【映画 えんとつ町のプペル】あらすじと感想 異色で王道のファンタジー コロナ禍の今だからこそ見てほしい

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大ヒットを記録中の「映画 鬼滅の刃」は、コロナ禍で人々がいかに「エンタメ」を求めているかを知る機会となりました。世の中は「鬼滅一色」となっていますが、その陰でひっそりと、しかし満を持して公開された異色の作品があります。それが「映画 えんとつ町のプペル」です。12月25日(金)から全国の映画館で公開されていますが、早速劇場に足を運んだ筆者が、その概要をレポートします。

執筆者のプロフィール

河嶌太郎(かわしま・たろう)

1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。Yahoo!ニュース個人では「河嶌太郎のエンタメ時報」を執筆、オーサーコメンテーターとしても活躍中。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、家電、ガジェット、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。
▼河嶌太郎のエンタメ時報(Yahoo!ニュース個人)
▼@ruei_kannagi(Twitter)
▼河嶌太郎(Facebook)

映画「えんとつ町のプペル」とは

国内屈指のお笑いタレント芸人集団「吉本興業」。その吉本が製作した異色の3Dアニメーション映画「映画 えんとつ町のプペル」が12月25日(金)から全国の映画館で公開されています。

絵本を原作に3Dアニメーション映画化

「映画 えんとつ町のプペル」は、2016年10月に幻冬舎から発売された絵本「えんとつ町のプペル」を原作とした3Dアニメーション映画です。絵本の監督と脚本が、吉本興業に所属し人気お笑いコンビとして知られる、キングコングの西野亮廣さんが担当した作品で知られ、累計発行部数は55万部を超えるベストセラーとなっています。その絵本を原作に3Dアニメーション映画化したものが、12月25日から上映されている「映画 えんとつ町のプペル」(東宝=吉本興業配給)です。

絵本「えんとつ町のプペル」は、西野さん以外にもイラストや着色、デザインなどの作画の工程を分業化して制作。関わったクリエイターの数は33名にものぼります。西野さん自身は、この絵本を「映画化を念頭に制作したもの」と会見で明かしており、見事その念願が適ったアニメ映画になります。アニメ映画においても西野さんは製作総指揮をとり、脚本を担当しています。

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会

アニメーション制作は「STUDIO4℃」

アニメーション制作を担当したのは、「鉄コン筋クリート」や「海獣の子供」などの芸術的なアニメーション作品を生み出してきた「STUDIO4℃」が制作を担当。今作においても、手間暇を度外視した職人的なこだわりによって、圧巻のアニメーションを描いています。

声優に芦田愛菜、窪田正孝、小池栄子、立川志の輔、藤森慎吾、飯尾和樹、宮根誠司など

主人公・ルビッチ役に芦田愛菜さん。ゴミ人間・プペル役には窪田正孝さんが抜擢されています。続いてルビッチの父親、ブルーノ役に落語家の立川志の輔さんが務めているほか、スコップ役に藤森慎吾さん、スーさん役に飯尾和樹さん、トシアキ役に宮根誠司さんなど、声優陣が豪華な顔ぶれなのが特徴です。西野さんの繋がりからか、コメディアン出身の役者が少なくないですが、吉本興業に縛られず、業界全体から集まっているのも特徴です。

主題歌はHYDEの「HALLOWEENPARTY」

オープニング主題歌には、 L’Arc-en-Cielのボーカル・HYDEの「HALLOWEENPARTY」。エンディング主題歌には、シンガーソングライターのロザリーナが歌う、「えんとつ町のプペル」が選ばれています。

▼上映映画館一覧

映画「プペル」のあらすじ

「えんとつ町のプペル」のあらすじについて紹介してみたいと思います。

作品の舞台は、四方を高い壁に囲まれ、空は煙突から立ちのぼる煙で覆われている「えんとつ町」です。この町では、町の外に何があるのかと考える者や、人間ではない者は“異端”として厳しく取り締まられていました。

ルビッチはいつも一人ぼっち

そんな町で生きる主人公の少年・ルビッチは、失踪した父の「煙の向こうには、星があるかもしれない」という言葉を密かに信じ続けていますが、この考えを町で公にしてしまうと“異端”と見なされてしまいます。そのせいでルビッチはいつも一人ぼっちでした。

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会

そんな中、ルビッチは町で、ゴミから生まれた“ゴミ人間”のプペルに出会います。ハロウィンの夜のことでした。母親に友達がいないことを心配され心苦しかったルビッチは、プペルに友達になってくれと願います。了承するプペル。ですが、ゴミ人間は“異端”とされており、町の人に見つかれば捕まってしまいます。ルビッチとプペルは、人々の目を盗みながら絆を深めていきますが、そんな折に町で不審な事件が起こり、町の秘密とプペルの謎が明らかになっていきます……。

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会

「プペル」に登場するキャラクター

「映画 えんとつ町のプペル」は、絵本を原作としていることから、子供の心をがっちり掴んで離さないような工夫にあふれています。まずそれは「えんとつ町」の外見にも現れています。町ではコミカルな煙突や建物が立ち並び、子供の頃に空想したような、ワクワクする秘密基地のような町として描かれています。

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会

一見賑わい、実は厳格な情報統制下の「えんとつ町」

冒頭では、ハロウィンの仮装をしたキャラクターたちが陽気なダンスを踊り、続けて、ありあわせの素材で作ったロボットのような見た目をしたゴミ人間プペルにはじまり、煙突掃除人をしているけどいつもシルクハットをかぶっているルビッチ、おしゃべりで虫のような見た目をした、鉱山ドロボウのスコップなど、特徴的なキャラクターが次々と現れます。

©西野亮廣/「映画 えんとつ町のプペル」製作委員会

同時に、一緒に行った大人でも楽しめるように作られているのが「プペル」の特徴です。一見賑わいを見せているようで、実は厳格な情報統制下に置かれている「えんとつ町」の社会構造や、主人公・ルビッチの亡き父との親子間のエピソードなど、大人が見てもハッとさせられるようなカタルシスがあります。

まとめ

子供も、大人も楽しめるファンタジー映画!

お笑いタレントでありながら、絵本作家や著作家の顔も持つ西野亮廣さんが手がけるアニメーション映画ということで、既に多くのメディアから注目が集まっています。

本作は、子供向けの要素も多くみられる一方で、大人でも楽しめる工夫がなされています。「信じれば、世界は変わる」――「プペル」のキャッチコピーにも描かれているこのテーマは、現代社会を生きる大人にも響くに違いないでしょう。コロナ禍の今だからこそ、ぜひ親子で見に行ってほしい、そんな映画です。

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河嶌太郎(ジャーナリスト)

1984年生まれ。千葉県市川市出身。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了。「聖地巡礼」と呼ばれる、アニメなどメディアコンテンツを用いた地域振興事例の研究に携わる。近年は「withnews」「AERAdot.」「週刊朝日」「ITmediaビジネスオンライン」「乗りものニュース」「特選街web」などウェブ・雑誌で執筆。共著に「コンテンツツーリズム研究」(福村出版)など。コンテンツビジネスから地域振興、アニメ・ゲームなどのポップカルチャー、家電、ガジェット、IT、鉄道など幅広いテーマを扱う。

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