いよいよ始まる東京オリンピック。本大会33競技の中でも、「ソフトボール」は注目だ。世界的な競技人口減少を理由に、2012年のロンドン大会よりオリンピック競技から除外されてしまったが、今回は3大会ぶり・13年越しの競技復帰を果たした。日本は2000年のシドニー大会で銀メダル、2004年のアテネ大会で銅メダル、2008年の北京大会で悲願の金メダルを獲得し、本大会でもメダル獲得が期待される。本記事ではオリンピック女子ソフトボールについて、競技日程や見どころ、日本代表の注目選手について解説していきたい。
ソフトボールは開会式より前に始まる!
東京オリンピックの開会式は2021年7月23日(金)だが、ソフトボール(女子のみの実施)は、7月21日(水)から全競技の中で一番最初にスタートする。7月21日、22日の2日間のみ福島あずま球場、24日から27日の最終日まで横浜スタジアムで試合が行われる。なお、全試合無観客開催ということが発表されている。
出場国は、日本(世界2位)のほか、アメリカ(世界1位)、カナダ(世界3位)、メキシコ(世界
5位)、オーストラリア(世界8位)、イタリア(世界9位)の6ヵ国。日本は本大会アジア圏唯一の選出となった。※世界ランキングは世界野球ソフトボール連盟(WBSC)より
本大会は、予選となるオープニングラウンドは1回総当たり形式となっており、予選1位と2位のチームが決勝戦を、3位と4位のチームが3位決定戦を行う。
対戦スケジュールは以下のとおり。
日程 | 会場 | 第1試合 | 第2試合 | 第3試合 |
---|---|---|---|---|
7/21(水) | 福島あずま球場 | オーストラリア-日本 | イタリア-アメリカ | メキシコ-カナダ |
7/22(木) | 福島あずま球場 | アメリカ-カナダ | メキシコ-日本 | イタリア-オーストラリア |
7/24(土) | 横浜スタジアム | オーストラリア-カナダ | アメリカ-メキシコ | 日本-イタリア |
7/25(日) | 横浜スタジアム | オーストラリア-アメリカ | カナダ-日本 | イタリア-メキシコ |
7/26(月) | 横浜スタジアム | 日本-アメリカ | カナダ-イタリア | メキシコ-オーストラリア |
7/27(火) | 横浜スタジアム | 3位決定戦 (予選3位-4位) |
決勝戦 (予選1位-2位) |
見どころは?
ソフトボールの基本的な試合進行は野球と同じだが、似ているようで全く異なる競技だ。
9人で対戦し、3アウトで攻守交代という進行ルールは野球と同じだが、ソフトボールの試合は7回まで。7回終了時点で同点の場合は、タイブレークによる延長戦となる。
使用するボールは黄色で、直径は約9.5cm~9.7cmと野球ボールよりも大きい。下の写真は、左がソフトボール、右が野球ボール。
さらにはバットの材質が違う(ソフトボールはカーボンなどの金属製が主流)。
グラウンドの使用範囲も、野球とは異なる。
・ピッチャーからホームベースまでは13.11m(野球は18.44m)
・マウンドはなく平坦
・ホームから外野フェンスまでの距離は67.06m以上(野球は76.199m以上)
・塁間は約18.29m(野球は約27.43m)
と、全体的に野球よりもかなりコンパクトだ。そのため、試合展開はスピーディーで迫力が感じられる。
他にも、投手はウィンドミル投法(腕を一回転して下手投げする投法)で投球するのも特徴だ。また、走者は出塁時、投球前のリードが禁止となっている。投手の手からボールが離れるまで、塁から離れてはいけないのだ。さらに、DP(Designed Player:指名選手)や、リエントリー(スタメン選手に限り、一旦交代して試合から退いても、一度だけならいつでも再出場できる。但し、自身の打順を受け継いだ選手との交代に限る)など、野球では見られないルール(*)が多数存在しており、これらが戦術に大きな影響を与えている。
*日本ソフトボール協会「ソフトボール独特のルール」
本記事ではルール詳細について記述しないが(キリがないので……)、試合を見ていて気になる単語が出てきたら、ぜひ調べてみてほしい。ソフトボールの奥の深さが感じられることだろう。
注目の選手は?
本大会、日本代表には15名が選出されている。いずれも才能と個性と愛嬌に溢れた面々だ。
【投手】
上野由岐子(ビックカメラ高崎)、後藤希友(トヨタ自動車)、藤田倭(ビックカメラ高崎)
【捕手】
我妻悠香(ビックカメラ高崎)、清原奈侑(日立)、峰幸代(トヨタ自動車)
【内野手】
渥美万奈(トヨタ自動車)、市口侑果(ビックカメラ高崎)、川畑瞳(デンソー)、内藤実穂(ビックカメラ高崎)、山本優(ビックカメラ高崎)
【外野手】
原田のどか(太陽誘電)、森さやか(ビックカメラ高崎)、山崎早紀(トヨタ自動車)山田恵里(デンソー)
最年少は20歳の後藤希友(ごとう・みゆ)投手。最年長はソフトボール界のレジェンド・上野由岐子(うえの・ゆきこ)選手。上野選手は大会2日目の7月22日に39歳の誕生日を迎える。
「女イチロー」の異名を持つチームキャプテン・山田恵里(やまだ・えり)選手などもいる中で、注目したいのは、藤田倭(ふじた・やまと)選手。
オリンピック出場は自身初だが、国際大会で着実に経験を積み上げている。2018年の世界選手権では11試合中5試合で登板し、防御率は1.25。打率は0.313、5本塁打を放った。リーグ戦でも打撃の中軸を任されている。先発投手として起用される見込みだが、投打の二刀流に期待したい。
他にも、肩のケガのため一度は競技引退するも手術を経て復帰し、そこから代表の座を掴み取った不死鳥スラッガー・山本優(やまもと・ゆう)選手、クールな表情でファインプレーを連発するショートの渥美万奈(あつみ・まな)選手も注目だ。
まとめ
(1)ソフトボールは女子のみの実施
(2)日程は7月21日(水)~7月27日(火)まで(全種目のトップバッター!)
(3)試合会場は福島あずま球場と横浜スタジアム
(4)出場国は日本を含め6カ国
(5)試合は9人制、7回まで(延長時はタイブレーク)
(6)コンパクトでスピーディーな試合展開がソフトボールの魅力
(7)代表選手は21歳から39歳までの才能と個性あふれる15名
大会開催についてさまざまな意見があるとは思うが、選手たちがベストなパフォーマンスを発揮し、怪我なくはつらつとしたプレーができることを心から願っている。全競技に先駆け戦うソフトボール日本代表に、熱いエールを送ろう! がんばれ、SOFT JAPAN!