ブルートゥース伝送では、ハイレゾ対応規格も採用されている。高音質コーデック対応ヘッドホンが増加中。こうした高音質規格の伝送は、再生機(プレーヤー)と受信機(ヘッドホン)の両方の対応が不可欠。従来、再生時のコーデックの確認は難しく、ユーザーが任意に選ぶこともできなかったが、ここにきてようやく任意のコーデックを指定、確認できるプレーヤーが登場しつつある。
ダイナミックレンジやS/NでLDACが圧倒
ブルートゥース伝送では、音声信号を圧縮/伸長するコーデックという技術が使われる。標準はSBC。音質改善を図ったコーデックのAACやaptX対応機種も多く、最近はaptX HD(最大48kヘルツ/24ビット)、LDAC(最大96kヘルツ/24ビット)といったハイレゾ対応規格も採用されている。
こうした高音質規格の伝送は、再生機(プレーヤー)と受信機(ヘッドホン)の両方の対応が不可欠。従来、再生時のコーデックの確認は難しく、ユーザーが任意に選ぶこともできなかったが、ここにきてようやく任意のコーデックを指定/確認できるプレーヤーが登場しつつある。
そこで、各コーデックの音質をソニーのNW-ZX300とWI-1000Xの組み合わせで確認してみたが、ダイナミックレンジ、S/N感、分解能で、LDACが圧倒的な優位性を示した。音の機微まで鮮明に描き上げる豊富な情報量はみごとだ。
ただ、LDACには「音質優先」と「接続優先」という二つのモードがあり、そのクオリティ差は意外に大きかった。「接続優先」だと、全体的にスケール感が後退し、ニュアンスや細部の描き分けも甘くなる。音の骨格を明確に描き、躍動感に富んだサウンドを描き出したaptX HDのほうが好ましい印象だった。
また、aptXは音像の定位が明確で、躍動感も感じられるが、上位規格に比べると、ダイナミックレンジに物足りなさを感じてしまった。
■高音質コーデック対応機が増加中
ソニー
WI-1000X
実売価格例:3万6750円
ヘッドホンMDR-1000X(生産終了)のワイヤレス伝送やNC(ノイズキャンセリング)機能を受け継いだネックバンドモデル。SBCでは低域の分解能が低く、余韻も淡白だが、LDACでは解像力が一変し、厚みのある堂々とした納得の音だ。
エレコム
LBT-HPC1000MPGD
実売価格例:2万2020円
LDACやaptX HDなど各種コーデックに対応し、LED表示により、接続中のコーデックが確認できる。NW-ZX300との組み合わせでは、LDACが高分解能で、帯域バランスが良好だった。中でも、クオリティ感では「音質優先」が群を抜く。
JVC
HA-FD02BT
実売価格例:4万8470円
独自の K2 テクノロジーをブルートゥース伝送に最適化し、ハイレゾに匹敵する再現性を目指した話題のモデル。実際、AACの音もワイドレンジで、雑みがない。微小信号の甘さも気にならず、全体の分解能が上がる印象だった。
■コーデックを選択できるプレーヤーやスマホが登場
ソニー
NW-ZX300
実売価格例:6万7190円
音質重視の姿勢を打ち出し、同時に機能性も追求した人気の音楽プレーヤー。コーデックもLDAC、aptX HD、aptXに対応し、ユーザーが選ぶことも可能だ。
ソニー
Xperia XZ2
実売価格例:10万2720円
ソニーのスマホ、Xperiaの最新モデル。LDACやaptX HDに対応済みで、開発者モードを有効にし、「開発者向けオプション」に入れば、好みのコーデックが選べる。
解説/藤原陽祐(AV評論家)
※価格は記事制作時のものです。