僕が実践する掃除術の中でも大掃除にお勧めなのが「オキシ漬け」です。コップや食器にこびりついた汚れや、シャツのシミや襟の変色、スニーカーの黒ずみ、浴槽やシンク、洗濯槽のカビなど、頑固な汚れも漬けおきしてサッと流すだけで楽に落とせます。【解説】松橋周太呂(家事芸人)
解説者のプロフィール
松橋周太呂(まつはし・しゅうたろ)
1985年、東京都生まれ。ピン芸人、放送作家として、メディアで活躍。洗濯や掃除、料理などの家事が好きで、知識も豊富。掃除能力検定士やジュニア洗濯ソムリエの資格も有する。自宅には洗剤100種類、スポンジ30種類を所有し、「家事えもん」の愛称でテレビなどでも活躍している。新刊『ほったらかし掃除術』(SBクリエイティブ)が10月下旬発売予定。
黒ずみやカビ、水垢もきれいに落ちる!
年末と言えば掃除と片づけの季節。でも、掃除ってめんどうくさいですよね。
僕はテレビ番組で「家事えもん」「掃除大好き芸人」などと呼ばれていますが、けっして掃除が得意なわけではありません。基本的にめんどうくさがり屋ですから、掃除もできるだけ手を抜きたいほうです。
掃除のたびに、いかにして楽に、短時間で家の中をきれいにできるかをいろいろ考えて実践していたら、いつの間にか「掃除の達人」と呼ばれるようになっていました。
僕が実践する掃除術の中でも大掃除にお勧めなのが「オキシ漬け」です。オキシ漬けとは、『オキシクリーン』と呼ばれる酸素系漂白剤をお湯や水などに溶かした溶液に、汚れたものを漬け込んでおくだけできれいにしてしまう掃除法です。
アメリカ製の『オキシクリーン』でオキシ漬けを行うと、大量の泡が発生します。浴槽やキッチンシンクでオキシ漬けしている様子はインパクトがあり、インスタグラムなどのSNSを通じて、主婦の間でとても話題になりました。
オキシ漬けのすごさは、見た目だけではありません。コップや食器にこびりついた汚れや、シャツのシミや襟の変色、スニーカーの黒ずみ、浴槽やシンク、洗濯槽のカビなど、頑固な汚れも漬けおきしてサッと流すだけで楽に落とせます。
洗浄力の秘密は酸素の力にあります。酸素の泡がこびりついた汚れやシミを浮き上がらせてくれるのです。得意な汚れは、油汚れ、黒ずみ、茶渋、泥汚れ、湯垢などです。
なので、『オキシクリーン』でなくても「酸素系漂白剤」に分類される製品では、すべて同じ効果が期待できます。
漂白剤というと、「色落ちしない?」「ツーンとしたにおいが苦手」という人もいると思いますが、それは塩素系漂白剤の話。漂白剤には酸素系と塩素系があり、酸素系漂白剤は色落ちすることもありませんし、ツーンとした刺激臭もありません。
『オキシクリーン』の場合、アメリカ版と日本オリジナル版があります。アメリカ版は界面活性剤が配合されているので、泡立ちもよく、油汚れをより落としやすいのが特徴です。ただし、界面活性剤が気になる人は、日本オリジナル版を使用するとよいと思います。
◎「オキシ漬け」が有効な汚れ
* 油汚れ全般
* キッチンシンク、浴槽、洗面台のカビ、黒ずみ、水垢
* コンロ、魚焼きグリルのコゲ、黒ずみ
* シャツの襟の黄ばみや袖の黒ずみ
* 服のシミ、漂白
* 手垢、水垢
* 消臭(汗臭、加齢臭、生ゴミ臭、生乾き臭)
◎「オキシ漬け」で家じゅうこんなにピッカピカ!
ポイポイと入れて1時間漬けるだけ!
それでは、基本的なオキシ漬けのやり方をご紹介します。
❶浴槽やキッチンシンク、洗面台のボウルなどに止水栓をして、熱めのお湯をためます。
❷そこにそれぞれの容量に応じた量の酸素系漂白剤を入れて入れて溶かします。
❸あとはその中に、汚れが気になるものをポイポイと入れて漬けておくだけ。
通常、1時間ほどでほとんどの汚れが勝手に落ちるのです。
フライパンや鍋、食器など、油汚れをゴシゴシこすり落としていた労力と時間を、ほかのことに有効活用できるようになります。
また、浴槽やシンクなどのヌメヌメや水垢もきれいに落ち、ピカピカになります。
酸素系漂白剤が最も力を発揮するのは、40〜60℃のお湯です。したがって溶液もそのくらいの温度で作りますが、この温度内のなるべく熱めのお湯で作るのがコツです。漬けているうちに冷めても、効果を持続できるからです。
溶液の寿命は6時間。6時間を過ぎると酸素が完全に分解しきってしまって、効力がなくなります。
襟の黄ばみや古いシミも落とせる!
基本的なやり方がわかったところで、僕が考案したちょっと便利なオキシ活用術をいくつか紹介します。
家事えもん流オキシ活用術❶
【おでん式オキシ漬け】
キッチンシンクでオキシ漬けをやる場合、溶液の中になんでも入れればいいとはいうものの、料理に使うまな板と、ヌメヌメの三角コーナーや排水溝のゴミ受けを一緒に漬けるのは抵抗があると思います。
そこでお勧めしたいのが「おでん式オキシ漬け」です。コンビニのおでんは、種類ごとに仕切られてますよね。あのおでん鍋のようにシンクを仕切れば、まな板もヌメヌメ汚れもベタベタの油汚れも、一度に漬け込むことができるというわけです。
ではどうやって仕切るか。僕が思いついたのは、種類別にビニール袋に入れた溶液に漬けて、さらにそれをシンクのオキシ溶液に漬けるという方法です。ビニール袋はなんでもいいですが、市販の30リットル程度のポリ袋がお勧めです。
口を縛るとすき間から漏れてしまうので、口を縛らずに、テープでシンクの縁に固定します。テープは、貼り跡が残らない養生テープをお勧めします。
シンクでオキシ漬けをしている間、溶液を使って、ガス台やキッチンの壁も掃除できます。その場合、必ずゴム手袋をして、スポンジなどに含ませて行いましょう。
オキシ漬けが終わったら、シンクの溶液を排水します。そして、溶液の入っているビニール袋の端を切って、シンクに流します。レンジフードなどのこびりついた油汚れは、長めに漬け込んだ後、軽くこすり洗いをするときれいに取れます。最後は水で丁寧に洗い流してください。
家事えもん流オキシ活用術❷
【待ち伏せオキシ】
旦那さんやお子さんの帰宅時間に合わせて、バケツにオキシ溶液を作っておきます。
そして、家族が帰ってきたら、泥だらけの服やユニフォーム、下着や靴下などを入れてもらうのです。これから来るめんどうな洗濯物を待ち伏せする、「待ち伏せオキシ」です。
数時間漬けた後、洗濯機で洗えば、汚れもにおいもきれいに落ちます。頑固な汚れやしつこいシミでも、オキシ漬けした後ならば、少しこすり洗いするくらいで格段に落ちやすくなります。
家事えもん流オキシ活用術❸
【超頑固なシミ落としオキシ】
皆さん、服のシミは何度も洗ううちに自然と薄くなっていくと思っていませんか。実はこれは逆で、シミは洗って乾かすのを繰り返すほど、固まって落ちにくくなるのです。
何度も洗った後の古いシミやシャツの襟の黄ばみなどは、もう普通の洗濯では落とすことはできません。
こういった汚れにもオキシ漬けは有効です。シミや黄ばみにキッチン用洗剤を垂らし、熱いお湯で作ったオキシ溶液に一晩漬けてみましょう。
シミの状況にもよりますが、かなりきれいに落ちると思います。お気に入りの服にシミができて困っている人も、捨てる前にぜひ「超頑固なシミ落としオキシ」を試してみてください。
漬けるだけで家じゅうがピカピカになる「オキシ漬け」、この年末の大掃除にご活用ください。なお、オキシ漬けを行う際には、製品の注意書きをよく読んで、正しい安全な使い方を心がけてください。