【人気コードレススティック掃除機比較】最新機種はメイン掃除機として申し分なし!メンテナンス面で課題

掃除機

欲しい家電の上位に常にランキングされ、高い関心を集めているのが「コードレススティック掃除機」だ。今や掃除機の販売台数の半分以上を占めており、スティック型からスティック型への買い替えも進んでいる。今回は、注目の7機種を対象に、最近の傾向を見ていきたい。

監修者のプロフィール

中村剛
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。

目指せ!家電選びの達人今回の家電は「コードレススティック掃除機」

より軽くなり、パワーやバッテリー性能も向上。今やメイン掃除機として頼れる存在

バッテリーの高性能化や新素材の開発などを背景にして、絶え間なく進化を続けているコードレススティック掃除機。弱点を改良し、性能を向上させ、機能を磨くことで、より強く、軽く、使いやすくなってきた。各社の最新機種も、魅力的な製品がズラリと顔をそろえている。

家電の中でも高い関心度

軽くて機動性が高く、汚れをサッと掃除できる

欲しい家電の上位に常にランキングされ、高い関心を集めるコードレススティック掃除機。今や掃除機の販売台数の半分以上を占めており、スティック型からスティック型への買い替えも進んでいる。

コードレススティック掃除機の利点は、軽くて機動性が高く、汚れをサッときれいにできるところだ。ゴミに気づいたら誰でも簡単に掃除できるので、在宅時間が増えた昨今は、特に重宝されている。

集塵力やバッテリーのもちも向上し、家中の掃除を丸ごと任せられるメイン掃除機としても十分頼れる存在になってきた。それだけの能力を備えながら、最新のラインアップでは、2キロを切る軽量モデルが続々と登場している。

スティック掃除機はここが進化!

毛が絡みにくいブラシ
ハサミで切るなど処理がめんどうだった回転ブラシの毛絡みを手軽に解消するモデルが増加。メンテナンス性も進化している。

2キロを切る軽さ
最新機種は2キロを切る機種が続々登場。素材や構造を見直すことで、パワーとスタミナを保持しつつ、軽量化が実現した。

運転時間が延びた
バッテリーやモーターが進化したほか、センサーで電力を抑えるモデルも。着脱式バッテリーで時間を延長できる機種もある。

基本性能だけでなく、使い勝手も洗練されてきており、主力メーカーの製品であれば、どれを選んでも大きな失敗はないレベルだ。今回は、注目の7機種を対象に、最近の傾向を見ていきたい。

課題を徐々にクリア

長くなった運転時間とブラシの毛絡み対策に注目

コードレススティック掃除機の大きな課題は、「バッテリーがどのくらいもつか?」だが、最新モデルでは、バッテリーとモーターの性能が上がり、通常のモードで20〜30分は使えるようになっている。一般的な家庭では、安心して掃除できる長さだろう。

中には、センサーを利用して吸引力をセーブし、スタミナ温存を図る機種もある。パナソニックはゴミセンサー、三菱は床素材の識別センサーを搭載し、状況に応じてパワーの自動切り替えが可能だ。メリハリのある運転で、無駄な電力をカットしている。

シャークシャープダイソン日立は、着脱式バッテリーを採用し、複数のバッテリーを用意することで、交換しながら長時間使える点をうたっている。

そのほか、最近の傾向としては、メンテナンスにも気を配ったモデルが目立つようになった。特に、昨今のペットブームを背景に、ヘッドの回転ブラシに毛絡み対策を施した製品が多い。

アクアシャークは、ブラシに大きめのラバー羽根を採用することで、毛の絡み付きを防止。三菱は、キャニスターで好評の機構を搭載し、ブラシを横に引き抜いて絡んだ毛を除去できるようになっている。

また、パナソニックは、新開発の円すい型ブラシを使った独自構造を投入。絡んだ毛を中央に集めて吸い込む、という凝った機構が話題だ。

掃除のサポート機能では、LEDライトに注目したい。ソファーの下などの暗がりを照らすのに便利だが、薄暗い部屋で掃除をした場合に、床のホコリが白く浮かび上がって見えやすくなる効果もある。

7機種の中で、ヘッド部分に搭載しているのがアクア、ノズルに採用しているのがパナソニック。日立は、本体とヘッドなど3ヵ所に採用している。

メーカー別の特徴

パワー、軽さ、使い勝手、デザインなど独自性も強い

それでは、ここからは各モデル個々の特徴を見ていこう。
パナソニックは、7モデルの中で唯一の2キロ超だが、そのぶんパワフルで、吸込仕事率205ワットを実現。スタミナを両立させながら、コードレスでも大きなパワーが出せるという点で、今後のコードレス機のあり方に一石を投じたモデルといえる。ゴミをよく吸い、毛絡みも防げて快適だが、やはり使用時はやや重く、今後の課題となりそうだ。

パナソニック
MC-SBU840K

実売価格例:9万8460円

パナソニック「MC-SBU840K」
重量 2.6kg
充電時間 3時間
運転時間(1) 18〜30
【自動】
運転時間(2) 90
【ロング※】
※ノズルブラシ回転オフ時

●サイズ(スティック時)
幅253mm×高さ1150mm×奥行き218mm

最大吸込仕事率205ワットのパワフルモデル
最大吸込仕事率205ワット、最大運転時間約90分(ノズルブラシ回転オフ時)を実現したパワフルモデル。新開発の「からまないブラシ」で毛絡みを抑え、手入れの手間も軽減する。

からまないブラシ
円すい形のブラシを左右に設置。かき取った毛は、回転しながら円すいの先端に送られ、中央に集めて吸引する。

クリーンセンサー
自動運転モードでは、クリーンセンサーがゴミの量を検知。吸引力を自動制御し、効率よく掃除を行う。

左:ゴミがあると赤の点滅、右:きれいになると青く点灯

LEDナビライト
ペダルを踏むと着脱できる子ノズルにLEDライトを搭載。低い角度から照らすためゴミが浮き上がって見える。


シャープは、軽さを売りにしており、シリーズ史上最強パワーを持ちつつも1・6キロと軽量だ。取り回しが楽なうえ、ハンドルから手を離すと停止するセンサー機能や、立ったままヘッドが着脱できる機構など、使いやすい仕組みを多く備える。また、パワーアップしたブラシヘッドで、じゅうたんの掃除を強化した。

シャープ
EC-SR5

実売価格例:8万1450円

●サイズ(スティック時)
幅243mm×高さ1030mm×奥行き179mm

シャープ「EC-SR5」
重量 1.6kg
充電時間 80
運転時間(1)※ 30
【自動】
運転時間(2)※ 45
【弱】
※標準の吸込口使用時。

ドライカーボンパイプなど軽量素材を採用
2016年の発売当初から、軽さにこだわり続けてきた「ラクティブエア」シリーズ。最新機種では、ドライカーボンパイプなど軽量素材を採用。パワフルながら1.6キロの重量を実現している。

高出力モーター&バッテリー
新開発の高出力モーターと大容量高電圧バッテリーを採用。二つの組み合わせで、シリーズ史上最強の吸引力を実現した。

倍トルヘッド
従来機の2倍の回転数を可能にした回転ブラシと、くし歯形状のバンパーを新採用。じゅうたんの奥のゴミを強力にかき出す。

グリップセンサー
センサーを使った人気機能。ハンドルから手を離すと運転オフ、握れば運転が再開できる。


三菱は、出しっぱなしが前提のスティック掃除機の中でも、インテリア性で群を抜いている。リビングに違和感なく置けるデザインで、誰でもすぐに手が伸ばせるので家族みんなで使いやすい。手前に引けばスティック型、上に持ち上げればハンディ型になるユニークな仕組みも、好評を得ている。

三菱電機
HC-JD2X

実売価格例:9万9000円

●サイズ(スティック時)
幅225mm×高さ1005mm×奥行き190mm

三菱電機「HC-JD2X」
重量 1.9kg
充電時間 90
運転時間(1) 40
【標準】
運転時間(2) 8
【強】

吸引性能の向上と軽量化を両立。デザイン性も高い
デザイン性が高く、インテリアのように収納・充電が可能。コンパクトながら12万5000回転/分を確保する「JCモーター」を搭載し、吸引性能の向上と軽量化を両立させている。

ワンタッチ着脱
手前に引けばスティックに、上に持ち上げればハンディになる独自機構。掃除機の使い分けがスマートにできる。

手前に引けばスティック型に

持ち上げればハンディ型に

パワーシフトモード
床面の種類を検知し、フローリングは「標準」、じゅうたんは「強」に吸引力を調整。電力のロスを抑える。

毛がらみ除去
回転軸を横に引き抜くと、絡んだ毛が爪に引っ掛かり、ブラシからすっぽり抜ける機構。昔からのファンも多い。


アクアでは、ペットの毛の掃除に注力。くし状の専用ツールで、じゅうたんをブラッシングするように、抜け毛を取り除くことができる。3万円を切る価格帯や、本体のポップな色遣い、収納時は高さが約69センチになる省スペース設計など、全体的にカジュアルな印象だ。

アクア
AQC-HF500

実売価格例:2万9800円

●サイズ(スティック時)
幅254mm×高さ1080mm×奥行き206mm

アクア「AQC-HF500」
重量 2.3kg
充電時間 4時間
運転時間(1) 22
【標準】
運転時間(2) 34
【弱】

独自の毛取りツールで、ペットの抜け毛に対応
ヨーロッパの老舗メーカー、Candy Hooverグループと共同開発し、デザインや使い勝手など、オリジナリティが光る一台。ペットブラシに着想を得た毛取りツールで、ペットの抜け毛に対応する。

ハイブリッド回転部×ワイドケトリゴム
ブラシとラバーの二重構造で、毛絡みを抑えるハイブリッド回転部を採用。着脱式のケトリゴムで、じゅうたんの毛ゴミをしっかりかき取る。

大型LEDランプ
表示部にはLED大型インジケーターを搭載。電池残量や運転モードなどが一目でわかる。

LEDライト
ヘッドの先にはLEDライトを装備。暗い場所を明るく照らし、ゴミの取り残しがないよう掃除をサポートする。


ダイソンは、パワーや機能はそのままに、全体をコンパクト化して扱いやすさがアップした。特に重さが解消され、トリガーを握ったときの手の負担も減少。追加でバッテリーパックを買えば運転時間が延ばせるので、より実用的で身近になったといえる。

ダイソン
Dyson Digital Slim Fluffy (SV18FF)

実売価格例:7万5900円

●サイズ(スティック時)
幅250mm×高さ1100mm×奥行き233mm

ダイソン
「Dyson Digital Slim Fluffy (SV18FF)」
重量 1.9kg
充電時間 3.5時間
運転時間 最長40
【エコモードでモーター駆動
のないツール使用時】

従来機比25%の軽量化と20%の小型化を実現
吸引力はそのままに、 パワフルモデルのV11シリーズ(2019年モデル)より25%の軽量化と、20%の小型化を実現。バッテリーは着脱式で、追加でバッテリーを買えば、使用時間を延ばせる。

薄くなったクリーナーヘッド
ヘッドを従来機の40%に小型・軽量化。薄くなったヘッドで、家具の下の奥まった場所も掃除が可能になった。

液晶ディスプレイ
残りの運転時間を秒単位でリアルタイム表示。フィルターのメンテナンス時期もわかる。

きれいな排気
HEPAフィルターを搭載し、0.3マイクロメートルの微細な粒子を99.97%以上捕らえて除去。きれいな空気を排出する。


日立は、ゴミを圧縮するダストケースが便利。かたまりをポロっと捨てられるので、ゴミ捨て時やゴミ袋の口を閉めるときに、ホコリの舞い上がりを回避できる。手元にあるノズルの着脱ボタンや、向きが選べる排気口など、細かな使い勝手も充実していて、ストレスなく快適に掃除ができる。

日立
PV-BH900H

実売価格例:9万7900円

●サイズ(スティック時)
幅255mm×高さ1024mm×奥行き268mm

日立「PV-BH900H」
重量 1.9kg
充電時間 3.5時間
運転時間(1) 40
【標準】
運転時間(2) 8
【強】

付属品が多く、使い勝手にも多彩な配慮がある
床を中心に、さまざまな場所が掃除できる「立体おそうじ」がコンセプト。パワーだけでなく、使い勝手にも多彩な配慮が見られる。アタッチメント(付属ブラシ類)が数多く付属するのも特徴。

からまんプレス構造
空気の流れを利用し、ゴミを圧縮。ゴミが捨てやすくなるほか、内筒のフィルターに、髪の毛が絡まりにくくなる。

自走機能/LEDライト
軽い力で進む自走式ヘッド。LEDは、ヘッドのほか、本体の先端と、付属のスマートホースの先に搭載。

排気方向切替シャッター
掃除中に気になる排気が出る方向(左・右)を、シャッターで切り替え可能。排気が体に当たるのを回避できる。


シャークは、ボディが車の塗装のような仕上がりで、スリムさに加え、質感のよさが目立っている。バッテリー(2個付属)の充電方法にも工夫が見られ、掃除機にセットされたバッテリーをフル充電してから、待機バッテリーを充電するリレー方式を採用。さまざまな部分にこだわりが見られる。

シャーク
EVOPOWER SYSTEM CS401J

実売価格例:4万9500円

●サイズ(スティック時)幅267mm×高さ1005mm×奥行き124mm
●バッテリー2個付属

シャーク
「EVOPOWER SYSTEM CS401J」
重量 1.9kg
充電時間 3.5時間
運転時間(1)※ 24
【スティック時】
運転時間(2)※ 16
【ブーストモード】
※運転時間はバッテリー2個使用時。

とてもスリムなボディで、サッと使える軽さが特徴
全米No.1のフロアケアブランドであるシャークニンジャ社が、日本の家庭のニーズを研究して作ったモデル。スリムなボディ、サッと使える軽さ、しっかり吸い取るパワーを追求している。

ブラシレスパワーフィン
大ぶりのラバー羽根がフローリングやじゅうたんなど、あらゆる床に密着。効率的に集塵するほか、長い毛も絡みにくい。

ワンタッチでハンディ型に
両わきのボタンを押しながら持ち上げるとハンディ型に早変わり。必要なときにサッと使え、細かい部分の掃除に便利。

ミニモーターヘッド
メインヘッドと同じ構造のミニモーターヘッドが付属。ふとんやソファーも、高速回転できれいにできる。

まとめ

今回、最新機種を使いながら、メイン掃除機として申し分のない存在となってきたことを改めて感じた。

今後は、さらにメンテナンス性を上げ、ブラシ部やダストカップの手入れなど「掃除機の掃除」を楽にするモデルが出てきてほしい。

例えば、充電しながら集めたゴミを集積できるようになれば、魅力はさらに増すだろう。まだまだ進化を続けているジャンルだけに、これからの発展に期待したい。

※価格は記事作成時のものです。

取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)

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特選街web編集部

1979年に創刊された老舗商品情報誌「特選街」(マキノ出版)を起源とし、のちにウェブマガジン「特選街web」として生活に役立つ商品情報を発信。2023年6月よりブティック社が運営を引き継ぎ、同年7月に新編集部でリスタート。

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