絵を構成する要素はいろいろありますが、基本は「線」です。線をのびのびと自由に描くことを楽しみましょう。ラフな線を思い切って描くことも、絵の上達の近道です。かんたんそうに見えて、案外むずかしいのが直線です。まっすぐな線の描き方、直線を利用した技術「ハッチング」などについて、著者の松原美那子さんに解説していただきました。
準備 原点にして最重要!まずは「観察」が大切
「観察」して目に映ったものを整理しないと、絵は描けない
私たちはものを見たとき、それが何であるかを瞬時に判別しています。
でも、いざそれを絵にしようとすると、なかなか描けないもの。
それは、イメージを絵にするには、観察によってより詳細な情報を取得し、その情報を整理する必要があるからです。
たとえば、リンゴが丸いということはリンゴを構成する重要な要素ではありますが、リンゴが丸いことだけわかっていても上手な絵は描けません。
よく見ると、リンゴの形がただの丸じゃないこと、色もただの赤だけじゃないことが見えてくるはずです。
観察によって得たこれらの情報を、頭の中ではっきりイメージできてはじめて絵にできます。
「観察」と「情報の整理」が、絵の上達の第一歩にして、もっとも重要なポイントなのです。
下のような流れで観察をおこないます。
STEP1 モチーフを判別する
モチーフを見た瞬間に、脳の中ではまず、「これはリンゴだ」といった判別が行われます。
この段階では、絵を描こうとしても描けません。
STEP2 情報を細分化して観察する
モチーフの情報を形・色・質感・陰影などに分けて、それぞれをじっくり観察しましょう。
観察するときは「全体を見る」→「細部を見る」を交互にくり返すのがコツです。
STEP3 情報を整理する
STEP2で得た情報を整理して「どう描いたら伝わるか」を考えます。
その情報を伝える手段は、形なのか、色の濃さなのか。情報が表現と結びつくと、上手な絵が描けるようになります。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。