〈心理学〉よく聞く「同調圧力」とは? 心理作用を使って自分たちの意見に誘導すること

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よく聞く「同調圧力」ってどういうものでしょうか?「日本は同調圧力が強い」といわれますが、「同調」とは何でしょう? 同調が起きる理由について、書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』著者で文学博士の齊藤 勇さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

齊藤 勇(さいとう いさむ)

文学博士。立正大学名誉教授、日本ビジネス心理学会会長。早稲田大学大学院文学研究科博士課程修了。専門は対人・社会心理学。「それいけ‼ココロジー」(日本テレビ)の監修・コメンテーターを務めるなど、心理学ブームを牽引。『図解 心理分析ができる本』(三笠書房)、『図解雑学 見た目でわかる外見心理学』(ナツメ社)、『イラストレート 心理学入門』(誠信書房)など、著書・監修書多数。

本稿は『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/桔川シン、堀口順一朗、栗生ゑゐこ

よく聞く「同調圧力」ってどういうもの?

「同調」という心理作用を利用して、自分たちの意見に合わせるよう誘導すること!

「日本は同調圧力が強い」といわれますが、「同調」とは何でしょう?
同調とは、周囲の意見に合わせて自分の意見を変えてしまうことで、あらゆるヒトにはたらく心理作用です。
同調を利用して、少数意見をもつ人を暗黙のうちに抑えることが「同調圧力」です。

同調については、心理学者アッシュの実験が有名です。
7人の参加者に、1本の直線が書かれたカードを見せた後、3本の直線が書かれたカードを見せ、その中から最初のカードの直線と同じ長さの直線を選ばせるというもの。
1人でやった場合の正解率は、ほぼ100%でしたが、協力者6人に順番にわざとまちがった回答をさせると、最後の1人の正解率は63%に下がりました。
集団の中では、ヒトは多数派の意見に合わせて、まちがった判断をしてしまう傾向があるのです。

同調の実験

アッシュは、7人の参加者に、1本の直線が書かれたカードを見せた後、別のカードに書かれた3本の直線から、同じ長さの直線を順番に選ばせた。

最初の6人は実験の協力者で、わざとまちがった回答をした。
被験者の正解率は63%に下がった

協力者のうち1人に正解を答えさせると、被験者の正解率は95%に上がった。1人でも意見が一致すれば同調は弱まることがわかる。

同調が起きる理由には、「情報的影響」と「規範的影響」のふたつがあります。
情報的影響とは、自分の判断に自信がないとき、ほかの人の判断を参考にすることです。
例えば、有名店の行列に並んでしまうのは、この影響です。
規範的影響とは、自分が属している集団の期待に応えたいという欲求で、かんたんに言えば、「自分だけ目立って仲間はずれにされたくない」という心理です。

同調を引き起こす2種類の原因

情報的影響

自分の判断に自信がないとき、他人の判断を参考にすること。有名店の行列に並ぶ心理。

規範的影響

自分の属する集団からの期待に応えたいという欲求のこと。同僚が残業するので、自分も残業する心理。

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なお、本稿は書籍『イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。心理学に興味をもって、「ちゃんと勉強してみよう」と思っても、専門書には専門用語が多く出てくるので、「むずかしい」と感じる人も多いのではないでしょうか? 本書は、これまで積み重ねられてきた心理学の研究を、知識ゼロでも楽しく読めるように、イラストや図解も豊富に使い、やさしく丁寧に解説しています。

イラスト&図解 知識ゼロでも楽しく読める! 心理学
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2022-04-12 13:39

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