キャンプの雨対策をシーン別に解説
設営やキャンプ中、撤収など、キャンプでは状況ごとに必要な雨対策は異なってくる。基本的には「雨で身体を濡らさない」ことが第一だが、だからといってレインウェアを1日中着ているというのは快適さを損なうため、あまり推奨はできない。例えば、設営や撤収など、雨に濡れやすい作業中はレインウェアでしっかりと身体をガードする一方で、キャンプ中では快適さを損なわないようになるべく普段着で行動するといった具合に、状況に応じた対策を取る必要がある。
本章では、設営や撤収など、キャンプの状況に応じた雨対策のポイントをわかりやすく解説するので、ぜひ参考にして欲しい。
【設営時①】可能なら水はけの良いサイトを選ぶ
予約で指定されているのでなければ、雨天時に使用するサイトはなるべく水はけの良い場所を選ぶほうがいい。特に泥化しやすい土サイトは水はけが非常に悪いうえ、泥でテント内も汚れやすくなるので、できる限り避けたい。
水はけの良い場所を選ぶポイントは、まず「雨水が流れ込む低地は避ける」「砂利か芝生サイト」「水たまりができそうな凹凸がない場所」といったところだ。

ほかより一段高い場所にある芝生や砂利サイトなら、水たまりやぬかるみも少ない。
とはいえ、ビギナーがこうした見極めをいきなりするのはなかなか難しいだろう。そんなときは、キャンプ場の管理人に水はけのいいサイトを尋ねてみるのがもっとも確実だ。この際、予約したサイトからの変更を頼んでみてもいいだろう。
サイトの変更が難しい場合などは、なるべく水たまりを回避してテントを設営するようにしよう。
【設営時②】レインウェア等で身体を濡らさない対策を!
テントや装備の規模にもよるが、通常、ファミリーキャンプでは設営に30分から1時間ほどの時間を要するのが一般的だ。当然、通常の服装で30分以上も雨に打たれていれば、身体はズブ濡れになってしまうので、設営時にはレインウェアなどの雨具を必ず着用しよう。
レインウェアには高い防水性&透湿性を誇る「ゴアテックス」素材を採用した高級品もあれば、上下組でも5000円程度の安価な商品もあるなど、実にさまざまなバリエーションが存在する。
確かに高額なレインウェアを買っておけば間違いないが、筆者としては機能性が命に直結する本格的な登山ならともかく、一般的なキャンプ程度ならそこまで性能にこだわる必要はないと考える。設営や撤収中──おおよそ1時間ほどの雨をしのげる程度の防水性能に加え、極度の蒸れを抑えられる透湿性能を備えたレインウェアであれば、十分事足りるはずだ。
もっとも避けたいのは、予算の都合などでレインウェアは上着のみ、などという中途半端な状態になってしまうケースだ。懐具合が厳しい場合はレインウェアのランクを多少落としてでも、下半身も含めた身体全体をカバーできる装備を揃えるようにしたい。
具体的には、上下のレインウェアは必須。加えて、足首までカバーできる防水シューズかレインブーツも用意すること。また、防水キャップもあるとなにかと便利。キャップの上からフードをかぶれば視界の狭さをある程度は改善できるので、スムーズに設営や撤収作業をこなせる。

ブランドや高機能にこだわりがなければ、実売1万円以下の上下組レインウェアで十分だ。
workman.jpなお、レインウェアには着用しやすい「ポンチョ」や「レインコート」タイプもあるが、どちらも下半身が空いているため濡れやすいというデメリットがある。設営作業中はどうしても屈んだり膝をついたりすることが多く足元が濡れやすいので、やはり上下のレインウェアのほうが圧倒的に使い勝手がいい。


【設営時③】タープ等でリビングスペースを確保
さしあたってテントさえあれば雨はしのげるが、それだけでは快適なキャンプには程遠い。料理をしたり、家族や仲間と会話を楽しんだり、景色を見ながらくつろいだりするには、広めのリビングスペースがあったほうが断然いい。
そこで役立つのが、通常は日除けや風よけとして使われる「タープ」だ。テントと連結、もしくはテントの上にタープを張っておけば、いちいち傘を差したり、雨具を着込んだりすることなく、テントとタープ間を自由に行き来できる。
通常、タープの側面は素通しとなるため雨が入り込むこともあるが、それでも雨天時に足を延ばしてくつろげる空間があると非常に落ち着く。特に小型テントを利用している場合は、雨キャンプ時にはリビングスペースとしてタープは必ず準備しておきたい。一方、広めの前室やキャノピーを備えた大型テントの場合は、タープの代わりにそちらをリビングスペースとして活用しても構わないだろう。
タープの耐水性能については「耐水圧1500~2000ミリ」もあれば十分。タープの種類は好みで選べばいいが、雨の中での設営を少しでも手早く行いたいなら使用するポールが2本で済む「ヘキサタープ」がおすすめだ。
現在は、実売1万円以下の安価なタープでも上記の耐水性能程度を確保したものがほとんどなので、よほどの豪雨でもない限りは雨漏りの心配はないはずだ。もちろん、普段使いのタープが防水タイプであれば、そちらを流用してもいい。

タープがあれば日差しを防げるほか、急な雨に見舞われてものんびりと過ごせる。
www.dod.campただし、防水だからといってタープに溜まり続けた雨水を放置すると、重みで倒壊する危険性がある点には注意したい。対策としては雨水がシート上に溜まらないように、タープ縁のハトメにロープを通してペグダウンして、タープの中央に水の通り道となる適度な傾斜を設けるといいだろう。
また、雨天時は強風が吹く可能性も高いので、タープのペグは念入りに打ち込むこと。夜間の倒壊が心配なら少々面倒だが、就寝前にタープを降ろしてテント内などに仕舞っておいたほうがいい。

サイズ(:約)W420×D410cm×H230cm(付属ポール使用時)
収納サイズ(:約)W67×D14×H14cm
重量(:約)5.2kg
最低耐水圧: 2000mm
材質:生地:ポリエステル150D(PUコーティング) ポール:スチール
UVカット: UPF50+
付属品:ペグ×8、ロープ: 4(黒自在)、4(シルバー自在)、タイベルト、ポール×2、延長テープ、キャリーバッグ
遮光率: 90%以上
【設営時④】テント下にグランドシートを敷く
テント下に雨水が入り込むと、最悪の場合、テントの床下から水が染み込んでくる可能性がある。こうした事態を避けるには、「グランドシート」と呼ばれるテントの下に敷くシートを利用するのがベスト。地面にまずグランドシートを敷いてから、その上にテントを設営することで雨水の染み込みや泥汚れなどを極力抑えることが可能だ。

所有するテントに専用のグランドシートが用意されている場合は、そちらを利用するのが最も手っ取り早い。
テントによっては専用のグランドシートもあるが、価格が若干高いのがネック。安上がりに済ませたいなら、防水性能はさほど期待できないがブルーシートで代用しても構わない。防水性は妥協したくないなら、ブルーシートよりは値は張るが、PVCコーティングが施された防水シートや、高い防水性を備えた厚手のPVCシートを選んでもいいだろう。
なお、シートを選ぶ際には「サイズ」に注意しよう。利用するシートは、テントの敷面積より若干小さいサイズを選択すること。テントより大きいシートを使うと、はみ出した部分に雨水が溜まり、テントの床下に水たまりができやすくなる。適当なサイズのシートがなければ、テントからはみ出した部分を折り返してから敷くようにしよう。