「Zoom」や「Google Meet」などでビデオ会議をする際に、自分の部屋が丸見えになることに抵抗感がある人はきっと多いはずだ。そんなときに重宝するのが、ビデオ会議アプリの「バーチャル背景」機能。グリーンバックの合成よろしく、自分の背後に写り込んだ部屋を自然写真やおしゃれなカフェなど、見栄えのいい背景に変更してくれる。デフォルトの背景には数に限りがある点がネックだが、背景を追加して使うならバリエーションを色々と増やせる。今回は、てっとり早く使える無料のバーチャル背景を厳選して紹介するので、ビデオ会議の模様替えにチャレンジしてみよう。
バーチャル背景を変更するメリットとは?
普通に考えれば、自分の部屋をあけっぴろげに見せられる相手は、家族や友人など、よほど親しい人に限るものだろう。「プライバシー」とは、第三者にみだりに干渉されないからこそのプライバシーであって、そうした前提が崩れると、どうしても居心地の悪い気分にさせられるものだ。したがって、モニター越しとはいえ、会社の同僚や知人などに自分の部屋を見せるのは、なんとなく抵抗感があって当然だといえる。
そうした気後れを無意識に感じていると、会議にうまく集中できなかったり、話し合いも盛り上がらなかったりする可能性もあり得る。たかがビデオ会議の背景と侮っていると、意外に手痛いしっぺ返しを受けかねない。
しかし、ご心配なく。というのも、メジャーなビデオ会議サービスでは、基本的に背景を変更できる機能を搭載しているからだ。これを「バーチャル背景」といい、具体的には、自分の背後に写り込んだ部屋を、別の写真やイラストなど、見栄えのいいシーンに置き換えてくれる。
バーチャル背景を利用すれば、当然、自室を見せる必要もなくなるから、大切なプライバシーをしっかりと守ることができる。変な気後れもすることもなく、相手との話し合いも円滑に進められるはずだ。
なかには「ほかの参加者と背景の内容がかぶるのではないか」と気にする人もいるかもしれないが、その点もご心配なく。ビデオ会議サービスではデフォルトの背景データのほか、好きな画像も追加可能。例えば、写真やイラストなどを背景として利用することもできる。
ビデオ会議のバーチャル背景を追加するには?
バーチャル背景の追加は通常、ビデオ会議アプリの「動画(ビデオ)設定」や「背景設定」などから行うことができる。特に難しい作業ではないが、パソコンの操作に苦手意識のあるビギナーには、少々ハードルが高く感じる場合もあるだろう。
そこで本節では、人気のビデオ会議アプリ4本について、それぞれバーチャル背景の変更方法を解説していく。説明の手順に沿って操作していけば、簡単に背景を追加できるはずだ。
Zoomの場合
まずZoomアプリを起動して、画面右上の設定アイコンをクリックする。
設定画面から「背景とフィルター」を開く。
バーチャル背景一覧の右上にある「+」→「画像を追加」をクリックする。
背景用画像を保存したフォルダーから目的のファイルを選択し、「開く」をクリックする。
バーチャル背景として適用される。
Microsoft Teamsの場合
まずMicrosoft Teamsを起動。次に会議を開いて、プレビュー画面下の「背景フィルター」をクリックする。
画面右の「背景の設定」から「+新規追加」をクリック。
背景用画像を保存したフォルダーから目的のファイルを選択し、「開く」をクリックする。
バーチャル背景として適用される。
Skypeの場合
まずSykpeアプリを起動し、「…」→「設定」を開く。
設定項目から「音声/ビデオ」をクリック。
「背景効果を選択する」から「…」をクリックする。
「自分の背景」から「+」をクリック。
背景用画像を保存したフォルダーから目的のファイルを選択し、「開く」をクリックする。
選択した背景が登録されたら、「←」をクリックして前の画面に戻る。
バーチャル背景が適用される。
Google Meetの場合
ブラウザーからGoogle Meetにアクセスし、画面下の「その他のオプション」アイコンをクリックする。
オプションから「背景を変更」をクリック。
背景の一覧にある「+」アイコンをクリックする。
背景用画像を保存したフォルダーから目的のファイルを選択し、「開く」をクリックする。
バーチャル背景として適用される。
即戦力で使える! 無料の「バーチャル背景」を一挙紹介
自分で撮影した写真をバーチャル背景として利用してもいいが、もっと気の利いた背景を使いたい場合もあるだろう。そんなときは、ネットで無料で配布しているバーチャル背景を利用しよう。
リビングや喫茶店といった上品な屋内写真から目を引くイラストまで、個人で調達するのが難しいような背景が多数揃っているので、ビジネスからプライベートまで幅広くかつようできるはずだ。
ビジネスシーンにもうってつけな「フォーマル」系
▼名刺アプリ「Eight」
名刺アプリ「Eight」の公式サイトでは、JAL(日本航空)とのコラボによるバーチャル背景を提供中。バーチャル背景には、JALが手掛けた47都道府県のオリジナルスタンプに加え、「Eight」で読み込める名刺QRコードを追加できる。
▼VAIO
「VAIOパソコン」でおなじみ、長野県安曇野市に本社を置くVAIO株式会社によるバーチャル背景。VAIO本社社員で結成された「VAIO写真クラブ」が撮影した風景写真を多数配布しており、雄大な安曇野市の大自然を満喫できる。
▼マイクロソフト
ビジネスの必須ツール「マイクロソフトオフィス」を擁するマイクロソフトでも、ビデオ会議で使えるバーチャル背景を多数提供。JPEG形式の画像ファイルのほか、PowerPoint形式の背景テンプレートも用意しており、会社や氏名などのデータを入力して、オリジナルのバーチャル背景を作成することも可能だ。
配布先:「マイクロソフト」リモートワークに便利なテンプレート
▼日比谷図書文化館
知的な雰囲気を演出したい場合は、日比谷図書文化館で配布しているバーチャル背景がおすすめ。図書館ならではの無数の蔵書を背景として設定できるので、フォーマルな場面でも違和感なく利用できる。
▼さくらインターネット
国内大手のインターネットサービス事業者・さくらインターネットでは、自社運営の石狩データセンターをテーマにしたバーチャル背景を配布。無数のサーバーが立ち並ぶクールな佇まいはビジネスシーンとの相性も良好なうえ、自ずと相手に正確無比な印象も抱かせてくれそうだ。
オンライン飲み会向き「リラックス&ユニーク」系
▼ソフマップ
知る人ぞ知る「ソフマップ壁紙(例の壁)」を、大胆にもバーチャル背景化。ソフマップの特設会場で開催されるグラビアアイドルのイベント時には必ずといっていいほど使用される、あの「青白の壁」をバーチャル背景として利用できる。グラドル気分を味わいたい人におすすめ!?
▼スノーピーク
国内大手のキャンプメーカー・スノーピークらしく、配布するバーチャル背景はいずれもアウトドア感たっぷりの開放感あふれる内容ばかり。緑あふれる新緑の草原や大地を黄金色に染め上げる銀杏など、四季折々の自然を楽しめる。
配布先:「スノーピーク」壁紙画像
▼壁紙屋本舗
壁紙やタイルカーペットなど、リフォーム用資材を扱う通販サイト・壁紙屋本舗によるバーチャル背景。多彩な壁紙を多数扱う同社らしく、目を引く美しいデザイン柄の背景を多数配布している。さらに、落ち着いた雰囲気のベッドルームやカラフルポップな部屋など、屋内系のバーチャル背景も用意。
配布先:「壁紙屋本舗」バーチャル背景
▼DOD
テントからコットまで、多彩なキャンプ品を扱うアウトドアメーカー・DODらしく、配布するバーチャル背景はいずれもキャンプ感あふれる内容ばかり。雄大な大自然をバックに仲間と語らえば、胸襟を開いて会話ができるはず。
配布先:「DOD」Twitter
アニメやゲーム好きにぴったりな「キャラクター」系
▼任天堂
「マリオ」や「ゼルダ」など、任天堂が誇る人気ゲームキャラを題材にしたバーチャル背景。世界屈指のゲームメーカーである任天堂が手掛けただけあって、いずれも純粋な一枚絵として見てもクオリティー十分だ。大人から子供まで幅広く楽しめるはず。
▼スーパーせんたいフレンズ
スーパー戦隊シリーズ「機界戦隊ゼンカイジャー」をテーマにしたバーチャル背景。ヒーロー物らしく勢いのあるイラストばかりなので、会議やおしゃべりもついつい熱が入ること請け合い!
配布先:「スーパーせんたいフレンズ」スーパー戦隊シリーズ背景壁紙
▼スタジオジブリ
スタジオジブリの人気アニメ作品をテーマにしたバーチャル背景を用意。「となりのトトロ」や「崖の上のポニョ」といった子供にも喜んでもらえるイラストも多数揃っている。
▼スター・ウォーズ
いわずと知れたスペースオペラの金字塔「スター・ウォーズ」をテーマにしたバーチャル背景。「ミレニアム・ファルコン号」のコックピットや「デス・スター」など、いずれの背景もファンなら垂涎ものな逸品ばかりだ。
▼ディズニー・チャンネル
「ディズニー・チャンネル」のアニメ作品をモチーフにしたバーチャル背景。おなじみのミッキーやドナルドのほか、「怪奇ゾーングラビティフォールズ」「キム・ポッシブル」「悪魔バスター スター・バタフライ」といった、コアな人気を誇る海外アニメ作品の背景も用意している点もうれしい。
まとめ
「バーチャル背景」の目的は、自室を隠してプライバシーを守るというのが第一義ではあるが、それ以外にも見逃せない効果もある。それは、自分の趣味趣向をそれとなく参加者に伝えてコミュニケーションの促進を図るという役割だ。
相手のバーチャル背景を見れば、なんとなく好みが伝わってくるものだし、例えば、そこを起点にして会話の口火を切ったり、相手の懐に飛び込んでいったりもできる。無闇にプライベートに切り込むのは考えものだが、そこはそれ、相手もバーチャル背景として利用しているくらいだから、そこに関連した話題であればそう無下にされることもないはずだ。
もちろん、これは相手の会話をうまく誘導したい場合にも有効。アウトドアや乗り物、観光地など、自分の得意とするフィールドをバーチャル背景に設定しておけば、相手も会話のきっかけにしやすいというものだ。ビデオ会議やオンライン飲み会などがいまいちはかどらないという人は、バーチャル背景にも気を配ってみてはどうだろうか。
◆篠原義夫(フリーライター)
パソコン雑誌や家電情報誌の編集スタッフを経て、フリーライターとして独立。専門分野はパソコンやスマホ、タブレットなどのデジタル家電が中心で、キャンプも嗜む。初心者にも分かりやすい記事をモットーに執筆活動を展開中。