ダンロップ(住友ゴム)の「エナセーブNEXT III」は、「水素添加ポリマー」と新しいバイオマス素材「セルロースナノファイバー」で、環境負荷を軽減しつつ、グリップ性能の長期間維持と乗り心地を両立することに成功した。
水素添加ポリマーやバイオマス材料などの新素材を開発し、
新品同様の性能を長期間維持!
●ダンロップ
エナセーブ NEXT III
自動車用タイヤに求められる性能は、複雑・多様化している。理想的なタイヤは、濡れた路面でも高いグリップ力を発揮しつつ、その性能を長期間維持。さらに、燃費もよく、環境負荷が軽いことが求められる。
その実現のために、ダンロップ(住友ゴム)の「エナセーブNEXT III」には、さまざまな技術が投入されている。
中でも、「水素添加ポリマー」と新しいバイオマス素材「セルロースナノファイバー」を投入したことが、大きなポイントといえる。
まず、水素添加ポリマーは、簡単にいうと従来のポリマー(ゴムの役割をする素材)に比べて、非常に劣化しにくいのが特徴。強い力がかかっても分子の結合が切れにくく、もし分子結合が切れたとしても元に戻る可能性があるという。
これを採用したことで、タイヤの亀裂摩耗が27%、物理変化と化学変化を合わせた総合的な変化が62%、そして経年劣化が50%、それぞれ抑制されたという。
つまり、長期間使用してもグリップ力、特にウエットグリップ性能(濡れた路面でのグリップ力)を維持することができ、高い安全性能を誇るタイヤが実現したというわけだ。
さらに、天然素材をベースとしたセルロースナノファイバーを、世界で初めてタイヤの構造材に採用。
環境負荷を軽減しつつ、グリップ性能の長期間維持と乗り心地を両立することに成功。タイヤの性能を示すラベリングは「AAAa」の最高ランクを実現している。
ダンロップが、空気入りゴムタイヤを実用化してから130年以上たっているわけだが、これからも自動運転や温暖化対策を見据え、さらに進化していきそうだ。
●解説/福多利夫
ホビーや家電、デジタルグッズが大好きで、その仕組みが気になっちゃうフリーライター。家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。
イラスト:中山昭(絵仕事 界屋)