【家族が認知症になったら】診断を受けたらどこに相談する?初期の認知症でまず家族がやるべきこと

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認知症の診断後もしばらくは、様子を見ながら家族で面倒をみると考える人は多いかもしれません。ただ、高齢夫婦のふたり暮らしや、家族と離れたひとり暮らしは目が届きにくく、昼間はひとりで過ごす高齢者もよくいます。認知症について少しでも不安や困りごとがあれば、まずは地域包括支援センターに相談を。専門家からアドバイスをもらうことで解決の糸口が見えることがあります。地域包括支援センターとは、また、初期の認知症でまず家族がやるべきことについて、著者で認知症心理学専門家・大阪大学名誉教授の佐藤眞一さんに解説していただきました。

解説者のプロフィール

佐藤眞一(さとう・しんいち)

1956年東京生まれ。大阪大学名誉教授。大阪府社会福祉事業団特別顧問。博士(医学)。早稲田大学大学院文学研究科博士後期課程単位取得満期退学後、1999年に埼玉医科大学より博士号授与。明治学院大学心理学部教授、マックスプランク研究所上級客員研究員などを経て、2009年に大阪大学教授に就任し、2022年に定年退職。著書・共著は『認知症の人の心の中はどうなっているのか?』(光文社新書)、『認知症「不可解な行動」には理由がある』(SBクリエイティブ)、『マンガ 認知症』(ちくま新書)、『認知症plusコミュニケーション 怒らない・否定しない・共感する』(日本看護協会出版会)、『心理老年学と臨床死生学』(ミネルヴァ書房)など多数。

本稿は『〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

イラスト/ねこまき(ミューズワーク)

家族が認知症になったら

診断を受けたら地域包括支援センターに連絡してみて!

本人の治療や介護、家族の不安や悩みまで、なんでも相談できます。

認知症の人を支えるのは家族だけじゃありません

各地にある地域包括支援センターでは、認知症に詳しい専門家がサポートします。

地域包括支援センターとは

専門知識をもつ職員が、地域の介護・福祉関連機関と連携して高齢者の生活を支えてくれる「高齢者の総合相談窓口」です。
健康、生活環境、家計のことなど、介護にまつわるさまざまな悩みに幅広く対応しています。
本人だけでなく、家族の困りごとも聞いてくれます。
地域によっては、「高齢者サポートセンター」「シニア相談センター」などと独自の名称がついているところもあります。

診断を受けたらまずは地域包括支援センターへ

認知症の診断後もしばらくは、様子を見ながら家族で面倒をみると考える人は多いかもしれません。
ただ、高齢夫婦のふたり暮らしや、家族と離れたひとり暮らしは目が届きにくく、同居でも、昼間はひとりで過ごす高齢者もよくいます。

認知症について少しでも不安や困りごとがあれば、まずは地域包括支援センターに相談を。
家族だけで悩み、解決策が見つからないことも、専門家からアドバイスをもらうことで解決の糸口が見えることがあります。電話での相談も可能です。
在宅介護では、要介護度に応じてデイサービスやヘルパー派遣などの介護サービスを受けられる介護保険制度も大きな支えですが、そういったサービスについても地域包括支援センターで相談することができます。

認知症介護は、周囲の人たちに事情を伝え、地域ぐるみで見守ってもらうことが必要なのです。

本稿は『〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

認知症の初期は便利機器の活用で乗り切る

認知症の初期は便利機器の活用で乗り切る

認知症でも環境を整えることで、ひとり暮らしを続けられます。

スマホでできること

私たちの身近にあり、いろいろな機能で日常生活を助けてくれるものにスマホ(スマートフォン)があります。
認知症を発症してから使いこなすのはむずかしいですが、普段からスマホを使っている高齢者なら役立つ機能があります。
本人の行動を制限せず、今まで通りの生活を長く続けるためにも、一緒に試してみましょう。

▼道に迷ったら…

地図アプリにあらかじめ自宅の住所を登録しておくと、矢印で道案内してくれる。
スーパー・病院など、よく行く場所も登録しておくと便利。

▼文字を打つのが大変だったら…

音声アシスト機能を利用すると、スマホに話しかけることで文章を自動作成してくれる。
「〇〇さんに電話して」と言うと電話をかけてくれたり、「コンビニを探して」と言うと近くのコンビニが地図に表示されたりもする。

▼薬を飲むことを忘れがちだったら…

アラームに薬の時間を登録。アラームだけでは何の時間かわからないので、「薬を飲む」と文字入力もしておく。

▼約束を忘れがちだったら…

カレンダーアプリに予定を登録。
期日が近づいたら教えてくれるリマインダー機能を設定すると、前日や直前に画面表示され、忘れにくくなる。

▼大切な物をなくしがちだったら…

スマホと連動する紛失防止タグを財布や鍵などにつけておく。
スマホを操作することでタグから音が鳴り、見つけられる。

本稿は『〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

火事の不安は早めの対策がおすすめ

火事の不安は早めの対策がおすすめ

初期のころはひとり暮らしを続ける人が結構いますし、若いころから続けている家事や日常の動作なら問題がないケースもあります。
こんなときは、本人ができる家事や作業を取り上げず、安全を確保しつつこれまでの生活が続くよう配慮します。

たとえば、料理をする人には認知症が進む前にIHヒーターに替え、早い段階で慣れてもらうこと。
これだけで火を出す可能性が低くなり、家族は安心できます。

ただし、認知症になると新しい手順などが覚えられないため、どうしても慣れた機器でないと使えない人も少なくありません。
そんな場合は火災報知器と自動消火装置を設置し、万一火が出ても初期消火ができる態勢を整えます。
火災報知器・自動消火装置・卓上型IHヒーターは、高齢者向けに給付制度を設けている自治体が多いので、地域包括支援センターに相談してみるといいでしょう。

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なお、本稿は書籍『〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら』(西東社)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。認知症は特別なものではなく、どんな人でも歳をとればとるほど発症する可能性が高くなります。不安ばかりが先立ってしまいそうですが、認知症は怖い病気でも、恥ずかしい病気でもありません。認知症になっても日々を楽しく過ごしている人はいますし、自分の生活を大事にしつつ、さまざまな介護サービスを利用しながら認知症介護に前向きに取り組んでいる家族もいます。終わりの見えにくい認知症介護を少しでもラクな気持ちで取り組んでもらえるよう、そんな思いを込めたのが本書です。認知症の人と穏やかに過ごすには、周囲の人にも理解してもらい、「お互いさま」の精神をもち社会全体で見守ること。そして、介護者の都合ではなく、認知症の人の側に立ってこの世界を見ることがポイントです。本書は、対応策がすぐわかる〇×マンガや、認知症心理学専門家による介護がラクになる対処法や認知症の人への接し方など、さまざまな事例をもとに、わかりやすく解説しています。

〇×マンガで対応策がすぐわかる 身近な人が認知症になったら
¥1,430
2022-10-09 9:37

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