Crosszoneは、ボーカル音像が目の前に浮かび上がる独自の「頭外定位」を可能にして大きな話題となった。今回テストしたのは、その2号機「CZ-10」。1号機に比べ小型・軽量・低価格化を実現。筆者は、ボーカル曲、クラシック、ジャズを臨場感豊かに楽しんだ。またテレビの音(映画やドラマ)にもぜひおすすめだ。
今回のテストアイテムはこちらクロスゾーンCrosszone CZ-10
実売価格例:9万7200円
●プロフィール
独自の「頭外定位」を実現し注目を集めたヘッドホン、CZ-1の弟機。音質や独特の装着感はそのままに、小型・軽量化を果たした。ハウジングやヘッドバンドは樹脂製だが、表面のシボ加工により、質感に優れた仕上がりだ。
SPEC
●型式/密閉型ダイナミック●再生周波数帯域/20Hz〜40kHz●インピーダンス/75Ω●出力音圧レベル/99dB●重量/385g●付属ヘッドホンケーブル/1.5m(3.5mm径プラグ)、3.5m(6.3mm径プラグ)
■ハウジング内には三つのドライバーを内蔵
■フィット感にこだわった構造を採用
低価格化を実現した「頭外定位」 の2号機
ボーカル音像が目の前に浮かび上がる「頭外定位」を実現し、大きな話題となったCrosszone。本機は、その2号機である。より多くの人が使いやすいように低価格化を実現したが、ベリリウムコーティングを施したドライバーを左右で計6個内蔵するなど、1号機と同等の音質を維持している。
「頭外定位」は、”音質のいい部屋での再生音”をヘッドホンで実現するもので、右耳にはメインの右側の音だけでなく、左側からの反射音なども再生される仕組みだ。部屋の反射音を再現するために、ハウジング内部には複数のダクトを装備し、心地いい響きに仕上げられている。
クラシックは、ホールで演奏を聴いているよう
まず、ボーカル曲を聴いてみると、目の前にボーカルがみごとに定位する。一般的なヘッドホンのような頭の中に定位する感じ(頭内定位)がなく、より自然な感触だ。音場の広がりも豊かで、音に包まれているような感覚は、ヘッドホン再生というよりも、スピーカー再生に近い。
反射音を再現するため、多少、響きが付加されているのだが、聴き比べてわかる程度のごくわずかなもの。しばらく聴いていると、とても自然な聴こえ方に感じてくる。
クラシックなどは、コンサートホールで演奏を聴いているようだし、細かな音までつぶさに描き出され、情報量の豊かさと音場の広さがみごとに両立している。
ジャズでは、熱気あふれる演奏を、ごく間近で聴いているようで、リアルな感触の音も聴こえてきて、実に楽しい。よりライブ感のある音を目指した勢いのある低音再現は、ノリのいいグルーブ感がよく伝わってくる。
一般的なヘッドホンの聴こえ方が気になっているという人に、ぜひおすすめしたい。
おすすめ度…A
ボーカルが目の前でみごとに定位。 スピーカー再生に近い独特の音場感
ココが〇
音が目の前から出ている感覚は、テレビの音を聴く場合にもよく合う。映画やドラマも音場の広さがあり、臨場感豊かに楽しめた。
ココが×
部屋の反射音を再現しているせいか、特殊な録音や音の加工を多用した楽曲は、音の響きが強調ぎみになる。すなおな録音の曲が合う。
※文中の「オススメ度」は、「A+」から「C-」までの9段階評価になっています。
※価格は記事作成時のものです。
解説/鳥居一豊 (AVライター)