巣ごもり生活をきっかけに、暮らしの質を向上させる流れが定着しつつある昨今。清潔で居心地のいい空間作りや、レパートリーの充実した調理などとともに、おいしいご飯にも関心が集まっている。毎日の食卓を担う炊飯器。今回は、さまざまなニーズに合うように、フラッグシップ機から買いやすいモデルまで、とりまぜて紹介する。

監修◆中村 剛(なかむら つよし)

画像: 「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。


「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。

目指せ!家電選びの達人
今回の家電は「圧力IH炊飯器

巣ごもり生活をきっかけに、暮らしの質を向上させる流れが定着しつつある昨今。清潔で居心地のいい空間作りや、レパートリーの充実した調理などとともに、おいしいご飯にも関心が集まっている。毎日の食卓を担う炊飯器。その最新事情を紹介していこう。

全体に味のレベルが向上

炊飯器は、使用頻度が高く、製品によって味が左右されるため、選ぶ際には少しプレッシャーを感じる家電だ。とはいえ、最近の炊飯器は全体的に味のレベルが上がっており、相当な格安製品などでなければ、大きく失敗することはないだろう。

多くの機種に食感を炊き分ける機能が付いているので、ミスマッチを回避することも可能。センサーやプログラムが蒸気量や炊飯時間を自動調整してくれるので、手軽に好みの味を得ることができる。

炊飯器には、内釜の素材や形、熱の伝え方や蒸気をかけるタイミングなど、さまざまな創意工夫が施されている。どの炊飯器も、目的はおいしいご飯を炊くことだが、メーカーや機種によって、こだわりやアプローチはまちまちだ。IHの数を増やしたり、米の鮮度判定にこだわったり、真空技術を用いたりなど、それぞれに独自性がある。今回は、さまざまなニーズに合うように、フラッグシップ機から買いやすいモデルまで、とりまぜて見ていこう。

創意工夫は各社さまざま

タイガーは土鍋釜の特性を下位クラスにも継承

タイガー魔法瓶

内釜に萬古焼の土鍋を使い、炊飯時に発生する気泡で包むように炊飯するのがタイガー最上位機種の特徴だが、本機は、その特性をコストが手ごろな金属鍋に採用したモデル。鍋の素材や形状の工夫で、泡立ちと蓄熱性を高め、土鍋と同等の効果を再現している。

また、少量炊飯にも土鍋の最上位機種で培った炊飯プログラムを搭載し、茶碗一杯分(0.5合)からのご飯をおいしく炊き上げることが可能だ。メンテナンス面では、お手入れパーツの一部が食洗機OKになり、毎日の負担が軽減。最上位モデルではないが、それに近い機能が楽しめる製品といえる。

ちなみに、最上位機は約14万円で、内釜が土鍋になるほか、70種類の銘柄炊き分けや、質よく保温するおひつ機能、取り外しが簡便なマグネット式内ふたなどを搭載している。

〈炊きたて〉ご泡火炊き JPI-G100

実売価格例:7万6800円

2020年に発売し、前年度モデルに比べて約180%の出荷台数を達成した金属釜最上位モデルの後継機。買いやすい価格で、土鍋ご飯のおいしさを再現する。

画像: ●炊飯容量/1.0L ●サイズ/幅252㎜×高さ211㎜×奥行き302㎜ ●重量/5.4kg

●炊飯容量/1.0L
●サイズ/幅252㎜×高さ211㎜×奥行き302㎜
●重量/5.4kg

視認性の高い水量目盛り。ご飯は弾力のある仕上がり

内釜
9層の多層鍋に蓄熱性と熱伝導性に優れた素材をコーティング。上半分を銅素材、下半分を土鍋素材と上下で変えることで、かまどの温度差を再現した。

画像1: ● タイガー魔法瓶

見やすい目盛り
内側の2ヵ所に記載されることの多い水量目盛りを3ヵ所に増やし、どの角度から見ても水量がしっかり測れるようになった。文字も大きく、視認性が高い。

画像2: ● タイガー魔法瓶

炊き上がり
釜底の面積を広げ、約6500個の細かな突起を付けることで、土鍋に迫る泡立ちを実現。泡で米を包み、甘く粒だった弾力のあるご飯に仕上がる。

画像3: ● タイガー魔法瓶

象印マホービン

業界のトップを走り続ける象印が打ち出すのは、かまどの炎の揺らぎを再現する「炎舞炊き」だ。底面に複数のIHヒーターを設置し、ランダムに加熱することで、複雑で激しい対流を起こして、一粒一粒にしっかり熱を加える。最新のフラッグシップ機では、沸騰工程での集中加熱時間を見直してより対流を激しくし、米の甘みとうまみをさらに引き出した。

センサーとチューナーで圧力を細かくコントロールし、食感や粘りなどを121とおりに炊き分けられるのもポイントだ。食べたご飯の感想を入力すると、次回の炊飯に反映され、好みの味に導くというアンケート方式もユニーク。家庭の好みにフィットする味が、手軽に見つけやすい一台になっている。

炎舞炊き NW-LB10

実売価格例:13万2000円

複数のIHヒーターを独立制御する独自技術で、かまどの炎の激しいゆらぎを再現。ヒーターの数を6個に増設し、さらなるうまみを追求した。

画像: ●炊飯容量/1.0L ●サイズ/幅275㎜×高さ235㎜×奥行き350㎜ ●重量/8.5kg

●炊飯容量/1.0L
●サイズ/幅275㎜×高さ235㎜×奥行き350㎜
●重量/8.5kg

手入れが簡単なフラット構造。激しい対流で炊飯

内釜
IHと相性のいい鉄を、アルミとステンレスに組み込んだ内釜。フチ部分に厚みを持たせることで、炎舞炊きの熱が外に逃げるのを防ぎ、効率よく加熱する。

画像1: ● 象印マホービン

フラットな作り
内釜のフレーム部分や操作部がフラットな構造で、サッと簡単にお手入れが可能。毎回洗うパーツも内ふたと内釜の2点だけと、メンテナンス性が高い。

画像2: ● 象印マホービン

炊き上がり
底面のIHヒーターが一つだったころと比べ、単位面積当たり4倍以上の大火力に。激しく複雑な対流で、甘みやうまみが強く、味わい深いご飯が炊ける。

画像3: ● 象印マホービン

パナソニック

加圧と減圧を繰り返して米を躍らせる「おどり炊き」で、長年のファンが多いパナソニック。近年は、これまでにない切り口で、新しい機能を追加している。

米の鮮度判定にこだわり、買い置きで鮮度が下がった米を、新米のように炊き上げる機能がある。圧力センサーで米の状態を検知し、乾燥した米には強い圧力を長めにかけることで、食感や甘みを新米に近づけている。最新機では、炊き上げ時に噴射するスチーム温度を米の状態で変えることで、新米は以前に増してハリ感を出し、乾燥した米は、よりみずみずしい仕上がりを目指した。

スマホとの連係も、本モデルから開始している。専用アプリとつながることで、外出先からの予約時間変更ができるほか、その年の米の出来に応じ、銘柄炊き分けのアップデートも可能となった。

SR-VSX101

実売価格例:12万1000円

釜を包むように搭載した6段IHで、強力加熱ときめ細かい火力調節を実現。スマホアプリとの連係で、炊飯メニューが追加できる最新機能も搭載した。

画像: ●炊飯容量/1.0L ●サイズ/幅275㎜×高さ234㎜×奥行き361㎜ ●重量/7.7kg

●炊飯容量/1.0L
●サイズ/幅275㎜×高さ234㎜×奥行き361㎜
●重量/7.7kg

アプリと連係。買い置き米もおいしく炊き上げる

内釜
ステンレスやセラミックスなど、IHに適した素材の組み合わせで、高い発熱性と蓄熱性を実現。底面のディンプル加工が泡を発生させ、対流を活性化する。

画像1: ● パナソニック

アプリと連係
スマホアプリの「キッチンポケット」と連係。その年のお米の出来栄えに合わせた炊飯プログラムの配信や、ユーザーの好みに合った銘柄米の提案などを行う。

画像2: ● パナソニック

炊き上がり
独自のセンシング技術でお米の鮮度・銘柄・出来栄えを見極め、火力、圧力、高温スチームをコントロール。買い置き米も新米のようなおいしさに炊き上げる。

画像3: ● パナソニック

持ち味を生かした進化

日立は「外硬内軟」、東芝は「真空」をさらに追求

日立

日立は、京都米料亭の炊飯メソッドを採用し、銀シャリの理想である「外硬内軟」で炊けるのが売り。プリッと粒が張り、中はふっくらした状態の炊き上がりで、2019年に導入したところ、実販台数が約1.3倍に伸びたという人気の食感となっている。新製品は、センサーで季節による水温の変化を見極め、火加減や浸し時間を自動調整する新炊飯制御を採用し、季節を問わず、炊飯レベルが維持できるようになった。

内釜が軽く、800グラムを切るため、米を研いだり、洗ったりするときに扱いやすい。蒸気レス構造で炊飯中の蒸気がほとんど出ないので、置き場所を選ばないなど、実用面にもこだわりが見える。

ふっくら御膳RZ-W100EM

実売価格例:8万7780円

食通が認める銘店、京都・八代目儀兵衛の炊飯メソッドをもとに、一粒一粒を丁寧に炊き上げる技を導入。簡単操作で、家にいながら料亭の味が楽しめる。

画像: ●炊飯容量/1.0L ●サイズ/幅248㎜×高さ234㎜×奥行き302㎜ ●重量/6kg

●炊飯容量/1.0L
●サイズ/幅248㎜×高さ234㎜×奥行き302㎜
●重量/6kg

「外硬内軟」の炊き上がり。蒸気カットも特徴的

内釜
鉄とアルミを合わせた多層な金属を採用。底面の凸底形状で泡を発生させ、大火力の熱を伝える。790グラムと軽量で、扱いやすいのもポイント。

画像1: ● 日立

蒸気カット
炊飯時の蒸気がほとんど出ないため、引き出し式のラックなどに設置可能。ためた蒸気は保温時にスチームとして活用し、ご飯を長時間しっとり保温する。

画像2: ● 日立

炊き上がり
最高 1.3 気圧の圧力と107°Cの高温スチームで、一粒一粒を丁寧に加熱する独自の炊飯方式を採用。粒の輪郭と米の甘みが際立つ「外硬内軟」に炊き上げる。

画像3: ● 日立

東芝

東芝は、業界トップクラスの1420ワットの大火力で、ご飯をしゃっきり炊き上げる。独自の「真空αテクノロジー」も健在で、浸し時に内釜を真空にして米の中心部まで素早く給水し、短時間でも甘みを引き出しながら炊飯。火力の強さも相まって、通常コースでもわずか38分で炊き上げる。

真空技術は、保温時も役立ち、酸化による黄ばみやパサつきを防ぐことで、最長40時間、おいしさのキープが可能だ。

この製品も、タイガー機同様、フラッグシップの下のモデルとなる。最上位機種は、内釜やタッチパネルのグレードが上がるほか、食感の炊き分けの種類も多い。一方で、銘柄炊き分けはこのモデルのみの搭載で、人気が高いブランド米7種類に対応している。

RC-10VXR

実売価格例:6万2800円

業界トップクラスの1420ワットの大火力と7種類の銘柄炊き分け機能を搭載。真空技術でスピーディにおいしく炊飯ができ、時短派に人気。

画像: ●炊飯容量/1.0L ●サイズ/幅269㎜×高さ226㎜×奥行き330㎜ ●重量/5.8kg

●炊飯容量/1.0L
●サイズ/幅269㎜×高さ226㎜×奥行き330㎜
●重量/5.8kg

内釜
金属の多層鍋をダイヤモンドチタンと備長炭入り赤外線でコーティング。羽釜の丸底をモチーフにした内釜で、大きな熱対流を起こして加熱ムラを抑える。

画像1: ● 東芝

手入れが簡単
内ふたは凹凸を少なくし、洗いやすい形状になった。ふた部分に内蔵された蒸気口はワンタッチで取り外せ、分解して手軽に洗うことができる。

画像2: ● 東芝

炊き上がり
「真空αテクノロジー」により、しっかり吸水した米は、芯まで熱が伝わりやすくなる。そのため、米のα化(糊化)が促進され、甘みのあるふっくらとしたご飯に仕上げる。

画像3: ● 東芝

リデ

短時間でご飯が炊けるコンパクトな電気圧力鍋が人気!

「お米がおいしく炊ける」というアプローチで、大ヒット中の電気圧力鍋「Re・De Pot(リ デ ポット)」。浸水時間がいらず、調理時間+減圧時間の約25分で、手軽にツヤツヤのふっくらご飯が炊けるのが人気の秘密だ。インテリア性が高く、ダイニングキッチンや食卓に置いても、見栄えがするところも人気になっている。

コンパクトながら4合まで炊飯でき、圧力調理や無水調理、スロー調理にも対応。炊飯器代わりに導入する家庭も増えているという。

Re・De Pot

実売価格例:1万4800円

画像: ●調理容量/1.2L ●サイズ/幅288㎜×高さ244㎜×奥行き222㎜ ●重量/2.8kg

●調理容量/1.2L
●サイズ/幅288㎜×高さ244㎜×奥行き222㎜
●重量/2.8kg

画像: プリッと粒立ちながら、中はもちもちの炊き上がり。酢飯に合いそうな食感。

プリッと粒立ちながら、中はもちもちの炊き上がり。酢飯に合いそうな食感。

まとめ

今回の製品には、煮沸して内釜のニオイを取るクリーニング機能が多く見られた。これはおそらく、炊飯以外の"炊飯器調理"へのニオイ対策であろう。一方で、Re・De Potのように、炊飯を訴求した電気圧力鍋も登場。機能や使い勝手など、トータルでは炊飯器が便利だが、多彩に応用できる調理鍋を求める人も増えている。今後の炊飯器選びは、もっと自由で、おもしろくなっていく予感がする。

※価格は記事作成時のものです。

◆取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)

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