知っておきたいオーディオ用語辞典
- アクティブスピーカー
- スピーカーを駆動するためのパワーアンプを、エンクロージャー内部に持つスピーカーのこと。音量調節のためのボリュームを備え、接続もスピーカーケーブルではなく、RCAケーブルなどで行う。パソコンやモバイル機器向けの小型スピーカーや業務用のスタジオモニターの多くはこの形式となっている。最近では、パソコン音源などをより高音質で楽しめる、USB DAC内蔵タイプも登場している。
- RCAピン端子
- アナログオーディオ入出力や同軸デジタル入出力、コンポジット映像入出力などで使われる接続端子。RCA社が規格化したコネクターを採用しており、この名で呼ばれる。
- ウーハー
- スピーカーに使用されるユニットで、主に低音部を受け持つものの名称。一般的なブックシェルフ型で直径16センチ、大型のものでは30センチ以上のものもある。
- A級アンプ
- アンプの動作方式としては、最も音質がよいとされる方式。アンプの増幅特性はリニアである(入力信号に正比例して出力信号が得られる)ことが望ましいが、音の立ち上がる小信号では増幅率が低い。そこで、回路にバイアス電流をかけることで増幅特性のリニアな部分だけを使用する。ただし、無信号状態でも常にバイアス電流がかかっており、発熱や消費電力が大きく、効率はよくない。
- AB級アンプ
- アンプの増幅方式の一つ。入力信号が小さいときはバイアス電流を上げ、大きいときにはバイアス電流を下げることで、電力効率を高めている。A級動作とB級動作の長所を併せ持った方式で、現在のオーディオアンプのほとんどがAB級動作となっている。
- XLRバランスケーブル
- オーディオ信号を、「+」「−」「アース」の3本で伝送する接続ケーブル。基準電位を規定するアースが独立しているため、ノイズに強く、安定した伝送が可能。高級オーディオ機器のほか、放送や録音現場などの業務用機器にも使われている。大型の端子形状から、キャノンケーブルと呼ばれることもある。
- エンクロージャー
- スピーカーの筐体を表す言葉で、もともとの意味は「囲い」。スピーカーユニットの裏側から出る音を囲うことで、前方から出る音との干渉を防ぐことが本来の機能。密閉型やバスレフ型(ダクトを備える)などの種類がある。エンクロージャーの容積や強度、材質などにより音質への影響が大きく異なるため、形状や構造、仕上げなどにさまざまな工夫が施されている。
- クロスオーバー周波数
- 2ウエイスピーカーなど、複数のユニットを組み合わせたスピーカーの受け持つ帯域の境目となる周波数。使用するユニットのサイズなどに合わせて、最適な周波数が設定されている。
- サブウーハー
- 小型スピーカーの低音再生能力を補助するために追加する低音専用スピーカー。AV再生における低音専用チャンネルのためのスピーカーとしても使われる。50ヘルツ以下の重低音を再現するため、ユニットはコーン型を使用。一般的なサブウーハーは、ほとんどが専用のアンプを持つアクティブスピーカーである。
- サンプリング周波数
- PCM方式のデジタル変換の際、再生可能な周波数を規定するもの。一般に、サンプリング周波数の約半分が音楽として記録でき、44・1kヘルツでサンプリングを行うCDの高域限界は、約20kヘルツとなる。
- CDDA
- Compact Disc Digital Audioの略で、直訳すると音楽用CD。つまり、一般的なCDの正式な名称。CD︱ROMなどと区別するため、このように呼ばれるようになった。
- 周波数特性
- スピーカーユニットが再生できる音の高低の幅を表したもの。再生周波数帯域に近いものだが、こちらはより細かい周波数ごとに音量レベルの大小が示され、ユニットの音色の特性などの目安にできる。また、アンプの場合は出力特性を表し、最近では、100kヘルツ以上もの超高域までフラットな特性を持つものもある。単位は、デシベルで表示。よりフラットであることが望ましい。
- シングルワイヤリング
- 一般的なスピーカー端子は「+」と「−」のペアで、2本一組みのスピーカーケーブルを使って接続される。これをシングルワイヤリングという。また、最近は、スピーカー端子が高音域用と低音域用に二組み用意されているものが増えており、この端子のそれぞれをアンプのスピーカー出力端子と接続することを、バイワイヤリングという。ユニット間の干渉が抑えられるなど、音質的にもメリットが多い。
- スーパーオーディオCD
- CDを超える高音質を目指して開発された規格(SACD)。CDのリニアPCM記録とは異なるDSDという方式を採用しており、100kヘルツに及ぶ超高域までの再生能力や120デシベル以上のS/Nを実現している。2チャンネルのほか、5・1チャンネルのサラウンド音声を収録することも可能。
- ダイナミックレンジ
- 音の大小の幅を示したもの。単位はデシベル。数値が大きいほど小音量と大音量の幅が広くなり、音楽の表現力も豊かになる。聴感上の音量変化の幅が広い音を、「ダイナミックレンジが広い」などと表現する。
- 2ウエイスピーカー
- 高音用のツイーターと低音用のウーハーの二つのユニットで構成されるスピーカーの型式。ユニット数が少ないため、コンパクト化しやすい。サイズがコンパクトになると低音再生が不利になるが、ウーハーをもう一つ追加した2ウエイ3スピーカー構成としたものもある。この2ウエイに、さらに中音用のスコーカーユニットを加えたものを3ウエイスピーカーと呼ぶ。ユニットが増えるほど高音質化に有利だが、サイズが大くなりがちで、価格も高めになる。
- ツイーター
- 高音域を担当するスピーカーユニットで、直径は20〜30ミリ程度と小さい。形状や大きさこそ異なるが、音を出す仕組みはコーン型とほぼ同じで、裏側にはボイスコイルやマグネットなどが装着されている。
- 定格出力
- アンプが適正な音質を保ちながら、常時安定して出力することができる音量の最大値。アンプ出力は組み合わせるスピーカーのインピーダンス(交流抵抗)によって変化するため、推奨するスピーカーのインピーダンスと合わせて、「100W(8Ω)」のように表記される。
- D/Aコンバーター
- デジタル信号をアナログ信号に変換する機器。もともとは、CDプレーヤーでCDを回転させるモーターの振動や、制御のためのサーボ回路が発するノイズの混入を防ぎ、精度の高い信号変換を行うために、筐体ごとセパレートする発想で生まれた。組み合わせるCDトランスポートからの入力だけでなく、BDプレーヤーなどからの入力にも対応している。高精度なクロック生成回路を備え、CDプレーヤーにクロックを供給する機能を持つものもある。
- DSD
- Direct Stream Digitalの略で、リニアPCMとは異なるデジタル記録方式。CDの64倍となる2・8Mbpsや、さらにその倍となる5・6Mbpsなどのサンプリング周波数で1ビット記録する。データの粗密でアナログ波形を記録するため、アナログに近い感覚の録音が可能といわれる。
- D級アンプ(デジタルアンプ)
- デジタルアンプで使用される増幅方式。出力信号がゼロのときは増幅素子が停止しているため、電力効率が極めてよく、発熱も少ない。このため、ヒートシンクを小さくすることができ、アンプを小型化することも容易。デジタル信号処理技術の進歩により、デジタル信号をそのまま増幅するデジタルアンプに採用されている。小型のホームシアターシステムや薄型テレビのオーディオアンプとして使われることも多い。
- トールボーイ型
- 細身で背の高い形状のスピーカー。スタンドが不要な自立型でありながら、設置面積は小型スピーカー並みで使い勝手がよく、人気がある。細身でも背の高いぶんだけエンクロージャーの容積も大きいので、低音再生能力も優れる。住宅環境などの点から、大型スピーカーは置けないが、小型だと低音が物足りないという人に適している。
- NAS
- Network Attached Storageの略で、家庭内ネットワークに接続された外部記憶装置のこと。手持ちのCDなどのコンテンツをNASに保存し、パソコンやネットワークオーディオプレーヤーから再生するといったデータの共有が可能になる。
- ネットワーク
- アンプから送られてきた信号を各スピーカーユニットに振り分ける回路。それぞれ低音/高音に帯域を分けるなど、スピーカーの頭脳ともいえる役割を果たしている。可能な限りシンプルな回路設計で音の劣化を抑えたものや、ユニット間の位相特性まで厳密にそろえようとする複雑なものなど、設計者によりさまざまな違いがある。
- ネットワークプレーヤー
- CDプレーヤーのようなドライブメカを持たず、ネットワーク経由でパソコンやNAS(ネットワーク対応HDD)から音源データを受け取って、音楽再生を行うプレーヤー。駆動のためのモーターがないため振動の影響がなく、音質的に有利。USB DAC内蔵モデルも多い。
- バイワイヤリング
- →シングルワイヤリング
- バスレフ型
- エンクロージャーの一部に開口部を設けたダクトを備えるエンクロージャー型式。エンクロージャー内部の音を、ダクトを通じて外に出すことで、特定の音域(主に低音域)を増強することができる。サイズの小さなスピーカーは低音の再生能力には限界があるが、バスレフ型とすることで、低音感の不足を補うことが可能となる。
- バランス動作
- アンプ回路の各部分における信号増幅や信号の伝送を、「+」と「−」で完全に対称となるように設計したもの。ステレオアンプの場合、一般的なアンバランス動作では左右で計2個のアンプ回路を持つが、バランス動作の場合は左右それぞれに「+」と「−」の増幅回路を持つ。また、バランス伝送は、「+」のラインと「−」のラインのほかに独立したアースラインを持つため、「+」と「−」が対称の信号として伝送される。
- B級アンプ
- A級動作よりも増幅効率を高めた方式。音質をやや犠牲にしてバイアス電流を下げ、より大出力の信号が得られるようにしている。しかし、増幅特性がリニアでない部分も使用するため、「+」側の増幅素子と「−」側の増幅素子の出力が交差する部分で信号が歪んでしまう問題(クロスオーバー歪み)も抱えている。
- 光/同軸ケーブル
- デジタル音声信号を伝送するためのケーブル。光ケーブルはTOSリンクとも呼ばれ、光の点滅でデジタル伝送を行う。電気的に分離されているので、ノイズの遮断に効果があるといわれる。同軸ケーブルはRCA端子を使ったもので、電圧の高低でデジタル伝送を行う。普及度は光ケーブルが上だが、信頼性では同軸ケーブルのほうが優れているとされ、高級オーディオ機器での採用が多い。
- フォノ入力
- アナログレコードプレーヤーの出力信号を接続するための専用入力。MM型/MC型のアナログカートリッジに対応したものが多い。フォノ入力の信号は、CDプレーヤーなどのライン出力と比べて小さいため、専用の増幅回路(フォノアンプ)が必要となる。入力インピーダンスが高いため、誤ってライン出力の機器の信号を接続すると、機器を破損するおそれがある。
- ブックシェルフ型
- いわゆる小型スピーカーの名称で、本棚に収まるサイズという意味でこう呼ばれる。ロジャースなどの小型BBCモニターなどが代表的だが、国内のメーカーも、使いやすさから、このサイズのスピーカーを数多く発売している。低音を増強するため、バスレフ方式を採用するものが多いが、数は少ないものの密閉型もある。
- FLAC
- Free Lossless Audio Codecの略で、圧縮しても元の情報を完全に復元できるロスレス圧縮規格。ハイレゾ音源の配信などで広く採用されている。
- プリメインアンプ
- プリアンプとパワーアンプを一体化したもの。インテグレーテッドアンプともいう。国内での一般的なプリメインアンプは、ステレオ再生に対応したものが多い。ライン入力やフォノ入力に加えて、テープデッキやレコーダーを接続するための録音用出力端子も備えている。
- フルレンジスピーカー
- 一つのユニットで、高音から低音までをすべて受け持つスピーカー。ユニットによる音色の違いや音源位置のズレといったことがないため、音の定位は極めて優れており、低音の不足はエンクロージャーで補っている。ネットワーク設計が容易ということもあり、自作もしやすい。
- 密閉型
- バスレフ型のような開口部がなく、エンクロージャーを完全に密閉した方式。バスレフに比べて最低域は伸びるものの、量感は乏しい。能率も低めになるため、大出力のパワーアンプでないと鳴らしにくい。しかし、バスレフとは異なる芯のある音色で、これを愛好する人も多い。
- USB DAC
- パソコンと接続するためのUSB端子を備えたD/Aコンバーター。単体の製品もあるが、アンプやCDプレーヤー、スピーカーなどに内蔵された複合型モデルも数多く登場している。ハイレゾ音源に合わせて、PCM音源だけでなく、DSD音源に対応したものも増えている。
- リニアPCM
- PCM方式で変換されたデジタル信号。現在では、圧縮などを行わない、情報劣化のない音楽データの意味でも使われている。
- 量子化ビット数
- PCM方式でのデジタル化の際、音の大小を規定するもの。CDは16ビット、ハイレゾでは24ビットなどとなっている。量子化ビット数が多いほど微少な音の再現性に優れるが、記録のための情報量も増加する。
- レシーバー
- プリメインアンプにFM/AMチューナーを内蔵したもの。レシーバーアンプと呼ぶこともある。国内ではあまり見かけないが、FM放送が広く普及しているアメリカでは、プリメインアンプといえば、ほぼレシーバーとなっている。AVアンプは、チューナーを内蔵したレシーバータイプが一般的だ。
- WAV
- デジタル音声信号のフォーマットの一つで、リニアPCM信号をそのままデータ化したもの。録音されたデータそのままなので、最も高音質だが、データ量も大きい。