第3次コーヒーブームを背景に、家庭用コーヒーメーカーが人気だ。簡単に扱える機種から味にこだわった高級機種までさまざまなタイプの製品が発売されている。今回は、ツインバード・象印・ネスレから、タイプが異なる3台をピックアップし、その持ち味を探った。
目指せ!家電選びの達人今回の家電は「コーヒーメーカー」
第1次コーヒーブームから半世紀。コーヒーを飲む文化が日本にすっかり根づき、最近は、いろいろなバリエーションで楽しむ人が増えてきた。それに合わせ、家庭で使うコーヒーメーカーも、多様性を見せている。今回は、今どきのトレンドが見られる3機種を集めてみた。

監修者のプロフィール
中村剛
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。
今、コーヒーが大人気
■ブームを背景にコーヒーメーカーも多様化
日本における第1次コーヒーブームは、インスタントコーヒーや生豆の輸入が自由化し、純喫茶で賑わった1960年代。1990年代には、スターバックスの上陸とともに第2次コーヒーブームが到来、そして、2013年以降には、第3次コーヒーブーム(サードウエーブ)という言葉が使われるようになっている。
年間10億杯を販売するセブンカフェなどコンビニコーヒーの台頭で、レギュラーコーヒーのおいしさが見直され、また、ブルーボトルコーヒーに代表される、味や風味にこだわった高級コーヒーが上陸し、人気を集めたことなどが、サードウエーブの象徴といえるだろう。
これらのブームを背景に、最近では家庭用コーヒーメーカーも盛り上がりを見せており、製品も多様化している。数千円で買える手軽な機種から、味にこだわった数万円の機種など、さまざまなタイプの製品が発売されている。
このあたりは、炊飯器やトースターの進化と似た部分がありそうだ。かつては、どの商品も目立った違いがなく横並びだったが、市場が成熟するにつれて、おいしさを追求した高級機、使いやすいシンプル機など、さまざまな商品が展開され、賑わいを見せている。
今回は、同様の発展を遂げつつあるコーヒーメーカーの中から、タイプの異なる3台をピックアップし、持ち味を探ってみた。

3タイプのコーヒーメーカー
■こだわりの全自動、気軽なドリップ式、カプセル式
同じ豆を使用して同じように淹れたコーヒーでも、抽出時間や方法によって、味に違いが出てくる。おいしいコーヒーを入れるには、蒸らしやお湯の注ぎ方など、それなりのテクニックが必要だ。
コーヒーメーカーは、その部分を代行し、どんな人でも簡単においしいコーヒーを淹れられるアイテムだ。レギュラーコーヒーを淹れるには、グラインドされたコーヒー豆をドリップするタイプが一般的だが、より豊かな風味を得るため、豆を挽くところから行うモデルも人気になっている。
その中で、最近ヒットしているのが、ツインバードの全自動モデルだ。コーヒーレジェンドと呼ばれる世界的に有名な田口護氏が監修したこのマシンは、氏が直営する有名店「カフェバッハ」の味を自宅で再現できるのが、最大の売りになっている。
風味が保持できるミルを独自開発するところに始まり、カップ数で蒸らしの湯量を変える調節機能、穴の数やリブの高さまで計算し尽くしたドリッパーなど、随所にこだわることで、レジェンドの手法を忠実にトレース。
一つ一つの工程を丁寧に行うため、時間はかかるが、初心者でもスペシャルな1杯が淹れられると好評だ。お湯の温度やミルの粗さが調整できるので、田口氏のメソッドをベースに、自分流の1杯を追求することもできる。
コーヒーレジェンド、田口護氏監修。味へのこだわりはもちろん、五感で楽しめる工夫も!
ツインバード
CM-D457B
実売価格例:4万3070円
ブルーボトルコーヒー創業者ジェームズ・フリーマンなど多くの弟子を持ち、世界からレジェンドと評される田口護氏監修の一台。豆の粒度やお湯の温度、蒸らし湯量やタイミングなど、随所にこだわりが盛り込まれた。

●サイズ/幅160mm×高さ360mm×奥行き335mm
●重量/4.1kg
●最大容量/450mL
●消費電力/610W
●電源コード長/約1.4m
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●83℃と90℃の2段階に温度調節可能

豆の鮮度や煎り具合に応じて、粒度は粗・中・細挽きの3段階、温度設定は83℃と90℃の2段階に調節可能。操作部は前面に集約されており、使いやすい。
●低速臼式フラットミル

挽きムラをなくすため、業務用機材で使われる臼式のフラットミルを採用。低速で、均一にコーヒー豆を挽くことで、雑味を抑えたすっきりとした味わいをかなえる。
●独自形状の刃と3段階の粒度設定

刃の形状を独自に設計して、低速回転でも力強く挽けるよう調整。粉の粒の大きさをそろえつつ、摩擦熱を抑えることで、豆の風味が保持できるようになった。
●コーヒーを淹れる様子を五感で楽しめる

シャワー噴出口とドリッパーの間にあえて約2センチのすき間を設けることで、挽かれた豆が落ちる様子や、ドリップされて膨らむ様子など、プロセスを楽しめるようになっている。
片や、もっと気軽にコーヒーとつきあいたいという向きに受けているのが、象印のSTAN.だ。
コーヒー粉をドリップするベーシックな機種で、スイッチは一つしかなく、シンプルを極めたミニマムな一台。機能はコーヒーを淹れるのみで、保温タイマーや杯数調節などの付加機能は搭載していない。杯数の調節は、粉の量とタンクに入れる水量で行う。
一方で、おいしく淹れるための技術はきちんと搭載しており、象印独自の95℃高温抽出で、コクと香りを引き出したコーヒーが楽しめる。
また、フィルター部分をポット内に入れた構造や、親指でふたを押さえやすくした形状などにより、片手でもそそぎやすくなっている。毎日の道具として、ストレスのかからない使い勝手も大きな特徴だ。
95℃の高温で抽出できるコンパクトモデル
象印
STAN. EC-XA30
実売価格例:1万800円
マグカップ2杯分のコンパクトなコーヒーメーカー。水をヒーターで2回加熱する高温(95℃)抽出で、コーヒー本来の味わいと深いコクを引き出す。カルキを取り除く浄水フィルターも搭載。

●サイズ/幅150mm×高さ235mm×奥行き225mm
●重量/1.8kg
●最大容量/420mL
●消費電力/650W
●電源コード長/約1.3m
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●外して洗える水タンク

水タンクは本体から外せるので、給水やお手入れが簡単にできる。コーヒーを淹れるときは、杯数に合わせて、水タンクに記された目盛りまで水を入れて本体にセットする。
さらにカジュアルにコーヒーを楽しめるのが、カプセルタイプのドルチェグスト。コーヒー豆(粉状)の入ったカプセルを本体に装着するだけで、1杯分のコーヒーが簡単に淹れられる。
カプセルは真空密封されているので、豆の鮮度が保たれ、手軽ながら味や風味は本格的。種類は20を超えており、レギュラーコーヒーやカプチーノのほか、紅茶や抹茶、チョコ系のデザートコーヒーなどもあり、まるで自動販売機のように好きなドリンクが飲める。
最近は、スターバックスとコラボしたカプセルを販売したほか、新製品ではブルートゥース機能を搭載。アプリで温度調整や、ポイントの付与など新しい試みを導入し、飽きずに使う工夫がなされている。
専用カプセルは20種類以上。手軽に淹れたての味と香りが楽しめる
ネスレ
ネスカフェ ドルチェ グスト
ジェニオ アイ
実売価格例:1万1920円
世界累計出荷台数5000万台を突破した、カプセル式コーヒーマシン。最大15気圧のポンプ圧力で抽出することにより、本格カフェと同等の繊細なクレマ(泡)を実現。手軽に淹れたての味と香りが楽しめる。製品ラインアップも多彩。

●サイズ/幅165mm×高さ300mm×奥行き231mm
●重量/2.6kg
●タンク容量/650mL
●消費電力/1460W
●通信/Bluetooth、Wi-Fi
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カプセルは20種類以上と豊富。いずれも特許技術を使った専用の5層カプセルを使用し、光や空気、湿気をブロック。淹れる瞬間まで鮮度をキープする。
デザイン面の特徴
■いずれもインテリア性が高く、見た目にも楽しめる
これらの3機種は、インテリア性が高く、見た目にもこだわっているのがポイント。
象印は、コンパクトで圧迫感のない、日常にさりげなく溶け込むシックなデザイン。角が少ないラウンド型で手入れがしやすく、シンプルな中に、機能美が備わっている印象だ。
ドルチェグストは、デザインに遊びが多くてアグレッシブ。今回の機種のほかにも、日食をテーマにした製品など、オブジェのような大胆なデザインを採用したものも多く、見栄えがする。
ツインバードは、抽出の様子をあえて見せる、オープンなデザインが特徴的だ。豆の膨らむ様子やコーヒーの香りに触れられ、コーヒーを入れるプロセスを五感で楽しむことで、コーヒーを雰囲気ごと味わえるようになっている。
プロファイルを基に、生豆から自家焙煎できるサービスも登場
一説によれば、コーヒーのおいしさを決めるのは、7割が生豆の品質、2割が焙煎、1割が抽出なのだという。パナソニックが展開する「The Roast」は、抽出以外の9割の部分を担おうというプロジェクトだ。
焙煎機を購入し、サービスに加入すると、世界中から厳選された生豆が定期的に到着。同時に、その豆に合った焙煎のプロファイルも送られてくる仕組みだ。プロファイルの作成は、焙煎の世界チャンピオンである後藤直紀氏によるもの。そのデータを焙煎機に転送することで、高難度のこだわりのローストが、素人にも失敗なく実行できる。
焙煎機+スターターキットの価格は10万円(税別)。生豆の値段も安くはないが、極上の1杯が淹れられることで引き合いは多いそう。最近のコーヒーブームを象徴するサービスといえるだろう。

定期頒布される品質の高い豆を、プロの焙煎士の技術そのままに、自家焙煎で再現。焙煎機は、豆の特徴を引き出すためのきめ細かな温度・風量制御が可能になっている。
パナソニック
The Roast Basicサービス
焙煎機本体+スターターキット:10万円(税別)
[キット内容:焙煎機本体、チャフ専用ビン、スターターキット(生豆200g×2種、ジャーニーブック)]

世界中の生産地から厳選された上質な生豆(3800円~)。プロファイルに合わせ、熱風温度や風量をきめ細やかに制御し、ムラなく焙煎する。

QRコードから読み取ったプロファイルを焙煎機へ転送。焙煎状況もスマホで確認できる。
まとめ
コーヒーメーカーを選ぶには、コーヒーとの距離感が、一つの目安になる。
今回の3機種でいえば、じっくりコーヒーと向き合うならツインバード、生活の一部として、肩の力を抜いてつきあうなら象印、バラエティ豊かに楽しみたいならドルチェグストといった具合だ。
高い機種を買っても、操作がめんどうで使わなくなっては意味がないので、自分のスタンスに合ったものを見極めてほしい。
※価格は記事作成時のものです。
取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)