【絵が上手くなる方法】短時間でデッサン力が劇的にアップする「右脳ドローイング」とは

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右脳ドローイングとは、ずばり「短い時間で絵を描くことで、強制的に右脳をはたらかせる」という練習法です。具体的には、ひとつのモチーフを60秒で完成させることを繰り返す、というものです。「こんな練習方法でうまくなるの?」と思われるかもしれませんね。しかし、この練習法にはたくさんのメリットがあります。「右脳ドローイング」について、著者の松原美那子さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

松原美那子(まつばら・みなこ)

デッサンのオンラインスクール「ピリカアートスクール」代表。武蔵野美術大学にて、中学高等学校の美術教員免許を取得。大学卒業後、東京都府中市にてアートスペースをオープンし、若手アーティストの個展や街中アートウォーク、版画国際交流展などの企画運営に携わる。2008年より、オンラインにてデッサンスクールを開校し、日本全国、海外を含め、述べ10,000人以上の受講生にデッサンを指導。受講生は、美大受験生、漫画家、アニメーター、デザイナー、インテリアコーディネーターなど多岐にわたる。現在、沖縄を拠点に、高校や大学などでも、デッサンの講義を行っている。「林先生の初耳学(TBS)」「中居正広のミになる図書館(TBS)」などテレビ出演多数。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/こつじゆい、佐悠

絵が描けない人なんていない

絵を描くことに、芸術的な才能が必要だと考えていませんか? 幸いなことに、それは思い込みです。
いわゆるデッサンのように「見たままに描く」という技術は、文字を書けるようになるのと同じで、だれにでも身につけられる技術です。
ではなぜ、絵が苦手な人と得意な人がいるのでしょうか。それは、ひとえに経験の差です。
文字はだれもが幼いころに練習します。小学生のときに、文字の形を丁寧に練習し、ゆっくり書けるようになります。
絵の場合はどうでしょうか。幼いころ多くの人が絵を描いたことがあると思いますが、文字の書き方ほど、丁寧に教えてもらった人は少ないと思います。

絵に苦手意識のある多くの人は、小学校高学年のころから、目で見ているものと自分の描いた絵にギャップをおぼえはじめ、「自分は絵が下手なのかも…」と違和感をもちます。
そして、絵を学んだり練習したりする機会がないと、苦手意識をもったまま人生を過ごすことになります。

では、ここで試しに目の前の何かを描いてみましょう。安心してください。紙もペンも必要ありません。
片目を閉じて、描くと決めたものを、空中で指でなぞってみてください。何もむずかしいことはなく、上手になぞれたのではないでしょうか。
極端にいうと、それを紙に描くことができればいいだけです。そこに、少し「絵の描きかた」が加われば、かならず上手な絵が描けます。

なんだか描ける気がしてきませんか? さぁ、紙と鉛筆を用意しましょう。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

「絵がうまい」とはどういうこと?

「絵がうまい」とはどういうこと?

みなさんが思い浮かべる「絵がうまい人」とはどのような人でしょうか。
人によってちがうと思いますが、大きく2つのパターンに分けられると思います。
まずは、絵を見た人が思わず引き込まれてしまうような、細かな描写や複雑な線で構成された絵。
これは「テクニック」によって、その物のもつ質感や雰囲気などを引き出すうまさです。
たとえば、デッサンの質感や陰影の表現、マンガキャラの自然なポージングや構図など。
このうまさを身につけるためには、描きたいジャンルによって、その技法を学ぶ必要があります。

テクニックのある絵

テクニックのある絵は、さまざまな技法によってモチーフならではの特徴や臨場感が引きたち、人の心を打つものになっていきます。

つぎに、シンプルな線ながらも、だれが見てもすぐ伝わる絵。これは、物の形をシンプルな線に置き換えられるうまさです。
物の特徴をとらえる観察力や、物の形を頭でイメージする力が必要です。
実は、物の形をイメージすることは、できそうでできないむずかしい作業です。
知っていることと、描けることは別物
絵で表現できるレベルで物の形を頭に入れておくには、いろいろなものを描いた経験と、普段から何かを見るときの観察力が必要になります。

シンプルな線で特徴をとらえた絵

物の形をシンプルな線でとらえた絵は人に伝わりやすく、使えるシーンが幅広い特性があります。

どちらへの道のりも遠く感じるかもしれませんが、安心してください。両方の「絵がうまい」に近づけるとっておきの練習法を紹介します。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

最短で絵がうまくなる右脳ドローイング

最短で絵がうまくなる右脳ドローイング

右脳ドローイングとは、ずばり「短い時間で絵を描くことで、強制的に右脳をはたらかせる」という練習法です。
具体的にはとてもシンプルで、ひとつのモチーフを60秒で完成させることを繰り返す、というものです。
「こんな練習方法でうまくなるの?」と思われるかもしれませんね。
しかし、この練習法にはたくさんのメリットがあります。
なぜこの方法が有効なのか、追ってくわしく解説していきますが、ここでは、ざっくりそのやり方と意味をご説明します。

ルール(1)1カット60秒で描く

1枚の絵を描く制限時間は60秒です。タイマーをセットして描くのがおすすめ。

ルール(2)とにかく完成させる

60秒以内に完成を目指してください。何を描いたのかが伝わるようにすることを意識。

ルール(3)1日3~5カット

1日に描く枚数は3~5カットが目安です。あくまで目安なので、多くても少なくてもOK。

なぜ60秒で描くのか、ということですが、絵がうまくなるために必要な2つの目的に特化させるという意味があります。

1 物の形をとらえられるようになる

デッサンは、見ているものをありのままに描くことを目指します。
しかし、いざ描こうとするとさまざまな情報や迷い、記憶がそれを邪魔します。
「どこから描けばいいんだろう?」「どう描けばいいんだろう?」60秒で完成させるには、こんなことを考えている時間はありません。
とにかく形をとって、目の前の物が何なのかを伝えようとします
形をとろうとすることで、「物」を「線」で見る練習になり観察力が高まります。
これにより、飛躍的に描く力が伸びるのです。

物を線で見ることができるようになると、「形」としてとらえる意識が強くなり、絵を描きやすくなります。

2 さまざまな物を描く経験を積む

物の形を覚える意味でも、純粋にきれいな線を引けるようになる意味でも、経験を蓄積するためにはあらゆる物を描くことが望ましいです。
ただ、絵を描くというのはエネルギーをたくさん消費します。
1日に何枚も描くのは大変で、絵を描くことが嫌になってしまうかもしれません。
練習が作業になって楽しくなくなっては集中力も下がります。それでは本末転倒です。
そこで「60秒で1カットを数枚」です。これであれば集中して楽しく続けられるはずです!

物を描いた経験は頭にストックされています。その数が増えると応用力が高まり、あらゆる物の絵をササッと描けるようになっていきます。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

直感的な右脳と理論的な左脳

直感的な右脳と理論的な左脳

右脳ドローイングの大まかなやり方がわかったところで、大きくかかわる、右脳と左脳の性質について見てみましょう。右脳の前に、まずは左脳から解説します。

一般的に、左脳は言語的論理的な思考が得意といわれています。
入ってくる情報を、分類したり、筋道を立てたりして処理します。
わかりやすくいうと理屈っぽくロジカルな性格といえるかもしれません。
絵を描く際には、とくにテクニック的な表現を絵に反映させる際、記憶をさかのぼって、どの技法を使えばいいかなどを判断します。

右脳は、言語によらない思考、視覚的で空間的な処理を専門とします。
入ってくる情報は、そのまま一気に飲みこみます。
言語化しない特性のため、表現がむずかしいですが、かんたんにいうと感覚派で直感的な性格といえるでしょう。
瞬時に情報の全体を見渡して処理するので、絵を描く際には形を認識したり、空間的なバランスを判断してくれます。

モチーフの形を空中に指でなぞったときのことを思い出してみてください。
指を動かすときに、何か考えていたでしょうか? おそらく目と指だけが作動して、脳は何も考えていなかったと思います。
非言語的な右脳は、はたらいていても「考えている」という認識がありません。

このことからもわかるように、形をとらえるという一点については、右脳をはたらかせるほうが好都合
むしろ、形をとらえられない段階で、「陰影のつけ方ってどうやるの?」「構図はどうすればいい?」と左脳の論理的な思考が入ると、処理が追いつかず混乱してしまい、結果として絵が描けなくなってしまいます。
そこで、右脳ドローイングでは60秒という短い制限時間で絵を描くことによって、左脳のはたらきをおさえます。
瞬時に機能する右脳は短い時間でもはたらくので、形をとらえる練習を効率よくおこなえるのです。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

60秒だから観察力が身につく

60秒だから観察力が身につく

60秒という短時間だからこそ、右脳優位になり、形をとらえる力がつくという話をしましたが、それには、絵を描くときの物の見方がかかわっています。
絵を描くということは、目の前に見えている立体的な物を平面に置き換える作業をしています。
ようは、3次元の世界を2次元に変換しているということです。
本来、自然界に「線」はありません。物質があり、フチのアウトラインが線に見えているだけです。
アウトライン以外も同様で、形に加えて質感や色も「線」に変換して絵にします。
このとき、左脳をはたらかせず、単純な線の形だけを見ることができれば、絵はぐっと描きやすくなります。
つまり、「物」ではなく「形」で見るということです。

モチーフを観察するときに、60秒という制限時間があることで、あらゆる情報をシャットダウンし、自然界には存在しない「線」に集中して観察できるようになります。

たとえば、下の2つの絵を見てください。寝ているネコ、お風呂上がりの親子が逆さまになっています。モチーフが何なのか判断しづらいため、線だけが認識できるのではないでしょうか。これが、言語的な左脳が機能せず、右脳が優位になっている状態ということです。

丸まって眠るネコの絵を反転。なんとなく丸い形が認識できる。

お風呂上がりの女性と赤ちゃんの絵を反転。なんとなく台形のようなシルエットが認識できる。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

絵を描くための3つのステップ

絵を描くための3つのステップ

ここまで、形をとるには60秒と時間を制限して、右脳をはたらかせることが重要と説明してきました。
ただ、より上手な絵を描こうと思うと形がとれるだけでは物足りません。
質感や、反射、ハイライトなどを形に付加していく必要があります。絵を描くステップは大きく分類すると下図のようになります。

STEP1 大きな形をとる

モチーフの大まかなシルエットに沿って、形をとります。

STEP2 小さな形をとる

さらにモチーフのなかにある、細かな要素の形をとります。

STEP3 細部を描く

細かな要素や、陰影、質感を表現する線などを描きます。

このSTEP1・STEP2とSTEP3では脳の役割がことなります。
STEP1とSTEP2は右脳を使うのに対して、STEP3は左脳の役割になります。
つまるところ、デッサンをある程度習得しようとすると左脳のはたらきも必要になります。

右脳ドローイングは、あくまでデッサンの入り口にして最大の壁を最短距離で突破するためのもので、最終的には左脳の力を借ります。
形をとれるようになり、付加要素も描きこむ段階までくると、右脳と左脳の得意分野をバランスよく使う必要が出てきます。
その際のイメージは以下のような感じです。

右脳(形・バランス)

全体のバランスをみながら形をとります。

左脳(テクニック)

細部を描きこんだり、陰影をつけたりします。

右脳(形・バランス)

細部を描きこんだことにより、全体のバランスが崩れていないか確認し整えます。

左脳(テクニック)

さらに細部を描きこんだり、気になった部分を発展させたりします。

左脳と右脳をバランスよく使えるようになると、デッサン力は飛躍的に伸びていきます。
ここまでくるために、まずは、右脳を効果的に使って形をとれるようになることが望ましいのです。
そうすると、テクニックの勉強も楽しくできます。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

デッサンのテクニックもとりこぼさない

デッサンのテクニックもとりこぼさない

慣れてくると、形を大まかにとらえるだけなら30秒もあればできるようになります。
そうすると、のこりの30秒があまります。この30秒でテクニックの練習も十分可能です。

実践したいテクニックを絞って右脳ドローイングをすることで、理論を気にしすぎず、そのテクニックを練習することができるのです。

ただし、テクニックは膨大なので、やみくもにやろうとしてもうまくいきません。そこで、意識するテクニックを限定します。たとえば、陰影のつけ方だけを意識してトマトを書いてみるといった感じです。

そうすることで、テクニックも効率的に学んでいけます。
注意が必要なのは、あくまで60秒以内である程度形がとれるようになってから、あまりの時間を使うということです。
形がとれないうちからテクニックを意識しすぎるのはよくありません。

テクニックの練習に慣れてくると、より深めていくために60秒では物足りなくなってくるかもしれません。
そうなれば、しめたものです。そのころには、形はある程度とれるようになっているはず。
時間をかけて、納得のいくものを仕上げてみてもよいでしょう。60秒にはない学びがその先に広がっています。

モチーフによって、取り組むテクニックを選んでおくことで、右脳ドローイングに取り入れられます。まずは形をとって、そのうえでテクニックを意識するようにするのがポイント。パースなど、テクニックによっては最初から意識したほうが効果的なケースもあります。

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なお、本稿は書籍『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。絵を描くことに、芸術的な才能が必要だと考えていませんか? それは思い込みです。デッサンのように「見たままに描く」という技術は、文字を書けるようになるのと同じで、だれにでも身につけられる技術です。絵をうまく描けるようになる、とっておきの練習法。それが「右脳ドローイング」です。左脳の論理的な思考が入ると、処理が追いつかず混乱してしまい、結果として絵が描けなくなってしまいます。そこで、右脳ドローイングでは60秒という短い制限時間で絵を描くことによって、左脳のはたらきをおさえます。右脳は短い時間でもはたらくので、形をとらえる練習を効率よくおこなえます。本書は、60秒で絵心を引き出す新しいデッサンの教科書です。やさしく丁寧にそのメソッドを解説しています。

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