【明日ちゃんのセーラー服】2022冬アニメの注目作 こだわりの背景美と生々しいほどの人物描写が圧巻

エンタメ

今回は、2022年の冬アニメでもひときわ注目を集める作品『明日ちゃんのセーラー服』の魅力に迫ります。「中学1年生と憧れのセーラー服の出会い」という青々しいテーマを軸に描かれる映像美や丹精なタッチで描かれる繊細な人物描写など、ビジュアル面はもちろん音や光などを活かした演出も魅力的さ作品です。

今期の注目枠『明日ちゃんのセーラー服』とは

原作漫画は独特の表現技法で話題に

さまざまな作品で賑わう2022年冬アニメですが、中でも一際目立つのが本作『明日(あけび)ちゃんのセーラー服』です。

今回は、『明日ちゃんのセーラー服』という作品ついてご紹介します.。

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この作品は、セーラー服に憧れを抱く少女の成長過程や青春を描いた物語。原作漫画を手掛ける博(ひろ)氏は、昨年春の良作『スーパーカブ』のイラストなどにも携わっていた実力派。特に少女を中心とした人物描写の精緻さに定評のある作家です。

原作漫画は、独特の表現技法も話題を集めています。通常用いられるコマ割りをあえて廃した一枚絵のようなページが登場したり、人物の何気ない所作をポーズごとに切り取ったカットの連作を掲載したり。密かな注目枠として、期待されていたタイトルでもあるのです。

そんな中、いざ始まった本放送。これが漫画とはまた異なる「美的感覚」の詰まった見事な映像化として、大きな注目を集めています。

あらすじ

とある田舎暮らしを送る少女・明日小路(あけび こみち)。テレビで見かけたアイドルのセーラー服姿に憧れ、私立の女子中学を目指す。念願を叶えて入学式を迎えた彼女が出会うさまざまな発見や喜びを、セーラー服姿と共に精緻に描いた青春系群像ドラマ。

『明日ちゃんのセーラー服』の魅力を支える映像美と演出

青春、四季、新天地、学生生活といった青春の無垢な輝きを、繊細かつ大胆に描いているのがアニメ『明日ちゃんのセーラー服』が持つ何よりの魅力。そんな魅力を支えている背景とは、一体どのようなものなのでしょうか。

TVアニメ『明日ちゃんのセーラー服』ノンクレジットOPアニメーション/OPテーマ「はじまりのセツナ」蠟梅学園中等部1年3組

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制作スタジオ「CloverWorks」の確かな実力

『明日ちゃんのセーラー服』の制作を手掛けるのは、設立から4年に満たない中でも既に多数のヒット作を世に送り出してきたアニメ制作会社「CloverWorks」です。「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない。」などの名作を多数手がけたA-1 Picturesの分社として、2018年頃に独立したスタジオ運営を開始。『青春ブタ野郎』シリーズや『約束のネバーランド』『Fate/Grand Order』などの作品を、ジャンルレスに生み出しています。

特に、劇場版『青春ブタ野郎はゆめみる少女の夢を見ない』(2019)はスタジオ設立間もない時期にも関わらず圧倒的な成功を収め、深夜の1クールアニメとしては快挙となる劇場版興行収入5億円を達成するヒット作となりました。青春群像劇とファンタジー要素を絶妙な配分で組み合わせた原作の雰囲気を崩すことなく、アニメーションで動きを加えることで印象に大きく変化をつける演出も話題を呼びました。既存のファンに加え、新たな作品ファンを数多く獲得することに成功しています。

なおCloverWorksは、高いクオリティでありながら非常に多作なスタジオとしても知られています。2022年には、『SPY×FAMILY』などを含め計7作への参加を発表。今期アニメには、『明日ちゃん』以外に『東京24区』『その着せ替え人形は恋をする』と、3作の制作を同時並行で請け負っています。丁寧さはもちろんながら確かな実力を持つ組織としても注目を集めており、今後も目が離せない存在です。

『明日ちゃんのセーラー服』に話を戻しましょう。例えば第1話において、小路がセーラー服を初めて着る瞬間のドラマチックな重要シーンはもちろん、むしろ何気ない所作や会話など「演劇的ではない」シーンに注力した作劇がなされています。これこそが、CloverWorksならではの仕事が光るポイント。

原作が持っていた、漫画というより写真や絵画、イラストレーションに近いような特有の質感を、映像に落とし込んだひとつの例として見ることができます。実際に人々がそこに存在しているかのような、ある種の生々しささえ感じさせる入魂の作画は必見です。

背景美を強調し、人物描写や動きをより強化する表現力

また、アニメ版の放映で、原作と比較してより強化された点に、背景・風景美術へのこだわりが挙げられます。原作では、線画を基調としてトーンを抑えることで美術的な印象を与える演出がなされ、結果的にそれがキャラクターデザインの魅力を引き立てる、という背景作画が行われていました。

しかし、映像化にあたっては、一気に色彩感覚や採光の表現を強めています。キャラクターの魅力を伝える主な手段を「絵」そのものではなく、「動き」へと転化させるアプローチがなされているのです。

そこに、声優の演技やピアノを手とした劇伴音楽が組み合わさることで、背景の解像度や迫力を高めつつも、キャラクターの息遣いが前に出る造りは一切揺らぎません。両者が、それぞれの魅力を向上させる仕掛けへ繋がっているのです。

原作内でたびたび描かれていた「キャラクター感」満載のポップな演出が行われても、背景の盤石なクオリティによって、全体のトーンや雰囲気がブレることもありません。どこかオフビートな雰囲気で、粛々とストーリーが展開していく技術には脱帽です。

当作品は背景・風景美術にこだわりを持ち、結果的にキャラクターの魅力を引き立てています

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まとめ

今回は、注目作『明日ちゃんのセーラー服』を取り上げ、その魅力を探りました。人物描写やキャラクターの表情、息遣いや所作の一つひとつに徹底的なこだわりが感じられる圧巻の仕上がりを、ぜひ鑑賞していただきたいと思います。純粋な美しさばかりでなく、制作者が込めたある種の技術的なフェチズムさえ感じられることは間違いないでしょう。

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松島広人(フリーライター)

Webディレクターとしてコンテンツの企画・編集・校正・執筆・SEOを担当する傍ら、フリーランスのWebライターとしても精力的に活動。業種・業界を問わず多数のジャンルを手がける。ポップカルチャー・サブカルチャーにも精通しており、幅広い知識を活かしたライティングを得意とする。

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