〈異色の人気ゲーム〉25万本超の大ヒット「NEEDY GIRL OVERDOSE」の妖しい魅力とプレイ上の注意点

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ゲーム配信プラットフォーム「Steam」上で今話題を集めている作品『NEEDY GIRL OVERDOSE』の特異な魅力をお伝えします。インディーズ的に少数精鋭のスタッフ陣で制作されたアドベンチャーゲームが、日本のみならず海外からも注目を集め、2022年2月現在25万本を超える大ヒットに!その理由とは?ゲームを実際にプレイした感想も含め、お伝えします。

話題のゲーム「NEEDY GIRL OVERDOSE」とは?

インターネット的質感、2次元キャラ的イメージ、パステルカラー、キラキラしたアクセサリ、推し…。突然ですが、近頃SNSで、いわゆる「病みかわいい」「平成レトロ」的質感のイラストやアニメや漫画、ゲームなどについての投稿を見かける機会が増えたような気がしないでしょうか?

もとより2000〜2010年代頃にサブカルチャー的な立ち位置で勃興した文化が、コロナ禍を経て、水面下で急成長を遂げている印象です。

そんな時代の雰囲気を抽出しつつ、原点となった90年代~00年代的文化の流れも汲んだあるゲームが、異例のヒットを遂げています。タイトルは『NEEDY GIRL OVERDOSE』。つまりは「必要とされたい」という承認欲求や、「過剰さ」を求める現代の空気感をパッケージングしたような、妖しくも独特の魅力を持つアドベンチャー/育成ゲームです。

「最強の配信者」を支え、手助けするゲーム

同作はPCゲームプラットフォーム「Steam」にて、2022年1月21日よりダウンロード販売されている作品です。ジャンルは「配信者育成アドベンチャー」とされ、動画配信者を目指す女の子「あめちゃん」を、彼氏/彼女を意味するネットスラングの「ピ」として支えていく…といった内容。

「たまごっち」などの育成ゲームの要素と、いわゆる美少女ゲーム的なアドベンチャー作品の要素を組み合わせたようなイメージです。

画像はゲーム内SNSの様子。「裏垢」文化など、絶妙なリアルさが…。

全体的に、インターネット黎明期のようなユーザーインターフェースやレトロ感のあるドット絵、一見チープな印象を受けるも厚みのある音楽などが散りばめられています。曖昧にネットサーフィンをしているような感覚でプレイできる、独特の仕上がりです。

にゃるら氏とAiobahn氏のコラボ作品

本作のシナリオを担当したにゃるら氏は、Twitterやnoteなどで注目を集める人気ライター。インターネットや二次元文化への造詣も深く、サブカルチャー関連の書籍刊行や漫画原作などの仕事で支持を集めています。

兼ねてから氏がエッセイやSNS上で、その偏愛ぶりについて言及している美少女ゲーム等からの影響をベースに、黎明期から追い続けているVTuber関連のトピックや、2020年刊行のインタビュー『承認欲求女子図鑑 ~SNSで出会ったヤバい女子たち~』などを経て得た、若年層のリアルな声などから着想を受け、ゲームの制作に向かっていったとされています。

ゲーム音楽を担当したのは、Webシーンを中心に電子音楽界で支持されているプロデューサー・Aiobahn氏。にゃるら氏とインターネット上でも親交が深く、また近しい趣味趣向を持つことから本作へ参加したようです。海外を拠点として大きく活躍する同氏のクラブ・ミュージック文脈に留まらない才が発揮されており、レトロゲーム特有の味わい深いチープなサウンドを現代的にアレンジしています。

実際にプレイしてわかったアイロニカルな世界観

基本のプレイ画面。ドット絵を基調としたデザインに現代的要素などを加えたUI。コマンドの中には、何やら不穏な選択肢も…。

基本のプレイ画面。中には不穏な選択肢も…。

ライトな入口とディープな面白さ

少し個人的な話に脱線しますが、筆者はFPS・格闘ゲームといった「即時性」「瞬発力」などが求められるレジャーが不得手なため、アニメや音楽といった趣味はあるものの、そこと近い距離に位置するゲームについては門外漢でした。

しかしながら、本作では「マウスのクリック」以外の行動はなく、また選択肢を選ぶシンプルな操作でプレイできるため、気づけばどっぷりと周回プレイを続けてしまいます。ライトな入口とディープな面白さを備えているのも特徴です。

「もしもゼロ年代の空気感のまま、文化や技術が現代的にアップデートされたら」といった空想を表現したような、世界観のバランスも見事です。決して、鬱屈さだけに飲み込まれない配慮も感じられます。

世界観のバランスも見事な出来。鬱屈さだけに飲み込まれないような配慮もあります。

メインの「はいしん」時にはコスプレで「超てんちゃん(超絶最かわてんしちゃん)」に変身。魔法少女系作品の影響が見られるシーケンスは、ゲームで是非ご確認を!

制作陣の真摯な姿勢と熱意が詰まっている

ゲーム内のステータスを示す「たすくまねーじゃ」の数値には「フォロワー/ストレス/好感度/やみ度」といった項目が設定され、パラメータの変動に応じて展開などが変化するマルチエンディング方式となっています。シンプルながら、多様な面白さ・隠し要素が見られるのも、話題を集めている理由の一つでしょう。

事実、制作会社のWSS playground公式からも「各種サイトでのゲーム実況」が推奨されており、リアルと連動しながらコンテンツを盛り上げていく「ユーザー参加型」な動きも見られます。

Twitter: @infowssJP tweet

twitter.com

筆者は昨年、Discordを介してクローズドで行われた体験会にも参加しており、実はベータ版の段階から同コンテンツをチェックしていました。ゲーム性の軸は変わらないまま、大きくシステム面が拡充された点に驚かされました。

発売延期などの制作における苦況も観測していたため、それだけに仕上がりへの感動もひとしお。「良いもの・納得できるものを全力で創る」という、制作陣の真摯な姿勢や熱意の詰まったゲームだと断言できます。

サブカルチャーのダークな表現にご注意を

とはいえ、スタート画面の警告文からも読み取れるように、本作と密接に関わっているのはサブカルチャーのダークな要素。ヒロインの「あめちゃん/超てんちゃん」は、我々プレイヤーの行動次第でさまざまな行動を取るようになります。

本気にしない、真似しない、現実とゲームの区別をつける。強い点滅にも注意!

場合によっては、プレイヤーが予想だにしない展開を迎えることも…。未プレイの方の楽しみを損ねてしまうことを考慮して多くは語りませんが、本当にさまざまなことが起こります。限られたUIを逆手に取る各演出は必見です。

ちなみに、筆者は初回プレイ時「真面目にしっかり支えよう」とした結果、「好感度」が上限に達し、その深すぎる愛を受けてゲームオーバーになってしまいました。人を支える難しさを、架空の世界で感じることになるとは…。ライトながら奥深く、ディープながら口当たりの軽い、他にない仕上がりです。

ゲームを終える際には、こんなメッセージも。

まとめ

昨今のサブカルチャー的トレンドや、インターネットを軸に育まれてきたコンテキストを継承した話題作『NEEDY GIRL OVERDOSE』の魅力をお伝えしました。VTuber文化の発展やコンテンツ消費のサブスクリプション化なども後押しし、オタク文化はもはやオルタナティブなモノではなく、メインストリームに浮上しつつあります。かつて渋谷・原宿・秋葉原など、街の雰囲気と呼応しながら育まれてきたストリートカルチャーとの融合も見られる現代的なエッセンスを覗いてみたい、と思う方は是非、容量・用法を守ってお試しください。

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松島広人(フリーライター)

Webディレクターとしてコンテンツの企画・編集・校正・執筆・SEOを担当する傍ら、フリーランスのWebライターとしても精力的に活動。業種・業界を問わず多数のジャンルを手がける。ポップカルチャー・サブカルチャーにも精通しており、幅広い知識を活かしたライティングを得意とする。

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