バルミューダに端を発する高級オーブントースター。今や、各メーカー出しまくっていますが、そろそろ出し尽くされた感もあります。ここで、バルミューダ、シロカ、タイガーの高級オーブントースターをまとめてみたいと思います。
欧州のオーブンは湿度ケアしている
皆さんは、肉を焼くときフタを使いますか?
「変なことを聞くやつだなぁ」と思わないでください。
実際は、火力、イメージする仕上がりによっても違うのですが、じっくり焼くときは、フタをしなければなりません。そうでないとパサパサの肉になってしまうからです。
300℃にもなるオーブンの庫内でも同様。欧州で使われる大型のオーブンには、水を噴霧する装置が付いています。湿度をかけながら焼く。これがオーブン料理のコツです。
意識的にカップで水を注ぐバルミューダの『BALMUDA The Toaster』
BALMUDA The Toaster(以下 The toaster)が出た時は、その焼きの巧さ、美味さに感動しました。ネタは、5ccの水と、独自プログラム。バルミューダ社の創業者である寺尾玄氏は、欧州を旅している時の雨の日、美味しいパンに出会うことに気づき、The toasterを作ったといいます。
ちょっと儀式めいてはいますが、専用の小型カップに水を5cc取り、 The toasterの上部にある専用口に流し込みます。
そして「バタートースト」「チーズトースト」など、トーストの種類を選び、タイマーを回します。チンとなったら出来上がり。キツネ色に焼けたトーストが出来上がります。
プログラムもよく出来ていて、表面をキツネ色にするのは最後の10秒位ですから、それまではじっくり、パンに熱を取り込ませます。周りは5ccですが湿度を加えてありますので、パンの中から水分が、適度にしか逃げ出しません。
こうして、中は湿度がありモチモチ、外はキツネ色にサクサクという状態に焼き上げるわけです。
BALMUDA The Toaster
加湿機能どころか自動プログラムもない、シロカのプレミアムオーブントースター『ST-2/4A251すばやき』
オーブントースターは、オーブン+トースターで、「パンも焼けます」と言うことをアピールするために、敢えてオーブントースターとされたとしています。イイところは、パンの上にいろいろな食材を置いて調理が出来ることです。
「これは便利」ということで主流になりましたが、それまではポップアップ・トースターですね。
パンをセットしレバーを下げると、パンがトースター内に入ります。焼き上がるとパンが跳ねるように「ポン」と出てきます。「ポップアップ」と言われる由縁です。
パンを立てるので、食材は載せられませんでしたが、とでも美味しかった。「サックリ」と焼けていました。
これは、ヒーター線がパン間近にあるためで、さっさか表面を焼いてしまうためです。
要するに、パンの中にある水分を閉じ込めるためです。
逆に、オーブントースターは、ヒーターが焼ける温度になるまで時間がかかる上、ヒーターとパンは離れています。表面が焼ける前に中から水分が逃げたりしますので、ポップアップ・トースターに比べるとイマイチ美味しくなくなります。
これをバルミューダは水足しで対応したわけです。
それを、加水なしで打破しようとしたのが、シロカの「すばやき」です。
ポイントは名前の通りで、「ヒーター」加熱がとても早いことです。上側のヒーターに即発熱のグラファイトヒーターを用い、表面をさっさか焼き、水分が逃げないようにします。幼い頃、お米とは違うパン食文化が戻ってきた感じで、美味しい。
ただ、「すばやき」にオートプログラムは付いていません。フライパンで焼いているようなもので、ドンドン焦げて行きます。ちょっと油断すると真っ黒!
しかし、1.5〜2分もあれば、バタートーストが焼けます(通常は4〜5分)。
どちらかというと、プロ好みのパワーで、調理「家電」と言うよりは、調理「器具」という雰囲気です。
私は、キツネ色より、焦げるちょっと前までよく焼いた方が好きで、この「すばやき」は性にあっていました。
今、パンの使い方として多い、パン内の水分が氷っている冷凍保存のパンを焼くのは得意です。こちらは、より美味しく焼けます。わざと冷凍させてから食べるのもありです。
siroca プレミアムオーブントースター すばやき
万能のスチームオーブン、タイガーの『KAX-X130 やきたて』
バルミューダが小型オーブンに「水」を持ち込んだわけですが、今の小型のオーブンは凄く進化しています。
まず、庫内に風を送り、庫内温度を隅々まで一定にする「コンベクション(対流型)オーブン」。それにスチーム機能を加えた「スチームコンベクションオーブン」。あえて「道具」と表現させてもらった『すばやき』もコンベクションオーブンです。
小型調理器具と火力に一家言持つタイガー魔法瓶が、最高のシリーズ「GRANDX(グランエックス)」に採用したオーブンには「スチームコンベクションオーブン」でした。
『KAX-X やきたて』(以下『やきたて』)の便利なところは、豊富なプログラムです。
しかもパンの場合は、操作パネルに詳しく記載されていて「食パンの枚数」、焼き方(「スチームあり」「スチームなし」「冷凍から」)、そして「焼き色」を選び、スイッチを入れるとその通り焼けてしまいます。
自動だとかなりマイルドに焼けます。満足できない人は、マニュアルで焼いて、自分の好みを見つけてください。ちなみにこちらも上ヒーターはカーボン系。火力にこだわるタイガーらしいチョイスです。
また料理プログラムも豊富で、天麩羅・フライ系の温め機能もありますので、トースターだけでなくいろいろなシーンで使えます。
今回、テストしてみて、加湿機能の有無に関わらず、食材の湿度がとても重要であることが分かります。パン焼きは、温度と湿度、双方のコントロールがポイントなのです。
タイガー魔法瓶 スチームコンベクションオーブン KAX-X130WF
よりパンを美味しく食べるには
パンを美味しく食べることを追求していくこと、「パン自体が美味しくないとね」ということになります。しかし、近くに石窯で焼くパン屋さんがあるならともかく、多くの人はスーパーで買い求めているのではないでしょうか?
スーパーにおいてあるメーカーの食パンは多くの場合、「増粘剤」「保存剤」などが入っており、「小麦の味がする!」などと書いてあっても、あまり美味しくはありません。
お勧めなのは、ホームベーカリーで自分で焼いちゃうことです。ほぼ、4時間で1斤焼きますので、土日に焼いて冷凍しておくもよし、タイマーで焼きたてを食べるもよしです。
美味しいパンライフの始まりです。
多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。
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