認知症はある日突然になるのではなく、生活しているなかで「あれ?ちょっと変?」ということが増え、少しずつ症状が現れてきます。発症前やごく初期の段階で認知症とわかれば、進行をゆるやかにすることも可能です。認知症とは、認知症の発症リスクを低減する方法などについて、著者で認知症心理学専門家・大阪大学名誉教授の佐藤眞一さんに解説していただきました。

軽度の認知障害なら認知症のリスクを防ぐことも可能です

運動・栄養など生活習慣の見直しは認知症に限らず人生において大切なことです。

画像: 運動・栄養など生活習慣の見直しは認知症に限らず人生において大切なことです。

リスク低減につながる生活

▼有酸素運動

1日30分以上のウォーキングを週3日から。
水泳や水中ウォーキング、ヨガなどもおすすめ。

▼バランスのよい栄養

魚、緑黄色野菜、きのこ・海藻・豆類、フルーツを積極的にとる。
高カロリー、高塩分は避ける。

▼禁煙

認知症のリスクを下げるだけでなく、健康上の利点が多い。

▼適度な飲酒

1日あたり、ビールは350ml缶1本、ワインはグラス1杯、日本酒は1合以内、焼酎は半合以内。
週1回は休肝日を設ける。

▼体重管理

65歳以下は体格指数(BMI)※を30以内に保つのがよい。
高齢者ではBMIに関係なく体重の増減が少ないほうが発症リスクを下げる。

※体格指数(BMI)= 体重kg ÷(身長m × 身長m)

▼社会活動

趣味の活動、ボランティア、地域活動、家族とのやりとりなど人との交流は脳を活性化させる。

▼健康管理

高血圧、糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病、うつ病は認知症リスクを高める。
うつ病の場合、抗うつ薬で治療してもリスクは低減しない。

生活習慣を見直して認知症の発症リスクを低減

人は加齢とともに心身にさまざまな変化が現れます。
高齢になればひざや腰に痛みが出始めたり、「トイレが近い」「階段が苦痛」などの理由で外出がおっくうになることはよくあります。
若いころに比べるとどうしても気力が衰え、記憶力は20代をピークに下降線をたどるといわれます。
加齢による変化だけでもこんなに多くあるわけですが、認知症の人はそのうえに脳の病気が重なっていることになります。

認知症にはいくつかの種類がありますが、いずれもある日突然発症するわけではなく、軽度認知障害(MCI)の段階を経て徐々に進行します。
MCIの人のうち認知症に移行するのは約15~40%といわれ、記憶の低下が目立つアルツハイマー型認知症に移行する「健忘型MCI」の場合は、この間に有酸素運動を続けたり、人との会話や交流を保つことで認知症への進行を遅くできるとされます。

なお、脳血管性認知症の場合は、日々の散歩やウォーキング、バランスのよい食事、禁煙、過度の飲酒を避けるなど、生活習慣を見直すことで認知症になるリスクを低減する効果があるといわれています。

▼レビー小体型や前頭側頭型のように記憶の低下が目立たない認知症に移行するMCIは「非健忘型MCI」と呼ばれる。

本稿は『〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。



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