ピルってどんな薬?
ピルには女性ホルモンのエストロゲンとプロゲステロンが含まれ、服用することで、卵巣や子宮を休ませることができます。
ピルには女性に嬉しい効果がいっぱいあります。
自費ピル(OC)と 保険適用のピル(LEP)の違いは?
保険適用のピルは、月経困難症の治療を目的として処方されるものです。避妊目的のピルは保険適用外となるため、自費処方となります。
どちらのピルにも、生理痛軽減、経血量コントロール、ニキビ治療、PMS改善などの副効用もあります。
費用はどのくらいかかるの?
保険適用外の避妊用ピルは、クリニックによって費用設定は異なりますが、1シート(1ヶ月分)おおよそ2,000〜3,000円程度。
保険適用のピルは1シート800〜2,600円程度です。
保険診療の場合は、これに加えて初診料と再診料がかかります。
ピルって太るの? 血栓症などの副作用が心配
ピルを飲むと太るといわれるのは、低用量ピルが開発される以前に使用されていた中用量ピルと呼ばれるピルのことです。
中用量ピルは女性ホルモンの含有量が多かったために、飲むと副作用で太るといわれました。
低用量ピルでは太る心配はほぼありません。
また、血の塊ができて血管が詰まってしまう血栓症という病気は、ピルの副作用として発症する可能性はあります。
そうはいっても、ピルを飲んでいる場合の血栓症のリスクは、日本の報告では年間に1万人あたり1・11人とまれ(※)であり、大きな心配は不要といえます。
ただし、服用時は足の痛みや腫れ、胸の痛みといった血栓症の症状が出ていないかには注意しましょう。
※ Sugihara K, et al.,Thromboembolism as the adverse event of combined oral contraceptives in Japan. Thromb Res 2015; 126: 1110-1115(2)
どのような種類があるの?
ピルには、ホルモンの含有量がそれぞれ異なる、3つのタイプがあります。
①超低用量ピル
ピルの中でもエストロゲンの量がとくに少ないタイプ。日本では月経困難症の治療目的として保険適用になっています。
②低用量ピル
月経困難症などの治療目的で使われる場合もありますが、日本では主として避妊目的で使われているものです。
③中用量ピル
低用量ピルよりもエストロゲンの量が多いピル。現在では避妊目的よりも、月経移動などで使用されることが多いものです。
一相性ピルと三相性ピルの違いとは
1シート21錠分あるピルの成分の、ホルモン量がすべて同じものが「一相性ピル」。1シートの中で、ホルモン量が3段階に分けられているものが「三相性ピル」です。
PMSやニキビ治療には一相性ピルの服用がオススメです。
一相性ピルはホルモンの変動がないため、体調の変化が起きにくいといわれています。保険適用のピルはすべてこのタイプです。
いっぽうで三相性ピルは自然なホルモン変動に近く、含むホルモン量を時期によって変化させていきます。
避妊目的のピルにはこのタイプもあります。
連続投与が認められているピルは?
日本で連続投与が認められているのは、月経困難症の治療目的のピルだけです。
この治療目的のピルは最長120日間服用できるタイプと、最長77日間服用できるタイプの2種類があります。
連続投与によって、生理の回数を減らすことができるため、生理前後の不快な症状を起こす頻度を減らすことができます。
生理がわずらわしいと思っている方にはオススメです。

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なお、本稿は書籍『子宮にいいこと大全 産婦人科医が教える、オトナ女子のセルフケア』(KADOKAWA)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。メンタル、体調、肌、髪ツヤといったあらゆる調子が日によってコロコロ変わって困る……。ホルモン変動による変化にただ身をゆだねているのは、もったいない。自分の体にしっかりと向き合っていくことで「振り回される」から「コントロールする」に変えていくことができます。子宮と上手に付き合うためのコツは、性と健康の充実に欠かせません。自分の子宮のこと、性器のこと。毎日顔を鏡で見て、お手入れしたりお化粧したりするのと同じように、自分の体の一部として見たり触れたりすることを後ろめたく思う必要はありません。本書は「人には聞きにくい」悩みとその対処法を、最新のアイテム活用法も織り交ぜて紹介しています。
