サイクロン式掃除機の代表として、圧倒的な知名度と人気を誇る「ダイソン」。よいものだとわかっていても、比較的高価な価格設定もあり、なかなか手が出せない人も多いだろう。ここでは、ダイソンの何がよいのかを解説しつつ、ダイソンの商品ラインナップとおすすめモデルを紹介する。
ダイソンとは?
Dysonはイギリスの家電メーカー
日本でも積極的にテレビCMを展開しているため、国内のメーカーだと思われがちがだ、ダイソン)はイギリスで操業された家電メーカーである。創業者のジェームス・ダイソンが80年代に初めて販売した掃除機を日本の商社が製品化したため、日本との関係性が深いメーカーでもある。よく知られているように、現在では掃除機のほかに扇風機、ファンヒーター、空気清浄機、ヘアドライヤーなどを販売している。
ダイソン掃除機の最大の特徴は「サイクロン式」
ダイソンの掃除機の最大の特徴は、テレビCMでもたびたび紹介されている「サイクロン式」である。これは、掃除機内で竜巻状の気流を作り出し、その強力な遠心力で吸い込んだゴミを、吸引した空気の流れの外側に飛ばして蓄積するという仕組みになっている。
サイクロン式はゴミがたまっても吸引力が変わらない
遠心力でゴミを飛ばすことで、ゴミをたくさん吸い込んでダストボックスの中にゴミをため込んだ状態でも、モーターが吸い込む空気の通り道上には、空気の流れを阻害するゴミが存在しないことになる。つまり、ゴミががたまっても「吸引力が変わらない」わけだ。これが、空気の通り道上にフィルターを配置する、「紙パック式」との大きな違いであり、ダイソン最大の特徴でもある。
現在では、他社製のダストボックス式掃除機も「サイクロン式」を名乗ることがあるが、ダイソン以外の製品は、空気の通り道上にフィルターとダストボックスが配置されている場合があり、ゴミのたまり具合により吸引力が変わるものもあるので注意したい。
ダイソン掃除機の選び方
ダイソン掃除機の大きな特徴はわかったと思うが、実際に購入するダイソン掃除機のモデルを選ぶには、さらに知っておくことがある。それは、ダイソン掃除機の「タイプ」と、付属品によるバリエーションである。
ダイソン掃除機本体には4つのタイプがある
現在、ダイソンの掃除機には
・スティックタイプ(コードレス)
・キャニスタータイプ
・ハンディタイプ
・ロボットタイプ
の4つのタイプがあり、それぞれに特徴がある。
これからダイソン掃除機を買う場合、自分がどんな目的で掃除機を使うのか、どういう用途で使う場面が多いのかを見極める必要があるわけだ。モデル型番に数字がある場合、原則として数字が多いほうが新しくて高性能となるが、数字が大きいとサイズも大きい場合があるので注意が必要である。
付属品によるバリエーションが豊富
さらに、ダイソン掃除機の各モデルには、付属品の数によってバリエーションがある。バリエーションの内容は大まかに、モデル名の後ろにつく名称で区別できる。
一番付属品が多い、最上位のバージョン。おもに細かいところを掃除するための特殊ブラシが数多く付属している。価格的にもかなり高価になる。
標準的なヘッドに加えて、いくつかの特殊ヘッドがセットになったもの。標準的な組み合わせとなっており、スタンダードなバージョンといえる。価格と内容のバランスがよい。
コンパクトで軽いヘッドが付属している。日本向けに設定されたバリエーションで、家具の隙間が多い日本型の家屋を掃除するのに最適。日本人の身長を考慮して、ノズルなどが若干短く設計されている。価格も手頃。
スティックタイプ(コードレス)のおすすめ
スティックタイプは、いま一番人気があるスタイルだ。
モーターやダストボックスが手元にあり、長いパイプでヘッドと連結されている。バッテリーを内蔵しているのでコンセントを探す必要も、コードの制約で移動が面倒ということもない。パワーが強く、バッテリー駆動時間の長いモデルも選択すれば、キャニスタータイプとハンディタイプを兼ねた用途に使えるので、お得感もある。
スティックタイプは「Dyson v11 Fluffy +」
現在、ダイソンの公式サイトには、小さく軽い順に、「Dyson micro 1.5kg」「Dyson digital slim」「Dyson v11」の3機種のスティックタイプがラインナップされている。
それぞれ運転時間が20分、40分、60分となっており、家中の掃除をこれ1台とまかなう、つまりキャニスタータイプの役割も兼ねるとなると、運転時間60分の「Dyson v11」がおすすめとなる。ダイソン公式ストアでの価格を見ると、充電ドッグが付属した「Dyson v11 Fluffy +」がお得だ。
キャニスタータイプのおすすめ
タイヤのついた本体を床において、コンセントにつないで使うタイプ。
これまで私たちが目にすることが多かった、いわゆる「普通の掃除機」がキャニスタータイプである。大きなモーターを搭載しており、吸引力の点ではこのタイプが有利。充電する必要がないので、すぐ使えて、いつまでも使える。ダイソンのキャニスタータイプは、ダストボックスが大きいわりに本体は小型で、独自の「Ballテクノロジー」を採用した形状なので、小回りがきくのが特徴といえる。
キャニスタータイプは「Dyson Ball Fluffy」
現在、ダイソンの公式サイトには、大きい順に「Dyson v4 digital」「Dyson Ball」「DC48」の3種類のキャニスタータイプがラインナップされている。
v4 digitalが最新かつ最強パワーのモデル。Ballは、やや小型でソフトローラークリーナーヘッドを採用していて畳やフローリングといった日本家屋に向いている。DC48はシンプルな設計でお手軽な入門モデルといえるだろう。よほど広い家でないかぎり、おすすめはDyson Ball。よほど広い家でない限り性能的には十分である。ダイソン公式ストアでの価格を見ると、Dyson Ball Fluffyがお得だ。
ハンディタイプのおすすめ
軽量コンパクトなコードレス掃除機。
広範囲ではなく、手元のピンポイントを掃除するのに適したタイプである。スティックタイプで兼用せず、あえてハンディタイプを使うメリットは、その軽さと手軽さにある。主な用途としてはマイカーの車内を掃除することと、布団・寝具を掃除することにあり、それに適したヘッド・ノズルが付属したバリエーションが展開されている。
ハンディタイプは「Dyson v7 Triggerpro」
現在、ダイソンの公式サイトには、「Dyson v7」という1機種のみがラインナップされている。
ハンディタイプ専用の小型で強力なv7モーターと、2層15個のサイクロンを搭載。最長30分の運転時間を実現している。この本体に、用途に合わせて「Car+Boat」や「Mattress」といった付属品のバリエーションがある。おすすめは「Triggerpro」。車掃除のノズルとシガーライターソケットから給電する「カーチャージャー」や、布団のホコリやダニを吸引する「フトンツール」など8点が付属した、いわば全部入りの万能掃除ツールだ。
ロボットタイプのおすすめ
自動的に床をくまなく走行しながら、走行ルートを掃除するのがロボットタイプ。
掃除機の一番新しいスタイルながら、すでに一般家庭に受け入れられており、いま欲しい家電の上位にランクしている。ダイソンのロボット掃除機には、強力なモーターとサイクロンテクノロジーが搭載されており、ロボット掃除機としてはトップクラスに強力な吸引力となっている。また、部屋を掃除しながら部屋のマップを記録し、最適な掃除方法を自分で判断する機能や、スマホとの連携など最新技術が満載されている。
ロボットタイプは「Dyson 360 Heurist」
ダイソンのロボットタイプは登場したばかりなので、公式サイトに掲載されているのは「Dyson 360 Heurist」の1タイプのみ。付属品バリエーションも存在しないので、おすすめもこのモデル一択となる。
ただし、ロボット掃除機は、iRobotのルンバをはじめとしてたくさんのライバルが存在するので、それらとの比較検討が必要。強力な吸引力が欲しい場合にはダイソンがおすすめとなる。
まとめ
ダイソンの掃除機はダイソン社の原点的製品であり、実力も本物。いろいろなタイプがあるが、家中の掃除を「これ1台」でまかなうならばコードレスの「スティックタイプ」がいい。付属品の内容を検討して、どのバリエーションを購入するのか決めるといいだろう。
◆福多利夫(フリーライター)
デジタル家電関連の記事を得意とする、モノ系ホビー系のフリーライター。一般財団法人家電製品協会認定の家電総合アドバイザーでもある。長年にわたり月刊「特選街」で執筆。パソコン関連の著書も多い。