牛乳から作る自家製カッテージチーズのおさらい
まず、チーズケーキの主原料であるカッテージチーズを作ります(詳細は関連記事もご参考に)。必要な食材は牛乳と酸(レモン汁や食酢)だけ。牛乳1リットルから直径18cmのホールケーキ1個分(120ml程度のカップチーズケーキなら約6個分)のカッテージチーズが出来上がります。また、チーズケーキに活用する場合は、レモン汁を多めに使って作ると風味よく仕上がります。
【カッテージチーズの材料】(出来上がり:約200g)
・牛乳(成分無調整)…1000ml(紙パック大1本)
・レモン汁+食酢(米酢やリンゴ酢など)…合計100ml(牛乳の10%程度)

レモン1個で大さじ4〜5杯程度(約60ml前後)のレモン汁が絞れます(レモンの大きさにもよるので参考まで)。
【カッテージチーズの作り方】(調理時間:約20分)水切り時間は除く
①牛乳を鍋に入れて弱火にかけ、ヘラで混ぜながら40〜50℃程度まで均一に温め、火を止める。
②火を止めてレモン汁+酢を一度に加え、木ベラなどでゆっくりよく混ぜる。
③混ぜていると牛乳が分離してくる。15分程度そのまま置いた後、厚手のキッチンペーパーか晒(さらし)布を敷いたザルへ移し、水分が自然に切れるのを待つ。
ここまでがカッテージチーズの基本的な作り方。チーズケーキ用のカッテージチーズは、さらにひと手間かけます。そのポイントを写真付きで紹介します!
④水気が切れたチーズを厚手のキッチンペーパー(さらし布も◎)に包み、手でぎゅっと絞って水分を切る。

両手で包み込み、揉むようにして水気を絞ります。
⑤水分を除いたチーズを万能こし器(またはザル)でこしながら、別のボウルに移す。

網目の裏面に付着したチーズも忘れずにこそげ落としましょう。
⑥ボウルに移したチーズを、ヘラで練るようにこすり混ぜ、なめらかにする。

こしたチーズをヘラで数分ほど練ると、こんなになめらかに!
「水気を絞る」「ザルで細かくこす」「練り混ぜる」の3ステップを加えると、カッテージチーズがクリームチーズに引けを取らないないほど、なめらかに。作りたてのカッテージチーズはやわらかく、扱いやすいことも魅力。わざわざクリームチーズを買いに走らなくても、牛乳とレモンがあればチーズケーキが作れるなんて新発見!
3種類のチーズケーキを作ってみた
準備完了。できたてのカッテージケーキを使い、ベイクド・スフレ・レアの3種類のチーズケーキを作ります。それぞれのチーズケーキの特徴、材料や手順の違いにも注目していただけたら嬉しいです。
私はお菓子作りのプロではないため、ハードルが高く感じるホールケーキ型は使わず、1人ずつ食べやすいカップ型のチーズケーキを作ることにしました。使用した容器は、100均ショップで調達したシリコンカップと耐熱性ココット。シリコンカップは内径8.5cm・高さ3.5cm(耐熱温度230℃)、耐熱性ココットは内径7cm・高さ4.5cm。どちらも容器の八分目まで(120〜130ml程度)生地を流し入れて作りました。今回紹介するレシピでカップチーズケーキ6個を作ることができます(直径15〜18cmのホールチーズケーキも同じ分量で作れますが、オーブンの焼き時間を長めにするなど調整してください)。
なお、チーズケーキ3種類の作り比べをするため、表示材料の半量(カップチーズケーキ3個分)で作りました。これからご紹介する作り方の写真は、表示材料よりも少ない点をご了承ください。

ココット(左)とシリコンカップ(右)は、オーブン調理OKかどうか確認してください。
初心者向き!ベイクドチーズケーキ

濃厚でクリーミーなベイクドチーズケーキ。
「ベイクド=焼かれた」の言葉通り、オーブンでじっくり焼いて中まで火を通すチーズケーキ。ずっしりと食べ応えがあり、生クリームを加えた濃厚でクリーミーな味わいも特徴。焼き上がりの失敗が少なく、初心者でも作りやすいチーズケーキといえそうです。なお、近年人気のバスクチーズケーキもベイクドチーズケーキの一種。ベイクドよりも高温かつ短時間で焼き上げるため、表面は黒っぽく焦げ、中身はトロッとした仕上がりになる特徴があります。
【材料】カップケーキ6個分
・カッテージチーズ…200g
・砂糖…90g(上白糖なら大さじ10、グラニュー糖なら大さじ8弱)
・卵黄…3個分
・卵白…3個分(使う直前まで冷蔵庫で冷やしておく)
・生クリーム…100ml
・レモン汁…15〜30ml(大さじ1〜2:好みで加減を)
・薄力粉…35g(大さじ4弱)

生クリームは乳脂肪分が高いと濃厚な仕上がりに(私は乳脂肪分45%を使用)。
【作り方】調理時間:約50分
①カッテージチーズに砂糖の半量(45g)を加え、ヘラで練り込むように混ぜる。

砂糖は粒子の細かいグラニュー糖を使いました。
②卵黄を1個ずつ加え、その都度よく混ぜる。

少しずつ加えてよく混ぜ、分離を防ぎます。
③よく混ざったら生クリームを加え、なめらかになるまで混ぜる。

ヘラをホイッパーに持ち替えて、よく混ぜます。
④さらに、薄力粉、レモン汁を加え、よく混ぜる。

薄力粉はふるってから加えます(ザルでふるいながら加えてもOK)。
⑤別のボウルに卵白を入れ、ハンドミキサーで軽く泡立てる。

最初は卵白だけで泡立てます。この程度まで泡立ててから、砂糖を少しずつ加えていきます。
⑥残りの砂糖半量(45g)を、3回程度に分けて少しずつ加えながら、角が立つまで泡立てる。

ボウルをひっくり返しても、すべり落ちない固さまで泡立てましょう。
⑦ ④(チーズ+卵黄など)に⑥(卵白+砂糖)を3回くらい分けて加え、さっくりと全体を混ぜる。最初に卵白の1/3程度を加えるときは、よく混ぜてOK。

最初に卵白の1/3程度を加えてよく混ぜ、残りの2/3は卵白の泡を潰さないよう優しく混ぜ合わせます。
⑧残りの2/3は、卵白の泡を潰さないよう優しく混ぜ合わせる。

卵白の白色がなくなればOK。
⑨サラダ油(分量外)を薄く塗った型に生地を入れ、180℃に温めたオーブンで30〜40分焼く。竹串を刺し、生地がついてこなければ焼き上がりのサイン。表面の焼き色が濃くなりすぎるようなら、途中でアルミ箔を覆いかぶせると良い。
※焼成温度と時間は、ご家庭のオーブンの性能に合わせて調整してください。

サラダ油を塗ったココット(左)の他に、型の底と側面にクッキングペーパーの型紙を敷いたもの(中央)、何も塗らないシリコンカップ(右)で焼き比べました!
ベイクドチーズケーキの完成です!

焼き上がり直後は、生地がこんなに膨らんでいます!
粗熱が取れたら型から外します。

時間が経つとしぼんでしまうのが、せつない……。
型や敷紙の有無による焼き上がりの大きな違いは後述しますが、どれも美味しかったです! 断面もなかなかキレイに仕上がりました。ベイクドチーズケーキは初心者でも失敗しにくいのが嬉しいですね。

濃厚なチーズケーキらしい味わいで、家族にも好評!
【応用編】バスクチーズケーキも作れる!
ちなみに、ほぼ同じ材料でバスクチーズケーキも作ることができます(薄力粉のみ半量またはナシでも可)。作り方の違いは、①で砂糖の全量、②で全卵を加えること(卵黄と卵白を分ける必要なし)。卵白を泡立てる手順が不要なので、ベイクドよりも時短・ズボラなチーズケーキといえそうです。また、オーブンで焼く温度も、ベイクドとの違いです。最初に高温の230℃で15分一気に焼いてから、180℃に下げてさらに15分焼きます。

高温で焼くため、シリコンカップではなく、ココット皿を使用。クッキングシートを手でくしゃくしゃにしたものを敷き、生地を流し入れます。

焦げたような焼き色、不均一で素朴な形もバスクチーズケーキの個性!