当初は高価と言われた4Kテレビも本格的な普及機を迎え、価格もかなり手頃なものになってきた。ネット直販モデルなども含めると50V型を超えるような大画面サイズも驚くほど安価なモデルが登場してきているほど。テレビの画面は大きければ大きいほどいいのだろうか。デメリットはないのだろうか。最新の大画面の4Kテレビについて解説しよう。
大画面になるほど目の疲れや画面酔いの心配もない
高精細な4Kテレビは、大画面になるほどその豊かな情報量を存分に楽しめるのはよくわかるだろう。
一般的なリビングでは、テレビから2〜3mほど離れて視聴することが多いと思われるが、そのくらいの視聴距離で見比べると、40V型と50V型、50V型と60V型ではかなり大きさに違いがあるとわかる。
大画面になると、画面の端を見るためにいちいち視点を動かす必要があって目が疲れるとか、動きの激しい映像では画面酔いしやすいとも言われるが、適切な距離で見ればその心配はない。
4Kテレビの最適視聴距離は、1.5H(画面の高さの1.5倍)と言われるが、その距離は2mに満たない近距離なので、ほとんどの場合そこまで近づいて見ることは少ないだろう。
目の疲労や画面酔いは個人差もあるが、適切な距離と部屋の明るさがあれば、それまでの薄型テレビと比べて、大きな差がでることはない。
大画面のデメリットはある?
テレビが大画面になることで生じるデメリットについても考えてみよう。
まずはサイズ。
店頭で50V型の4Kテレビを見ると、その大きさに驚くかもしれないが、実は画面サイズは大きくても画面周囲の枠(ベゼル)はどんどん細くなってきており、思ったほどサイズは大きくなっていなのだ。
最新の50V型ならば、10年前の40V型サイズとだいたい似たような大きさになっている。
「テレビを買い替えるなら1サイズ上がおすすめ」と言われるのも、およそ10年と言われる買い替えサイクルで考えると、40V型を置いていたスペースなら50V型の4Kテレビが問題なく収まることがわかっているからだ。
梱包のサイズも小さくなっているので、マンションの高層階でエレベーターに乗らない、といったことも、65V型を超えるような特大サイズでもなければ心配はない。
気になる人は、メーカーのホームページなどでスペックを確認し、部屋に置けるかどうかチェックしてみるといいだろう。
消費電力は、画面サイズが大きくなる分、それなりに消費電力も増えるのは仕方がない。
しかし、特に液晶テレビは省エネ化が進んでいるので、仮に40V型から50V型に買い替えてもサイズに比例して消費電力が増えるようなことはない。むしろ、省エネ化が進む前の古い液晶テレビならば、逆に消費電力が下がっているほどだ。
AQUOS
LC-50US45
壁掛けはできる? 重すぎて工事にお金がかかるのでは?
最新の4Kテレビは、スリム化だけでなく、軽量化も進んでいる。
液晶テレビは実際に持ち上げてみると思った以上に軽いことに驚くはずだ。
壁掛け設置をするならば、万一の落下や地震対策も含めて、厳重な対策が必要になるので最小限の補強工事は必要になるだろう。
しかし、テレビ自体が軽量なこともあり、工事のコストもそれほど高くはないので安心してほしい。気になる人は、大型電器店では壁掛けを含めた設置サービスを用意しているところもあるので、相談してみるといいだろう。
注意したいのは、軽量だからといって、設置や組み立てを一人で行うのは危険ということ。
万一の事故やケガを考えて、2人以上で行うようにした方がいい。
特に、壁掛け設置の場合は、落下や転倒の危険があるので、きちんとした業者に工事を依頼した方が安心だ。
おすすめのサイズは50V型や55V型
4Kテレビへの買い替えを考えるならば、おすすめのサイズは50V型や55V型だ。
安価になってきたと言っても、65V型を超えると価格は一気に上昇してしまう。
手の届く価格で満足度の高いサイズ感となると50V型クラスがちょうどバランスがよい。
もしも、50V型と55V型で迷った場合は、より大きいサイズを選んだ方がいい。
最初は大画面と感じても、実際に設置してみるとすぐに慣れてしまうし、想像したよりも小さいと感じることも少なくない。
「ちょっと大きすぎるかも?」と感じるくらいのサイズの方が、購入後の満足度は高いのだ。
デザイン、機能、そして画質の好みもあるし、価格の差も重要になるので無理にはおすすめしないが、4Kテレビの購入はすこし大きめを意識しよう。
まとめ
大画面テレビ恐るるに足らず。大きな画面でテレビをもっと楽しもう。
ブラウン管テレビが主流だった2000年以前は、25型や29型が最大級のサイズで、ほんの18年で50V型が当たり前になってしまったことを考えると、大画面テレビに物怖じしてしまう気持ちはよくわかる。
サイズや重量は思った以上に大きくはないし、消費電力などの増加も軽微だ。
なにより、4Kの高精細は大きな画面ほどよくわかる。薄型テレビの買い換えのときは、思い切って1サイズ大きな画面を選ぶようにしよう。
◆鳥居一豊
オーディオ、AVの分野で活躍するAVライター。専門的な知識をわかりやすく紹介することをモットーとしている。自らも大の映画・アニメ好きで自宅に専用の視聴室を備え、120インチのスクリーン、有機ELテレビなどを所有。サラウンド再生環境は6.2.4ch構成。