1989年に青色LEDが実現し、1996年には白色LEDを使った照明器具が、一般にも売られるようになった。20年以上たった今、低価格化も進み、確実に次世代照明の主役になりつつあるLED照明。最近はデスクライトも話題になり、さらなる盛り上がりを見せている。今回は、注目のLEDデスクライト選び方と最新のLEDシーリングライトを紹介する。
監修/中村 剛
「TVチャンピオン」スーパー家電通選手権優勝。TVチャンピオン」スーパー家電通選手権で優勝の実績を持つ家電の達人。家電製品総合アドバイザー、消費生活アドバイザー。東京電力「くらしのラボ」所長。現在、暮らしに役立つ情報を動画(Facebook)で配信中。
LED照明の基本
寿命が長くて省エネで調光や調色も自在
LEDは、照明器具として、数々の優れた特性を持っている。応答速度が速くて、瞬時に点灯するほか、従来の照明に比べ、寿命も長い。4万時間という寿命は、白熱電球の約20倍で、1日10時間の使用で10年以上も使える計算だ。
調光と調色が可能なのも特徴で、使うシーンによって、明るさや色み(昼光色〜昼白色〜電球色)を自在に変えることができる。
省エネ性に優れていることでも知られているが、近年は、それがさらに進化した。例えば、日立のシーリングライトの消費電力は、2012年の代表モデルは約71ワットだったが、2018年モデルでは約34ワットとなり、6年間で半分以下になっている。消費電力の減少はCO2の削減につながるため、環境保護にも役立ち、もちろん、家計にも優しい。
これらのメリットが認知され、部屋の照明を白熱灯からLED電球へ、蛍光灯からLEDシーリングライトへと置き替える家庭が増えてきた。さらに最近は、LEDデスクライトも注目され始めている。
LEDデスクライト
「子供の目を守る」というバルミューダが話題
衝撃に強くて割れにくく、高温にならないLEDは、安全性が高く、デスクライトとは好相性だ。オン・オフの繰り返しが寿命に与える影響もないため、心おきなく使える。
明るさは、「光束」(単位はlm=ルーメン)で表され、300~400ルーメンのものが一般的だ。蛍光灯でいう30~40ワットの明るさに相当し、読書や勉強には十分といえる。
光の色みは「ケルビン」(単位はK)で表し、数値が高いと青白いクールな色に、低くなるほど温かみのある電球色になる。LEDデスクライトでは、自然光に近い5000ケルビンの昼白色が用いられることが多い。また、「演色性」というスペックがあり(平均演色評価数。単位はRa)、この数値が高いほど、自然光が当たったときの色をリアルに再現できていることになる。一般的な蛍光灯の演色性はRa60ほどだが、ここで紹介する4モデルは、いずれもRa80以上を実現している。
一口にデスクライトといっても、そのアプローチはさまざまだ。今回は、使い勝手やデザインなど、個性あふれる4モデルをセレクトした。
◇ツインバード
LE-H845W
実売価格例:6130円
自の反射板構造で、ムラを抑えた光をワイドに拡散。ライト直下とデスクの端の照度差が少ないため、長時間の作業でも目が疲れにくい。調光は5段階。400ワットまで対応のコンセント1口とスマホ台付き。
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◇パナソニック
SQ-LE530
実売価格例:8530円
だ円形の本体に、デスクライトと間接照明の二つの機能を搭載したユニークなモデル。閉じているときはムーディな電球光を発し、開くと昼白色の明かりが点灯して、読書が可能になる。
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◇バルミューダ
BALMUDA The Light
実売価格例:3万9960円
自然界の光に近い波長の太陽光LEDを採用。本来の色が再現できるほか、目に悪いといわれるブルーライトを大幅にカットし、子供の目の健康に配慮した。ベース部はペン立てに使用できる。ステッカーを付属し、自由に本体に貼れるのも楽しい趣向だ。
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◇山田照明
Zライト Z-8
実売価格例:5850円
半世紀以上の歴史を持つZ-
LIGHTシリーズの人気モデル。100%~30%の無段階調光と、消灯時の明るさを再現するラストメモリー機能を搭載。黒や赤など、本体のカラーバリエーションも豊富。
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注目LEDディスクライト4モデルの特徴
それぞれの特徴を見てみよう。
まず、ツインバードは、横長のヘッドに搭載した反射式構造で光を拡散し、広範囲に照らせるのが売りだ。そのため、新聞や地図など、大判のものも端まできれいに見渡すことができる。コンセントとスマホ置き場がついており、充電しながらの作業が可能で、書斎での利用に向く。
老舗メーカー・山田照明のZライトは、その技術を生かし、小型ヘッドながら393ルーメンという十分な明るさを実現。圧迫感のないシンプルでスマートなデザインは、オフィスや店頭などにも、違和感なく溶け込む。シーリングライトのように、無段階で調光(100%~30%)できるのも便利だ。
パナソニックは、色温度の違う2種類の明かりを搭載しているのがおもしろい。ボディを開くと昼白色のスタンドとなり、閉じると電球色の間接照明へと変わる。丸いフォルムが柔らかなイメージで、ベッドサイドやリビングにマッチする。
バルミューダは、「子供たちの目を守る」というコンセプトのもと、子供の前かがみ姿勢に着目。頭で光を遮らないよう、手術用の特殊な反射板を採用し、離れた場所から手元に光を飛ばすようになっている。また、自然光に近い波長の太陽光LEDを採用し、目に悪いといわれるブルーライトも大幅にカットした。
デスクライトとしては高価だが、トースターのときと同様、今後の市場にとって、高級路線の起爆剤となりそうだ。
LEDシーリングライト
多彩な明かりやスピーカー搭載などで快適性アップ
一方、LEDシーリングライトにも、進化が見られる。
日立では、天井や壁の隅を照らすことで、部屋を効果的に広く見せる「ひろびろ光」や、青緑色の光成分をプラスして文字を見やすくした「ラク見え」機能を搭載したモデルを用意。また、2000/2400/2700ケルビンという3種類の暖色系の明かりで、夜カフェのような雰囲気が楽しめる「リラックスのあかり」、メイクや服選びがしやすい白色光に設定した「スタイリングのあかり」搭載モデルなど、さまざまなタイプをラインアップし、快適性の向上を図っている。
パナソニックは、新しい発想が目立つ。形状もユニークで(上の写真参照)、センター部分のみを点灯したり、サイドのパネルだけを光らせたりと、さまざまに切り替えが可能だ。また、ブルートゥーススピーカーを搭載しており、スマホの音楽やテレビの音声などを、ブルートゥース経由で天井から流せるようになっている。光と音による多彩な演出で、空間に楽しさをプラスする仕様だ。
サーキュレーターや空気清浄機など、照明とは別の機能を一体化する動きは他社にもある。天井なら、設置場所や配線の問題が解消でき、部屋の真ん中なので、位置的にも利用価値が高い。いずれは、スマートスピーカー機能を搭載したシーリングライトが登場するかもしれない。
LEDシーリングライトにも特徴的な製品が続々登場
◇日立
[リラックスのあかり]搭載タイプ
LEC-AH803PK(~8畳用)
実売価格例:2万4590円
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◇パナソニック
AIR PANEL LED THE SOUND
スピーカー搭載タイプ
HH-XCC1288A(~12畳用)
実売価格例:5万2420円
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まとめ
デスクライトは、明るいほどいいというものではない。むしろ強すぎる光は目に負担となり、長時間の作業に向かないからだ。また、光の柔らかさなどは、反射板の性質で変わってくるので、スペック上では知ることができない。気になるモデルがあったら、実際の明かりを店頭で体験してみてほしい。なお、その日の体調によって光の見え方は違ってくるので、調光ができる機種を選びたい。
取材・執筆/諏訪圭伊子(フリーライター)