間もなくBリーグのチャンピオンシップが始まろうとしている。昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響でシーズン途中での中止となったため、2年ぶりの開催だ。とはいえ、Bリーグについては「興味はあるが実はよく知らない」という人もいるだろう。今回はバスケットボール観戦初心者の方向けに、Bリーグとチャンピオンシップについて解説していきたいと思う。
そもそもBリーグって何?簡単におさらい!
正式名称は『ジャパン・プロフェッショナル・バスケットボールリーグ』Bリーグは略称で、B.LEAGUEと表記されることも。2015年4月1日に創設され、2020-21シーズンの今年度で開幕5周年目となる。
※クラブ情報など掲載内容については『B.LEAGUE完全ガイド2020-21 (COSMIC MOOK)』を参照
リーグはB1とB2の2部制+プロ・アマ混合のB3で構成され、今年度はB1に20クラブ、B2に16クラブ、B3に11クラブが所属。昨シーズンまではB1・B2とも東地区・中地区・西地区の3地区制を採用していたが、今年度は東地区・西地区の2地区制に変更した。
※なお、今回ピックアップするのはB1のプレーオフとチャンピオンシップなので、以降はB1についてのみ記述する
レギュラーシーズンは10月から5月上旬にかけて開催され、今年度は、
・自地区4回戦総当たり
・他地区2回戦総当たり
・任意に選ばれる他地区内2クラブと4回戦
の60試合の予定だったが、昨シーズンに引き続き新型コロナウイルス感染症の影響で残念ながら中止になった試合も。
チャンピオンシップについて知ろう!
レギュレーションと日程をチェック
「B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2020-21」は、リーグ戦の各地区1位、2位および3位のクラブと、各地区上位3クラブを除いた14クラブのうち勝率上位の2クラブ(ワイルドカード枠)の計8クラブが出場。
2戦先勝のトーナメント方式で、QF(クウォーターファイナル)・SF(セミファイナル)を経て、勝ち抜けた2クラブが日本一の座をかけてファイナルで対戦する。
QF・SFは2021年5月14日(金)から始まり、ファイナルは5月29日(土)・30日(日)・6月1日(月)に開催予定。
QF対戦カードと開催地
対戦カードと開催地は以下の通り。
宇都宮ブレックス ー サンロッカーズ渋谷@ブレックスアリーナ宇都宮
川崎ブレイブサンダース ー 大阪エヴェッサ@おおきにアリーナ舞洲
千葉ジェッツふなばし ー シーホース三河@船橋アリーナ
富山グラウジーズ ー 琉球ゴールデンキングス@沖縄アリーナ
出場チームと注目選手をチェック!
(1)東地区1位『宇都宮ブレックス』VS ワイルドカード枠2位『サンロッカーズ渋谷』
日本人初NBAプレーヤーである田臥勇太(たぶせゆうた)選手を擁する宇都宮ブレックスは、得点力が高くディフェンスも強固で、若手選手とベテラン選手のバランスが非常に良い。4年ぶりの王座奪還への実力は十分だ。ファンの応援も非常に熱心で、ホームアリーナでのQF開催というアドバンテージも大きい。
注目は、PG(ポイントガード)のテーブス海(テーブスかい)選手。高い身体能力と広い視野を持ち、華麗なステップでコートを駆け巡る若きファンタジスタ。
2020年天皇杯優勝チームのワイルドカード枠2位『サンロッカーズ渋谷』は、明るく前向きな雰囲気のチームだが、ゲーム中は激しいディフェンスとスピーディなカウンター攻撃で相手チームに牙を剥く。波に乗ったら止まらない勢いがある。人気アパレルブランドとのコラボグッズなども展開しており、「渋谷のクラブ」らしくスタイリッシュな点もファンに好評。
注目は、PGのベンドラメ礼生(ベンドラメれお)選手。チームの司令塔であり、得点源でもある。プレーはもちろんモチベーターとしても存在感が増している。東京五輪代表候補。
(2)東地区3位『川崎ブレイブサンダース』VS 西地区2位『大阪エヴェッサ』
安定感のあるプレーに加え、勢いのある若手の成長によりより強さを増した川崎ブレイブサンダース。東京五輪代表候補も多数在籍し、今年は天皇杯決勝で宇都宮ブレックスを破り優勝を果たすなど、実力は十分。とにかく強い。クラブ公式のYouTubeチャンネルは面白い企画が満載で、見ていくうちに選手への親しみを感じられる。
注目は、SF(スモールフォワード)の増田啓介選手。動画ではあどけない笑顔を見せるが、天皇杯決勝では両軍最多の13得点をマークするなど勝負強さも見せ、今シーズンに入って存在感を強めた若手選手。
クラブ初のプレーオフ進出を果たした大阪エヴェッサは、序盤こそ連敗を喫したが、今シーズンは途中で大きく息切れすることなく、終盤にかけて安定感を増した。ホームアリーナのおおきにアリーナ舞洲での開催権を得たにも関わらず、大阪府の要請に基づきQFは無観客(リモートゲーム)に。来場できないファンの想いを背負って、強豪川崎と対戦する。
注目は、SFでルーキーの角野亮伍(すみのりょうご)選手。高校バスケの名門・藤枝明誠高校卒業後、5年間アメリカでプレーをした経歴の持ち主。得点力が高く、「世代最強スコアラー」「点取り屋」などと呼ばれる。
(3)東地区2位『千葉ジェッツふなばし』VS 西地区3位『シーホース三河』
プレーオフ常連の強豪・千葉ジェッツだが、意外なことにBリーグ創設以来まだ一度も日本一の称号を手にしていない。プレーオフが鬼門だが、今シーズンこそ王座を手にすることができるか。外国籍選手たちの活躍が鍵となりそうだ。ファンが非常に熱心で、過去には観客動員一位になったことも。ホームアリーナ開催のアドバンテージは大きい。
注目は新加入のSG/SF(シューティングガード兼スモールフォワード)のシャノン・ショーター選手。特にフェイダウェイ(後ろに飛びながら打つシュート)に定評があり、打たれるとわかっていても止められない。PGの富樫勇樹(とがしゆうき)選手とのコンビネーションが素晴らしい。
シーホース三河は1947年創設の名門クラブで、かつては常勝チームとして知られたが、ここ数年は奮わないシーズンが続いていた。今シーズンは経験豊富なベテラン選手と脂の乗った中堅選手が躍動し、さらには若手の成長も加わり、古豪復活を印象づけた。
注目は、PF/C(パワーフォワード兼センター)のシェーファーアヴィ幸樹(シェーファーアヴィこうき)選手。東京五輪代表候補に選出されているが、バスケットボールを本格的に始めたのは高校2年生から。ベテランのいるチームの中で1試合1プレーごとに成長する姿から目が離せない。
(4)ワイルドカード枠1位『富山グラウジーズ』VS 西地区1位『琉球ゴールデンキングス』
富山グラウジーズは、今シーズンから指揮を執る浜口炎HC(はまぐちほのおヘッドコーチ)の下でV字回復を果たしたとも言える。今シーズンは新加入選手たちの躍進もあったが、シーズン終盤で東京五輪代表候補の橋本晃佑(はしもとこうすけ)選手が右アキレス腱(けん)断裂により長期離脱。プレーオフへの影響が懸念される。
注目は、浜口HCと共に京都ハンナリーズから移籍してきたPFのジュリアン・マブンガ選手。とにかく得点力が高く、B1史上初となる個人通算1500アシストを記録するなど、実績十分の選手だ。HCとの絆も強い。
西地区の強豪である琉球ゴールデンキングスは、毎年安定の上位でプレーオフの常連チームだが、千葉ジェッツ同様Bリーグ創設以降日本一を手にしたことがない。昨季からチームを率いる、藤田弘輝HCは35歳とまだ若いが今シーズンも地区優勝を果たした手腕を持つ。21年4月に完成したばかりの沖縄アリーナでQF勝利を飾れるか。
注目は、C(センター)のジャック・クーリー選手。チームの頼れる大黒柱で、ゴール下の番人。ガツンと重たいゴールを決めたあとの熱い咆哮にご注目。
まとめ
2018-19シーズンチャンピオンシップで優勝し、19-20シーズンも全体勝率1位で事実上の日本一に輝いた帝王・アルバルク東京が今季は順位を落としプレーオフ不在となったが、その分どのチームが出てくるか、非常に楽しみである。チャンピオンシップで活躍する選手が世界に羽ばたく可能性もあるので、ぜひチェックしてみてほしい。
チャンピオンシップは日本男子バスケットボール界最高峰の戦いで、バスケットボールファンにとって戦いでもありお祭りでもあるし、そもそもレベルの高い戦いというものは「よく知らなくてもシンプルに面白い」ものなのだ。ただでさえ娯楽が少ないこのご時世、新規だにわかだと遠慮せずに、このビッグイベントに便乗して一緒に楽しもうじゃないか。
>B.LEAGUE CHAMPIONSHIP 2020-21特設ページはこちら
文◆戸嶋ルミ(フリーライター)
スポーツ専門ウェブサイトの編集を経てフリーランスのライター、カメラマンに。メインの執筆ジャンルはスポーツ。SSI認定利酒師として日本酒イベントや飲食店での勤務歴もあり。野球とバスケ観戦が生きがい。