに、2つを比較した時、カタログなどで書かれているほどの差はないと言うことです。

自動メニューが後で付け加えられるのは魅力的ですが、基本レシピで条件を押さえておけば、如何様にもアレンジが効きます。最先端と言われる「AI」ですが、「炊飯」というお米を炊くと言う決まった行為と違って、料理という幅が広い分野では火加減を極めるのは難しいと思われます。今は、メーカーの自動メニューアップデートがせいぜいです。その分、メーカーは、メニュー決めサポートに力を入れているのが実態です。

まとめ

料理の基本手法は、「焼く」「茹でる」「炒める」「揚げる」「煮る」「和える」「蒸す」の7種。逆に言うと「電子レンジ」でなければできない料理、「圧力鍋」でなければできない料理というのは、現時点では存在しません。

また圧力鍋は、調理の必要上からではなく、1679年フランスの物理学者ドニ・パパンが、気圧と沸騰の研究の派生物として作ったのが元祖。極めて大型だったそうです。以降、使われたのは業務用。時短はプロの料理人に必要不可欠なのが理由です。

家庭に入ったのは、1938年、アメリカで家庭用の「自動密封鍋」が特許出願されてから。この妙な名前は、第二次世界大戦で戦地に送るために野菜の缶詰が不足、このため各家庭で作り置きするために考案されました。圧力鍋は加圧により内部温度は100℃以上になるので、バイ菌が死滅するのがいいとされたようです。つまり味がどうこうより、「時短」「保存」「殺菌」など、「利便性」「安全性」より生まれています。

そこまで考慮すると、「味」の電気鍋、「利便性」の圧力電気鍋と言えるかもしれませんが、電気圧力鍋は電気鍋としても使えますので、どちらか一つと言うと「圧力電気鍋」が有利です。私は、このカテゴリー差ではなく、自分が好きなメーカーの製品をチョイスした方が、サバサバするのではと思います。双方とも、放ったらかし調理ができますし、上手に使えば超便利です。一台あるとかなり楽になる。そこはお約束します。

シャープ 水なし自動調理鍋 2.4L レッド系SHARP ヘルシオホットクック KN-HW24G-R
たっぷり作れる2〜6人用
加熱の進行に合わせた、かきまぜ。Wセンサーで絶妙な火加減に調整。
無線LAN接続で買った後もメニューが増やせる。
¥66,200
2021-11-19 14:40
シロカ 自動減圧機能付き電気圧力鍋 おうちシェフ PRO [スマートプレッシャー技術(高圧力95Kpa×自動減圧)/1台10役/レシピ本付き/かしこい予約プログラム] SP-2DP251 グレー
¥15,800
2021-11-19 14:41

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。

調理家電暮らし・生活・ペット
シェアする
多賀一晃(生活家電.com主宰)

企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。

多賀一晃(生活家電.com主宰)をフォローする
特選街web

PR

大切な愛車を守る“最後の砦”!データシステム『カースティールブロッカー』で乗り逃げを阻止する!【盗難防止】[PR]
ひと昔前と比べれば減少傾向にはあるものの、依然として自動車盗難が各地で発生している。ここ数年の盗難被害台数は、1年間で5000台以上! なかでも、プリウス、ランクル、レクサスLX、アルファードなどのトヨタ車に盗難事例が集中している。大切な愛...

PRニュース