牛乳から作る自家製カッテージチーズを活用した、チーズケーキ作りをご紹介します。挑戦したのは、ベイクドチーズケーキ、スフレチーズケーキ、レアチーズケーキの3種類。私自身、クリームチーズを買わないとチーズケーキは作れないと思い込んでいましたが、自家製カッテージケーキでもひと手間かければおいしく作れることを実感。しかも、カッテージチーズは低脂質で罪悪感少なめのチーズケーキが作れる点も嬉しいポイント。牛乳を大量消費したいときなどに、ぜひお試しください。

火を使わず作れて簡単!レアチーズケーキ

画像: 火を使わず作れて簡単!レアチーズケーキ

「レアチーズケーキ」は焼かずに冷やし固めるのが特徴です。火を使わず作れて、材料も少なく、3種類の中で最も手間いらず。色白ケーキなので、好みのジャムやフルーツをトッピングすると“映える”のも楽しいです。また、ベイクドとスフレは生地を焼くため砂糖の量が少ないとパサつきや膨らみの悪さの原因になりますが、焼かずに作れるレアチーズは砂糖を控えめにしても問題ありません

【材料】カップケーキ6個分

*赤字=ベイクドと材料や量が違うもの

・カッテージチーズ…200g

・砂糖…72g(グラニュー糖大さじ6)※粒子が細かく溶けやすいグラニュー糖がおすすめ

・生クリーム…100ml

・レモン汁…15〜30ml(大さじ1〜2:好みで加減を)

粉ゼラチン…5g(小さじ2弱)

…15ml(大さじ1)(粉ゼラチンをふやかす用)

画像: 材料は最もシンプル。「卵」「薄力粉」いらず。固まらせずムース状態でOKなら、粉ゼラチン+水も不要。

材料は最もシンプル。「卵」「薄力粉」いらず。固まらせずムース状態でOKなら、粉ゼラチン+水も不要。

【作り方】調理時間:約15分(冷蔵庫で固める時間除く)

粉ゼラチンに水を加え、ふやかす。

画像: 板ゼラチンでもOK。ゼラチンによって扱い方が異なるのでパッケージなどを参考に。

板ゼラチンでもOK。ゼラチンによって扱い方が異なるのでパッケージなどを参考に。

生クリームを7分立てにする(ボウルに氷水を当てて冷やしながら泡立てると良い)。

画像: やわらかい角が立ってすぐ折れるくらいが、7分立ての目安。

やわらかい角が立ってすぐ折れるくらいが、7分立ての目安。

ふやかしたゼラチンを60℃程度のお湯で湯煎して溶かす。

ボウルにカッテージチーズを入れてクリーム状になるまでヘラでよく混ぜ、砂糖を加え、なめらかになるまで混ぜる。さらに、レモン汁、③(溶かしたゼラチン)を加え、よく混ぜる。

画像: 砂糖のダマが残らないようチーズになじませます。

砂糖のダマが残らないようチーズになじませます。

②(7分立ての生クリーム)と④(チーズ+砂糖など)を合わせ、ヘラでよく混ぜる。

画像: このまま食べてもチーズムースみたいで美味しいです!

このまま食べてもチーズムースみたいで美味しいです!

型に生地を流し入れ、冷蔵庫で1時間以上冷やす。

画像: クッキングペーパーを敷紙代わりにしいたココット(左)、そのままのココット皿(中央)、そのままのシリコンカップ(右)で試作。

クッキングペーパーを敷紙代わりにしいたココット(左)、そのままのココット皿(中央)、そのままのシリコンカップ(右)で試作。

レアチーズケーキのできあがりです!

画像: 型の底と側面をぬるま湯で少し温めると、外しやすくなります。

型の底と側面をぬるま湯で少し温めると、外しやすくなります。

画像: 型にクッキングペーパーを敷いて作ったレアチーズ。ちょっと水分が抜けた感じに(味はおいしいです)。

型にクッキングペーパーを敷いて作ったレアチーズ。ちょっと水分が抜けた感じに(味はおいしいです)。

材料を混ぜて、冷やし固めるだけ。3種類のチーズケーキのうち、簡単さでは、レアチーズケーキが群を抜いています。ゼラチンで固めるので生クリームをわざわざ泡立てなくても良いのですが、カッテージチーズにふわっとしたクリーミーな食感がプラスされるので、私は泡立てて加えることをおすすめします。また、型を使わずグラスなどに作って、そのままスプーンで食べる場合はゼラチンなしでも大丈夫です(チーズムースとして楽しめます)。

3種類のチーズケーキを3通りの焼き型で試作した感想

ベイクドチーズケーキ(写真左の縦列)、スフレチーズケーキ(写真中央の縦列)、レアチーズケーキ(写真右の縦列)を、それぞれシリコンカップ(写真手前の横列)、ココット皿・敷紙なし(写真中央の横列)、ココット皿・敷紙あり(写真奥の横列)で作り比べをし、完成した全てのケーキがこちら!

画像: いずれも、おいしそうにできあがりましたが、お味はいかに!?

いずれも、おいしそうにできあがりましたが、お味はいかに!?

作る際の手間、型の外しやすさ、焼き上がりの状態、家族と一緒に食べ比べた結果を総合的に判断し、私は下記のように結論づけたいと思います!

◆ベイクドチーズケーキ

ココット皿・敷紙なし(内側にサラダ油を塗布)またはシリコンカップで焼くのがおすすめ。いずれも底を叩くだけで型離れしやすく、膨らみ方や焼き色が均一に仕上がりやすい(ただし、シリコンカップは底の焦げ色が強め)。チーズと生クリームの濃厚さ、しっかりとした生地の身詰まり感を楽しめる。敷紙ありでもおいしく焼き上がるが、手間がかかり、焼き縮みも強い。

◆スフレチーズケーキ

ココット皿・敷紙ありがおすすめ。敷紙があると型から外しやすく、崩れにくい。また、焼き色も平均的で、シュワっとした半生感とふわっとした生地のバランスが最も良い。敷紙なしのココット、シリコンカップは型から外す際に崩れやすく、型に焼いた生地が剥がれて残りやすい。なお、シリコンカップの場合は底のみに敷紙をしくだけでも型離れがしやすくなる。

◆レアチーズケーキ

シリコンカップがおすすめ。底をぬるま湯に少し浸せば、型離れが容易。やわらかく、なめらかな食感を楽しめる。ココット皿は厚みがあるのでお湯に浸す時間を長めにしないと外れにくく、そうなると底面が溶けやすくなって、ややドロッとした見た目になる。敷紙ありはレアチーズの水分を吸って、やや固めに仕上がり、ケーキの表面にペーパーの模様などが残りやすい。

画像: チーズケーキごとに、おすすめの型に印をつけたのでご参考に!

チーズケーキごとに、おすすめの型に印をつけたのでご参考に!

チーズケーキ3種類の栄養素を比較

チーズケーキを、クリームチーズで作った場合と、カッテージケーキで作った場合では、どのくらい脂質が抑えられるのか?今回作った3種類のチーズケーキのレシピで栄養価を計算し、検証してみました。

◆チーズケーキの栄養チェック!

画像: ※『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』(文部科学省)記載データより筆者が栄養価を計算、エネルギーとカルシウムは小数点以下四捨五入、脂質・たんぱく質は小数点一位以下四捨五入。今回作ったレシピの「チーズ」の分量をカッテージチーズ200gで作った場合と、クリームチーズ200gで作った場合を比較。レモン汁は30mlで計算。

※『日本食品標準成分表2020年版(八訂)』(文部科学省)記載データより筆者が栄養価を計算、エネルギーとカルシウムは小数点以下四捨五入、脂質・たんぱく質は小数点一位以下四捨五入。今回作ったレシピの「チーズ」の分量をカッテージチーズ200gで作った場合と、クリームチーズ200gで作った場合を比較。レモン汁は30mlで計算。

ベイクド・スフレ・レアいずれも、クリームチーズをカッテージチーズに変えて作るだけで、なんと脂質は約1/2に!エネルギー量も25〜30%程度カロリーダウンできることが分かりました。さらに、カッテージチーズを使う方がたんぱく質を多く摂取できることも判明。カルシウムはクリームチーズにやや軍配ありですが、大差なしともいえます。“カロリー爆弾”のイメージがあるチーズケーキも、カッテージチーズで作れば罪悪感が薄まるという根拠が裏付けられました。

まとめ

カッテージチーズは、ボソボソとした食感がお菓子作りには不向きと思われがち。でも、作りたてのやわらかいうちによく練ることで、驚くほどなめらかになり、口当たりの良いチーズケーキを作ることができます。また栄養面でも、クリームチーズで作るよりも脂質とエネルギーが抑えられ、たんぱく質補給の助けになる優等生です。「チーズケーキ大好き!」な人は(私もその一人)、ぜひカッテージチーズ作りから挑戦してみてください。

なお、手作りカッテージチーズは、できたてのやわらかい、その日のうちに使い切るのが一番おすすめ。手作りは室内の雑菌などが入りやすいので、冷蔵保存して使う場合も、なるべく空気に触れないよう密閉できる容器に保管して、数日中に使い切ってくださいね。

参考文献:谷口亜樹子編著『食品加工学と実習・実験』光生館,2020年、久保田紀久枝・森光康次郎編『食品学-食品成分と機能性-』東京化学同人,2017年、(交社)フードスペシャリスト協会編『三訂 食品の官能評価・鑑別演習』『調理学 第2版』建帛社,2020年

レシピ協力(カッテージチーズ&ベイクドチーズケーキ)◆食品学専門家 青山佐喜子さん
博士(学術)・管理栄養士・製菓衛生師・食生活アドバイザーで、短期大学の食物栄養学科などで長年にわたり多くの栄養士を育成。数多くのオリジナルレシピを教え子たちに伝えてきた。筆者も教え子の一人。

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文◆ 野村ゆき(栄養士・編集ライター)
編集ライター歴25年以上。食と栄養への興味が高じて、栄養士免許と専門フードスペシャリスト(食品流通・サービス)資格を取得。食品・栄養・食文化・食問題にかんする情報を中心に分かりやすい記事をお届けします。今回のチーズケーキ試作では失敗も含めて4日を費やし、牛乳4本を使い切るほど没頭。カッテージチーズ作りでできたホエイ(乳清)はカレーに活用しました。またの機会に簡易版のクリームチーズ作りもご紹介したいと思います。



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