カッテージチーズを料理に活用してみた
良い意味でクセが少ないカッテージチーズは、幅広い料理に活用しやすい点もメリット。実際に試したアレンジレシピを、いくつかご紹介しましょう。
◆活用レシピ①カプレーゼ
スライスしたトマト、大葉やバジルなど好みのハーブ、自家製カッテージチーズを交互に盛り付け、全体にオリーブオイルをまわしかけ、塩、こしょうを振れば完成。私は今回、カッテージチーズ作りで余ったレモンも搾っていただきました。今までは、カプレーゼを作るときにわざわざモッツアレラチーズを買っていましたが、カッテージチーズもあり!と新発見。牛乳とトマトが冷蔵庫にあれば、思い立ったときにすぐ作れて手軽です。

半分にカットしたプチトマトをカッテージチーズで和えても◎
◆活用レシピ②鶏のカッテージチーズ焼き
カッテージチーズを、マヨネーズやパン粉とあわせた調味料として活用。鶏肉や生鮭にのせて魚焼きグリルやオーブントースターで焼けば、ひと味違う洋風のおかずに変身します。カッテージチーズがふんわりとした食感になり、香ばしさも加わって食べやすいです。
《作り方:2人分》
①鶏肉(ささみ:2切)の筋を取って食べやすい大きさにそぎ切りし、酒(大さじ1)、塩・こしょう(少々)で下味をつけ、アルミ箔の上に並べる。
②カッテージチーズ(50g)、パン粉(大さじ3)、マヨネーズ(大さじ1)、にんにくみじん切り(ひとかけ分)、パセリみじん切り(大さじ1)をボウルで合わせ、①の上にのせる。
③魚焼きグリル(中火)またはオーブントースター(900W目安)で10分程度焼く。焦げ目がつき、竹串を刺して中まで火が通ったことを確認できたら器に盛り付ける。

鶏肉は、もも肉や胸肉を使っても美味しいです!
◆活用レシピ③ホエイ(乳清)の水キムチ風浅漬け
カッテージチーズ作りで余ったホエイのほとんどは水分ですが、微量の乳酸やたんぱく質、乳糖などを含んでいて、そのまま飲むとほのかな甘みを感じます。牛乳と混ぜればラッシー風、ハチミツを加えてお湯や炭酸を加えたらレモネード風(食酢の場合は酢ネード?)のドリンクに。シチューやカレーの具材を煮込む際に加えるとコク増しにもなります。今回、ホエイを使って水キムチ風の浅漬けを作ってみたところ、美味しかったのでお伝えしますね。
《作り方: 6人分》
①白菜、大根、人参、きゅうりなど好きな野菜(合計400g目安)に塩(大さじ1=総重量の約4%)を振り、15分程度置く。
②野菜から出てきた水分を手で搾り、ジッパー付き保存袋へ入れる。
③冷ましたホエイ(約200ml)、にんにくスライス(1かけ分)、しょうが千切り(1かけ分)、タカノツメ輪切り(1本分)を野菜の入った保存袋に加えてジッパーを閉じ、冷蔵庫で半日以上寝かせる。

材料は、野菜、塩、ホエイ、にんにく、しょうが、タカノツメ。写真は野菜に塩を振ってあります。

野菜の水気を搾って保存袋に入れたら、空気をできるだけ入れないようにして閉じます。

翌日以降に食べるのがオススメ!野菜にホエイの漬け汁がなじんで美味しいです。
◆活用レシピ④手巻き寿司
最後は、カッテージチーズとホエイ(乳清)の両方を活用できる、お寿司アレンジです。無病息災を願う節分、子どもの健康を願うひな祭りのごちそうにいかがでしょう。具材のサーモンやツナに多く含まれるビタミンDは、カッテージチーズに含まれるカルシウムの吸収率を促す相性の良い組み合わせでもあります。

主食(エネルギー源)と主菜(たんぱく源)も兼ねられて一石二鳥!
《作り方: すし飯2合分》
①ホエイ入りの水で、すし飯を炊く。洗ったお米をザルにあけて30分以上置く(お米の吸水のため)。炊飯器に洗ったお米とホエイ(冷ましたものを350ml使用)を入れ、水を加えて2合分の水加減に合わせて炊く。
②炊き上がったらすし酢(大さじ2〜3杯、好みで加減を)を全体に回しかけ加え、じゃもじでほぐしながら合わせる。ホエイに含まれる乳糖の甘みで、炊き上がったごはんに甘みがあるので、砂糖入りのすし酢でなく、食酢だけ加えても良い。

ホエイ入りごはんは、ほのかな甘みとツヤがあり、お焦げができやすいようです。
③すしの具材(刺身用サーモン、鯛、ツナ、カニかま、大葉など)とカッテージチーズを器に盛り、好みの具材を海苔で巻いていただく。しょうゆ、マヨネーズなど好みの味付けでどうぞ。
すし飯を炊く際のホエイの量は、多いほど甘味が増すので、後で加えるすし酢は砂糖なしでも十分甘味を感じられますが、焦げやすいというデメリットもあります。逆に、ホエイの量が少ないと甘味が弱くなるので、後で加えるすし酢の砂糖の量を加減してくださいね(巻き寿司のすし酢は、米1合あたり食酢大さじ1+1/3+砂糖大さじ1/2+塩小さじ1/3程度が目安)。

節分に、手巻き寿司の丸かぶりはいかが?

カッテージチーズと具材をすし飯に混ぜれば、ちらし寿司も作れます!
まとめ
後日、マグカップ1杯分だけ、電子レンジを使ってカッテージチーズを作れないだろうか?とスボラ心をくすぐられ、検証してみました。マグカップ約1杯(150ml)の牛乳を電子レンンジを60℃設定にして加熱し、大さじ1杯(15ml)のリンゴ酢を加え、そのままスプーンで静かに5分程度かきまぜたところ……。カッテージチーズ35g程度が作れました(青山先生直伝レシシピよりも、チーズの滑らかさは劣りました)。温度設定機能がある電子レンジをお持ちの場合は、ご参考に。

マグカップ×レンチンでも分離しました!
日本人の多くが不足傾向にあるカルシウム。現在、成長期の子どもの必要量をフォローするため、1日の必要量の約半分が学校給食で補われています(※2)。つまり、給食がない日や、小学校・中学校を卒業するなど給食との縁が薄れてからは、家での食生活が将来の健康を左右する“骨貯金”のカギになります。長引くコロナ禍のお家ごはんで、カルシウムを毎日摂るようにしていただけたら嬉しいです。
※2)学校給食法法に基づき文部科学省から示される学校給食摂取基準より
次回は、自家製カッテージケーキを使った「お菓子編」として、チーズケーキ作りをお伝えします!
レシピ協力(カッテージチーズ)◆食品学専門家 青山佐喜子さん
博士(学術)・管理栄養士・製菓衛生師・食生活アドバイザーで、短期大学の食物栄養学科などで長年にわたり多くの栄養士を育成。数多くのオリジナルレシピを教え子たちに伝えてきた。筆者も教え子の一人。
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参考文献:谷口亜樹子編著『食品加工学と実習・実験』光生館,2020、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017年、杉田浩一ほか編『新版 日本食品大事典』医歯薬出版株式会社,2017年、飯田薫子・寺本あい監修『一生役立つ きちんとわかる栄養学』西東社,2019、足立香代子監修『決定版 栄養学の基本がまるごとわかる事典』西東社,2015、香川明夫発行『調理のためのベーシックデータ第5版』女子栄養大学出版部,2018
文◆ 野村ゆき(栄養士・編集ライター)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題にかんする情報を中心に分かりやすい記事をお届けします。今後も時々、牛乳活用レシピやカルシウム補給をテーマにした記事を発信して、重要性を伝え続けたいと思います。