人物を自然なバランスで描くには、基準になる全身の比率を知っておくことが大切。そして、「アタリ人間」でアタリをとるのが基本です。人物のアタリとしてよく知られているのは、線で表現した「棒人間」ですが、棒人間には、体の立体感をつかみにくいという弱点があります。そこでおすすめしたいのが、手足を線で、胴体部分を台形と長方形で表した、「アタリ人間」です。人体の描き方について、著者の松原美那子さんに解説していただきました。
肩と骨盤の向き・傾きに注目する
正面を向いて直立をしているとき、両肩を結ぶヨコの線と、骨盤の上端を結ぶヨコの線は、どちらも正中線と垂直に交わります。
しかし、体の向きが変われば角度が変化します。
片足に重心をかけた姿勢をコントラポストといいますが、たとえば右足に重心をかけると、肩のラインは正中線に対して左上がりになり、骨盤のラインは右下がりになります。
人が自然で魅力的に感じるポーズは、このラインが上下で反対に傾いているケースが多いので、人物を描くときに意識してみるとよいでしょう。
右足に重心をかけているので、肩のラインは左上がりになります。


左足に重心をかけ、右足を上げているので、肩と骨盤のラインが右上がりになります。


▼ステップアップ 人物のアタリのバリエーション
人物のアタリのとり方は、人によってさまざま。
円柱や立方体などを組み合わせた、より立体的なアタリを描く人もいれば、実際の体のシルエットに近い線でアタリをとる人もいます。
「アタリ人間」に慣れてきたら、別の描き方にトライしてみてもよいでしょう。
胴体の四角形を立体的にすると、体をそらすなどの動きが表現しやすい。

胴体に楕円を使うと人体らしい印象に。背中の曲線も表現しやすい。

実際の人体により近い印象。描きなれると、時短につながる。

本稿は『はじめてのデッサン教室 60秒右脳ドローイングで絵が感動的にうまくなる!』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。