【荒野のコトブキ飛行隊 完全版】リアルな音響と3DCGで迫真の空戦を堪能できる劇場アニメ

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本作はTVシリーズとして放送された「荒野のコトブキ飛行隊」を、新作シーンを加えて再編集した劇場公開作。コトブキ飛行隊とオウニ商会を中心とした視点でまとめられ、追加シーンではコトブキ飛行隊の面々の出会いや結成までのエピソードが描かれ、コトブキ飛行隊の絆が強くクローズアップされた内容となっている。そして、空戦シーンは音響をさらにグレードアップし、ますます迫力のあるアクションが楽しめる。

舞台は荒野の世界「イジツ」

ユーハングの飛行機が飛び交う

一面の荒野を編隊を組んだ戦闘機がとぶんでいく

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

一面の荒野が広がる世界「イジツ」。そこはかつてユーハングと呼ばれた人々がもたらした飛行機や飛行船を使った空路による交易で成り立っている。空には交易のための物資を運ぶ飛行船が飛び、それを狙う空賊や飛行船を守る飛行隊が戦いを繰り広げている。そんな飛行機はほとんどが現実では旧日本軍の戦闘機で、隼や零戦、紫電改といった有名な戦闘機が迫力ある空戦を繰り広げるというわけだ。物語は女の子だけで結成されたコトブキ飛行隊の活躍を中心に描かれる。異世界を舞台としたSF作品とすることで、より自由奔放な空戦アクションが展開していくことが魅力だ。

コトブキ飛行隊の面々。この6人を中心に物語が展開していく

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

3DCGによる精密な戦闘機たち

ディテイルはもちろん、ペイントや汚れまで精密に再現されている。

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

コトブキ飛行隊の面々が搭乗する隼一型をはじめ、作品には旧日本軍を中心としたさまざまな戦闘機が登場する。これらは3DCGで描かれ、期待の細部に至るまで精密にモデリングされているほか、パーソナルマークや塗装、そして機体の汚れなどもリアルに再現されている。そして、その動きもかなり見応えがある。有名な戦法である、木の葉落としをはじめ、現実にあった空戦の機動をリアルに再現する一方で、飛行船の中にある甲板に着艦するなど、アニメらしい現実を超えたアクションも数多く盛り込まれ、リアルな空戦を超えた迫力たっぷりで見応えのある空戦が楽しめるものとなっている。

たくさんの飛行機が飛び交う空戦では、引いた構図で編隊で飛行する各戦闘機の動きがわかって面白いし、コクピットから見た主観視点では、前を飛ぶ戦闘機に銃撃をするほか、後ろに迫った敵戦闘機の銃撃にさらされ、身をよじるようにして敵機から逃れようと急旋回や急降下を行う迫力の映像がたっぷりだ。見どころは、索敵から身を隠すために大峡谷の合間を抜けて飛ぶシーン。まさしくジェット・コースターに乗っているような感覚で、コクピット内のリアルな描写や機体のエルロンやフラップ、昇降舵といった機体の動きも精密に描写されていることもあり、戦闘機やレシプロ飛行機が好きな人にとってはたまらない映像になっている。

7.1chにグレードアップされた音響

そして、7.1chにグレードアップされた音響が迫力をさらに高めている。銃撃音や銃弾が当たったときの独特の音はもちろんだが、なによりも風の音が実にリアルだ。コクピット内から見た視点では、風が風防に当たっている感じの低く唸るような音がするし、機体のあちこちも軋んだ音を出したり、旋回時には機体がねじれた感じの音がする。それらが前方だけでなく、後方や真横のあちこちから聞こえてくるので、自分がコクピットに乗って空を飛んでいるような気分なる。

迫力のアングルと7.1chの音響で空戦を体感できる

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

また、戦闘機の動きを外から追うカットでは、エンジンの唸るような音が迫力たっぷりだ。風切り音もコクピット内とはまた違った音になっていて、実際に空を飛ぶ飛行機を見ている感じになる。急上昇や急降下、右や左への旋回など、機体の動きに合わせて、エンジン音も回転数が変化しているのがわかるし、速度によって風のうなる感じも変わる。飛行機に詳しい人ならば、飛び方も含めて本物らしさがよく表現できていると思うはずだし、あまり詳しくない人でも飛行機が空を飛ぶときの感じを生々しく感じることができるだろう。こうして、リアリティーたっぷりになった映像と音で迫力ある空戦を見ていると、アクロバット飛行もたじたじの曲芸のような飛び方さえも、本当にありうるかと感じてしまうほど。リアリティーとカッコよさを絶妙にバランスさせたアクションに見入ってしまうはずだ。

最近の作品としては、音楽を多用していないのもユニークだ。特に空戦シーンでは象徴的に短く音楽が挿入される程度で、あまり音楽を使っていない。これは、空戦のリアルな音をより実感してもらうためのものだろう。音楽でそれらしく盛り上げるのではなく、生々しい音の積み重ねで空戦の迫力とドラマの盛り上がりを高めようとしているのだろう。出番が減った感のある音楽もドラマパートなどで軽快な音楽や登場人物たちの心情を表現する味わい深い曲が流れ、作品を盛り上げる。リアルな空戦ばかりで、物語がシリアスになりすぎないようにする効果もあるし、音楽の使い方のメリハリが効いていて、ストーリーにも入っていきやすくなっていると思う。

キリエとエンマの幼少期の出会いを描くシーンも新規に追加されている

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

ブルーレイ特装限定版

リアルな空戦や戦闘機を満喫できる特典を収録

ブルーレイ版の特装限定版には、特典DISCが2枚封入される。Disc1には「空戦音響堪能映像集」として、空戦シーンの音をTVシリーズと劇場版を切り替えて比較することができる。2chから6.1chへとなったことで迫力がどう変わるかなどをじっくりと楽しめる。また、Disc2には「戦闘機モデル映像集」を収録。作品に登場した数々の戦闘機の3Dモデルをさまざまな角度からじっくりと見ることができるというもの。戦闘機に詳しくないと機体を見ただけで機種がわからないと思うが、ここでじっくりと機体を見れば、それぞれの機体の形状の違いや特徴もわかるだろう。

特装限定版のケースとインナージャケット。特典も満載だ

(c)「荒野のコトブキ飛行隊 完全版」製作委員会

www.amazon.co.jp

このほか、特装限定版、通常版の両方で、コトブキ飛行隊のキャストの面々が登場するキャストコメンタリー「オーディオコメンタリー版コトブキ通信」、ミリタリー監修や飛行アドバイザーらが、マニアックに空戦シーンや機体の動き、アクションの見どころを解説してくれるミリタリーコメンタリー「細かすぎて伝わらないオーディオコメンタリー完全版」を収録。そして、7.1chの音響をヘッドホンで楽しめる「DTS Headphone:X」音声も収録。ホームシアター機器やサラウンド再生装置を持っていない人でも劇場に迫るサラウンド音響を楽しめる。

まとめ

空戦好きはもちろん、爽快な空の冒険を楽しみたい人におすすめ

3DCGの発達で、実写、アニメを問わず空戦をリアルに再現することが可能になっているが、本作はレシプロ飛行機によるドッグ・ファイトを迫力たっぷりに楽しめることでは、最高峰のレベルにあると思う。ブルーレイやDVDのほか、動画配信サービスでも視聴できるので、空戦好きならば、ぜひともチェックしてほしい作品だ。もちろん、空を飛ぶ感覚は誰もが憧れるもの。広大な空を自由自在に飛んでいる感覚の気持ちよさが本作にはある。スカっと爽やかな空の冒険を楽しもう。

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鳥居一豊(AVライター)

オーディオ、AVの分野で活躍するAVライター。専門的な知識をわかりやすく紹介することをモットーとしている。自らも大の映画・アニメ好きで自宅に専用の視聴室を備え、120インチのスクリーン、有機ELテレビなどを所有。サラウンド再生環境は6.2.4ch構成。

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