ふとんクリーナーという製品ジャンルを開拓し、パイオニアとして市場を牽引してきたレイコップ。日本では、2012年の販売開始以来、着実に製品ラインアップを充実させており、シリーズの全世界累計出荷台数は600万台を突破している。ふとんの中に潜むダニやカビ、ウイルス、花粉などのハウスダストを効率的に除去する仕組みとはどのようなものなのか。レイコップ・ジャパンを訪れ、担当者に訊いた。
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UVランプでダニをひるませて吸引する
ふとんクリーナーという製品ジャンルを開拓したのは、間違いなくレイコップだろう。2012年から日本での販売を開始し、着実に製品ラインアップを拡大。2018年6月には、シリーズの全世界累計出荷台数が600万台を突破している。
現在、この市場には多数のメーカーが参入し、競争も激しくなっているが、レイコップの成り立ちは他社と比べてユニークだ。レイコップ・ジャパンでマーケティングを担当する高吉史彬さんは、次のように説明する。
「レイコップの創業者であるリ・ソンジンは、内科医として勤務した経験を持っています。彼が医師時代に、アレルギー性疾患の原因としてハウスダストに注目したことが、レイコップ創業のきっかけです。すべての家庭に清潔で快適な睡眠環境を届けたいという思いが、レイコップの理念になっています」
ハウスダストという言葉はよく使われるが、その正体はチリダニ類やその死骸、カビ類、ウイルス、花粉などだ。中でもアレルギー症状の原因のトップはダニであり、一般的な家庭のふとんに数十万から数百万匹いるといわれている。人間に噛みつく(刺す)ことはないものの、アレルギー性の皮膚炎や鼻炎、ぜんそくといった疾患を引き起こす原因になるという。
レイコップは、ハウスダストを効率的に除去するための仕組みとして、「光クリーンメカニズム」を採用している。これは「UV(紫外線)ランプ」と「パワフルたたき」、そして「吸引」を組み合わせたレイコップ独自の技術で、すべてのモデルに搭載されている。
「ダニは、人間のアカやフケなどの老廃物をエサとしているため、大部分はふとんの表面に存在しています。UVランプは波長253・7ナノメートルの紫外線(UV-C)を照射して、ダニの動きを抑制。パワフルたたきでふとんから浮かせたところを吸引し、取り除く仕組みです。また、UVランプは医療現場でも殺菌灯として使われており、至近距離から照射することで、除菌とウイルス除去にも効果があります」
通常、ダニはふとんの内部で繊維に足をからめて、強くしがみついている。そのため、吸引力を強くしたとしても、吸引だけで取り除くことは困難だ。
そこで、UVランプとパワフルたたきの出番となる。筆者は、UVランプはダニを死滅させるためにあると思っていたが、UVの役割はダニをひるませること。そして、繊維にしがみつく力が弱くなったスキを突いてパワフルたたきで浮かせ、吸引してしまうというわけだ。
寝具のケアに特化した最適なバランス設計
ふとんクリーナーのパイオニアとして市場を牽引してきたレイコップだが、比較対象となる他社製品も登場してきたことで、ネット上などには“弱点”を指摘するユーザーの声もある。
その一つが、本体の重さだ。筆者は今回、最軽量(1.9キロ)のエントリーモデル「レイコップ RN」を試用したのだが、確かにズシリとした重さがある。レイコップのほかのモデルはもっと重いわけで、家電量販店の店頭で試しに持ち上げてみたら、「ん、ちょっと重いな」と感じる人は少なくないだろう。
「確かに、実際に製品を購入したユーザーさんからも、そのような声はいただきます。ただ、レイコップの重さにはそれなりの理由があります。適度な重みを持たせることで、ふとんにきちんと密着させ、吸引を効率的に行えるようにするというねらいがあるのです」
吸引力の弱さも、例えば、ふとん用ヘッドを装着した他社の掃除機との比較などでよく指摘される点だ。ただ、これについては、吸引だけで生きたダニをふとんから除去するのが難しいことは、前述したとおり。ふとんクリーナーの場合、吸引力が強ければそれだけでいいということではない。
「それに加えて、吸引力が強すぎると本体がふとんに吸い付いてしまい、スムーズな動きの妨げになってしまうという弊害も生まれます。レイコップは、あえて吸引力を抑えることにより、ふとんに吸い付かない絶妙なレベルに設定しています」
このように、レイコップの設計では、バランスを重視する方針がとられている。同社では、これを「最適バランス設計」と呼んでいるが、本体重量や吸引力以外の面でも、この方針は貫かれている。
例えば、パワフルたたきの力の強さ。強くたたけば、それだけ大きな振動を与えられ、より多くのハウスダストを除去できるようにも思えるが、実はそう単純でもない。強くたたきすぎると、ふとんやシーツの繊維を傷めてしまい、それがかえってホコリの原因になってしまうのだ。そのため、たたき具合や振動パッドの形状には、工夫が加えられている。
今後は生活環境のケアにも取り組みたい
さて、レイコップ RNを使ってみての感想だが、非常に快適な使用感に驚かされた。ふとんの上を滑るように動くため、それほど力を入れなくてもスムーズに動かせるのが心地いい。動作音も静かだ。
また、使用中にどんどんたまっていくハウスダストを見ていると、最初は「こんなに汚れていたのか」と驚いたが、掃除をした達成感とキレイになった実感を得られる。筆者宅もそうだが、まだ免疫力の弱い乳幼児がいる家庭には、必須のアイテムのように感じられた。最後に、レイコップの今後について、高吉さんに訊いてみた。
「清潔で快適な睡眠環境を実現するふとんクリーナーは、今後もさまざまな機能を追加しつつ、改良を重ねていくことになります。また、ユーザーさんからの声を生かした使い勝手の向上も、必要なことだと考えています。一方で、今後は睡眠だけでなく、生活環境そのものをケアする製品にも取り組んでいくつもりです。新製品の開発も進んでいますので、期待していてください」
●Memo
高吉さんによると、「ふとんの掃除頻度は週1回程度でもいいと思いますが、まくらは毎日掃除するのがおすすめです」とのこと。顔や頭はダニのエサの宝庫だから、確かに納得だ。
※比較動画のURL→https://youtu.be/VdAcNDp1NVM
●プラス1レポート/快適な睡眠環境をトータルにケアするニュープロダクツ
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寝床内の温度を意図的に1℃ずつ調節
ふとんクリーナーの専門ブランドとして実績を積んできたレイコップだが、現在は、新ジャンルの製品も発売している。
2018年2月に発売された「FUTOCON」は、送風装置とヒーターを内蔵する本体と、センサー内蔵のエアマットで構成。センサーによって寝床内の温度を感知し、風量とヒーターの発熱を調整することで、最適な睡眠環境を生み出すことを目的とした製品だ。
一般的に、人間が快適に眠るのに適した温度は33℃±1といわれており、FUTOCONはこの温度をキープする仕組み。また、体温が1℃下がることで眠りに入り、1℃上がると目覚めるという人間の習性を利用。寝床内の温度を意図的に上げ下げすることで、快適な寝入りと目覚めも実現している。
FUTOCONは、エアマットを清潔に保つための「寝具ケア」モードも備える。50℃以上の温風とレイコップが独自開発した「ホメスタイオン」をエアマット内部に送り込むことで、除湿や脱臭、除菌、ダニ対策までが可能だ。
もちろん、寝具としての機能にも抜かりはない。エアマットの素材には、東洋紡と共同開発した三層構造体「エアスペーサー」を使用。高反発設計になっており、スムーズな寝返りをサポートし、体にかかる圧力も分散してくれる。
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レイコップのサブブランドである「Sleex」からは、通気性に優れた網状繊維構造を採用した高反発まくら「Sleex Pillow」も発売。合計4枚の中材を組み合わせることで、好みの高さと寝心地を選べる。また、アウターカバーとインナーカバー、中材のすべてが水洗い可能なため、清潔に使用できるのも特徴だ。
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※価格は記事掲載時のものです。
インタビュー、執筆/加藤肇(フリーライター)