スティック型の人気で、目立たなくなっているコード式キャニスター型掃除機だが、コード式・キャニスター式のメリットがある。掃除機を買い替える際は、候補の一つとして検討してもいいほど進化している。今回は、コード式キャニスター掃除機の中から最新のサイクロン式4モデルを比較。4機それぞれの特徴や注目ポイントをチェックしていこう。
使い方によってはコード式キャニスターの方がいい!
コードレススティック掃除機が全盛の時代。
しかし、その勢いに流されて、選択肢がスティック一択になっていないだろうか。使い方によっては、パワーの安定したコード式キャニスターが向く場合もある。今回は、最新のサイクロン式4モデルを使い、その実力を再確認してみよう。
キャニスター型のメリットとは?
電源がきっちり確保でき、時間を気にせず使える
性能の向上やバッテリーの長寿命化で、掃除の能力が年々上がっているコードレススティック掃除機。今や、サブで使う掃除機ではなく、家中を掃除するメイン掃除機としての需要も伸びている。コードに拘束されず、快適に使えるのがコードレスのいちばんの魅力だが、半面、稼働時間や吸引力に制限があるのも事実だ。
その点、コード式キャニスター掃除機は、コードの抜き差しがめんどうだったり、取り回しが大変だったりするものの、電源はコンセントからきっちり確保できる。使いたいときに確実に使え、電池切れで掃除が中断されるストレスもない。コードレスでは、バッテリー残量がどうしても気になるが、コード式なら、しっかり掃除機をかけたいときに、安心して「強」モードが使える。好きなときに好きなパワーで掃除できるのが、コード式のメリットだ。
ハイパワーなのも特徴で、家にじゅうたんやラグがあり、パワーブラシでガシガシ吸い取りたい場合は、コード式が向くだろう。
コード式キャニスター型掃除機のメリット
❶コード式なら、運転時間を気にせずに、しっかり掃除ができる
❷吸引力が強く、安定している。ペットの毛などにも有効
❸本体もホース部も重量が軽くなり、取り回しがしやすくなった
メタルパーツにより、約2年間手入れ不要パナソニック MC-SR560G
実売価格例:5万910円
サイクロン式
集じん容積0.25L
【付属品】
●ワンタッチ手元ブラシ
●ふとん清潔ノズル
●ペタすき間ノズル
●ホース掛け
●つぎ手パイプ
サイクロン掃除機
MC-SR560G
注目ポイント
●フィルターレスサイクロン
8気筒遠心分離ユニットが、高速回転の遠心力でゴミを強力に分離。集じん部のメタルパーツがゴミの付着を抑えるため、パワーが持続する。
注目ポイント
●LEDナビライト
ノズルの先に高輝度LEDライトを搭載。ゴミが浮き上がって見えるので、暗くて見えづらい場所の掃除もしっかりできる。
注目ポイント
●クリーンセンサー
ホース部に搭載した赤外線センサーが、目に見えない約20マイクロメートルのハウスダストも検知して知らせる。
本体重量2.3キロのコンパクトボディ東芝 VC-SG900X
実売価格例:6万3590円
サイクロン式
集じん容積0.2L
【付属品】
●電動ふとんブラシ
●ロングアタッチメントセット
●すき間ノズル
●お手入れブラシ
サイクロン式クリーナーコード式
VC-SG900X
注目ポイント
●フィルターレスサイクロン
10気筒の高速気流で、チリや花粉など微細な粒子まで分離するため、フィルターなしでもきれいに排気。新機能「トルネードプレス」でゴミを強力に圧縮する。
注目ポイント
●ラクトルパワーヘッド
ヘッド内部の風の流れを改善し、吸込口を幅広く取ることで吸引力アップ。素材の見直しで軽量化も実現した。
注目ポイント
●ゴミを約1 / 7に圧縮
圧縮部にらせん状の羽根を付けることで、上昇気流がより強く発生。ゴミ圧縮率が、従来の約1/5から約1/7へ向上した。
2種類のフィルターで微細なゴミを捕集三菱 TC-ZXH30P
実売価格例:7万7770円
サイクロン式
集じん容積0.7L
【付属品】
●2WAYロングノズル
●アレルパンチふとん
クリーンブラシ
●エアブローノズル(幅広)
●ブローはたきノズル
●お手入れブラシ
サイクロン式掃除機
TC-ZXH30P
注目ポイント
●風神サイクロンテクノロジー
二重構造のダストカップで、ゴミを外側に追い出し、風でゴミをかき回さない仕様。高性能フィルターを通して排気するので、きれいな空気が排出できる。
注目ポイント
●エアブロー機能
風の力でゴミを掃き出す機能。吸い込みたくないゴミや、手の届かない場所のホコリを飛ばすことができる。
注目ポイント
●際取りブラシ
前側の吸引口に加え、後ろ側の両サイドにも吸引口を設置することで、ブラシの隅までしっかり吸い取る。
パワーブーストサイクロンで、強い吸引力日立 CV-SF900
実売価格例:5万5790円
サイクロン式
集じん容積0.4L
【付属品】
●ほうきブラシ
●ワイドふとんブラシ
●クルッと切替えブラシ吸口
●サッとハンドル
●お手入れブラシ
サイクロン式クリーナー
CV-SF900
注目ポイント
●パワーブーストサイクロン
流路や集じん部を徹底的にスムーズ化して、パワーロスを低減。サイクロン室の入リ口で力強い竜巻を発生させることで、ゴミと空気をしっかり分離する。
注目ポイント
●ほうきブラシ
チューブ状の吸込口を中央に搭載。引き出しの中やサッシの溝、カーテンなども掃除に重宝する。
注目ポイント
●パワフルスマートヘッド
ヘッドの押し・引きに合わせて開閉する「ダブルシンクロフラップ」、壁際のゴミに強い「きわぴた」構造で掃除効率アップ。
キャニスター型の進化
本体もパイプも軽くなり、使い勝手も格段に向上
“昭和の家電”のような古くさいイメージも、コード式キャニスターには付きまといがちだが、もちろん、昔のままで技術が止まっているわけではない。コードレスクリーナーと同様に、さまざまな面で進化を遂げている。
まずは、小型・軽量化が進み、以前あった「大きく重い」というイメージが、かなり払拭された。今回の4機種の中で、それが最も顕著なのが東芝機。幅18センチ、奥行き30センチという、A4用紙よりも少し小さいくらいのサイズ。重量も、2.3キロという軽さだ。本体がキュッとコンパクトにまとまっており、見た目もいい。
かつては大きいモーターを積んで吸引力を競っていた時代もあったが、今は、全体的にコンパクトさや扱いやすさを重視する流れになっている。この辺は、コードレススティック型の扱いやすさを意識してのことだろう。
掃除機本体だけでなく、ホースやパイプなども、より軽く、しなやかで動きやすい素材が採用されている。そのため、操作感が軽くて小回りが利き、移動がスムーズだ。本体のバランスがいいので、横倒しになることもほとんどないし、ホースが柔らかいことで、狭い場所の掃除も楽にできる。
構造が複雑だったダストカップも、ずいぶん扱いやすくなった。以前は、取り外しや装着に悪戦苦闘し、時間を要することも少なくなかったが、最近のモデルでは、説明書を見なくても、感覚的に作業できるようになった。また、気軽にパーツを水洗いができるので、衛生面もアップした。
また、ヘッドも進化しており、これが、それぞれに個性があっておもしろい。
東芝のパワーヘッドは、吸込口がワイドな自走式。ブラシには静電気の発生を抑えるAg(銀)素材を採用し、床のゴミ離れをよくして、ハウスダストを掻き取る。また、ヘッドを浮かせると運転を停止する節電機能も備えた。
軽さを重視するパナソニックは、軽量素材を使ったパワーヘッドを採用。ノズルからマイナスイオンを放出し、静電気で張り付いた微細なゴミや菌を引きはがして、床のザラつきを抑える。以前から好評の親子ノズルも進化し、親だけでなく、子ノズルにもLED照明を装備した。
日立の自走ブラシは、「ダブルシンクロフラップ」がユニーク。押すときは前のフラップが開き、壁際や大きなゴミに対応。引くときには後方のフラップが開いて、残りのゴミを吸引する。同時に圧力調整も行うため、ラグがヘッドに吸い付かないという利点もある。
三菱の自走パワーブラシは、独自の”三つの風路構造”が特徴だ。前側のメイン吸引口に加え、後側のサイド2ヵ所に吸引口を設置。メイン口の取りこぼしをフォローし、ブラシの幅いっぱいまで、しっかり吸い取る。
その他の特徴
エアブローやほうきブラシなどもユニーク
このほかの特徴を見てみよう。
パナソニックは、ゴミの分離にメタルパーツを採用。これは、ゴミの目詰まりや付着を防止する機構で、ダストカップの手入れが約2年間不要とうたっている。高性能なゴミセンサーを搭載し、ハウスダストや花粉を検知するため、アレルゲン対策にも有効だ。
東芝は、強力な気流により、ダストカップ内でゴミを約1/7にまで圧縮。コンパクトなボディでもたっぷり吸えるほか、ゴミ捨て時のホコリの飛び散りや舞い上がりを防いだ。
三菱は、ダストカップ内を「ゴミ分別室」と「風の旋回室」に分ける独自機構により、ゴミの中を風が通りにくくして、ニオイの発生を抑える。排気は、空気清浄機などで使われるフィルターを通して行われるので、よりクリーンな排気が可能だ。その排気を利用したエアブロー機能も独特で、ブラシやノズルが届かない場所のゴミを、風で掃き出すのに重宝する。
日立は、手元のレバーを引くと、パイプの長さが調節できる「サッとズームパイプ」が評判だ。また、チューブ状の吸込口により、小物を吸わずに引き出しの中を掃除できる「ほうきブラシ」も特徴的。
キャニスター型掃除機は、全体に手元が軽く、使い心地がいい。スティック型は総重量は軽いものの、手元が重いため、しばらく使っているとだるさを感じることがある。じっくりと丁寧に掃除したいという場合には、やはりコード式キャニスター型が心強い。
ここもチェック!実は、キャニスター型にもある「コードレス」の注目2機種
コードレスキャニスター型は、コード式キャニスター型とコードレススティック型の中間的存在。コードレス式がいいけど、スティック型よりパワーが欲しいという人に向いている。
以前は、バッテリーでキャニスター型の吸引力を実現するのが難しく、実用面で物足りなさがあったが、モーターやバッテリー性能が向上したことで、パワーとスタミナの両立が可能になった。現在、コードレス式を扱っているのは2社。
シャープは、本体1.8キロという軽さが魅力だ。カーボンパイプにより、取り回しも上々。バッテリーを2個同梱し、最長で約60分(弱モード)の運転を実現している。東芝は、大きな車輪付きの円筒形ボディが特徴的。大容量バッテリーにより、最長約60分の連続運転を誇る。本体のゴミを自動吸引する機構も斬新だ。
シャープ EC-AS710
実売価格例:6万2390円
集じん容積:0.25L
充電時間:約80分(バッテリー1個)
連続運転時間:約60分(弱)約40分(自動エコ)約16分(強)
※バッテリー2個(同梱)の場合
東芝 VC-NXS2
実売価格例:8万5710円
集じん容積:0.2L(本体)0.8L(ダストステーション)
充電時間:約5時間
連続運転時間:約60分(標準)約30~40分(おまかせ)約7分(強)
サイクロン式クリーナー充電式
EC-AS710
紙パックレス式クリーナー充電式
VC-NXS2
電源コードの黄と赤のラインは何?
黄色は、「ここまで出して使いましょう」のサイン。赤色は、「これ以上引っ張ると断線の危険が」という警告。コードをしっかり出すことですき間ができ、掃除機の発熱防止に役立つ。
壁のスイッチがコンセントになる!
低い位置のコンセントを使うのが大変な場合は、照明用スイッチの高さに設置できる「あけたらコンセント」が便利。かがむことなく、電源の抜き差しが可能だ。
あけたらコンセント
WTC5221W
まとめ
スティック型の隆盛により、目立たなくなっているコード式キャニスター型だが、現在も着実に進化しており、高い掃除能力を保持している。新しい買い替えの候補にも十分なりうるので、ふだんの使い方や必要性をしっかり見極めてほしい。もちろん、シンプルさや機動性を求めるなら、スティック型を選ぶのもありだ。自分に合った掃除機が、生活をより快適にしてくれるだろう。
※価格は記事作成時のものです。
●監修/中村剛
●取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)