パナソニックのミニコンポ「SC-PMX90」は、独自のフルデジタルアンプ「LincsD-AmpIII(リンクス アンプ スリー)」を搭載。USBメモリーからのファイル再生やUSB DAC(ダック)機能を装備したハイレゾにも対応。ブルートゥース接続可能。テストしてみて、この価格からは想像を超える音質で、フルデジタルアンプのメリットを感じた。
今回のテストアイテムはこちらパナソニック「SC-PMX90」
実売価格例:4万910円
●プロフィール
パナソニック独自のフルデジタルアンプ「LincsD-AmpIII」を搭載し、USBメモリーからのファイル再生やUSB DAC機能を装備したハイレゾ対応ミニコンポだ。ブルートゥース接続機能も搭載している。
SPEC
●実用最大出力/60W+60W●音声入力端子/アナログRCA×1、光デジタル×1、USB B×1ほか●再生メディア/CD(音楽CD、MP3)、USB:MP3/AAC(48kHz/16bit)、FLAC/WAV/AIFF(192kHz/24bit)、DSD(2.8MHz)、PC:LPCM(192kHz/24bit)、DSD(2.8MHz)●スピーカー型式/3ウエイ・バスレフ、14mmウーハー、1.9mmツイーター、1.5mmスーパーツイーター●サイズ/本体部:幅211mm×高さ114mm×奥行き267mm、スピーカー部:幅161mm×高さ238mm×奥行き262mm●合計重量/8.0kg
ネットワーク機能はないがUSB再生に対応
ミニコンポもハイレゾ対応が当たり前になったが、本機の音質は、その価格帯から想像するクオリティをはるかに超えている。
その根幹となるのが、独自のフルデジタルアンプ、LincsD-AmpIIIだ。
こうしたICチップの開発には莫大な費用がかかるものだが、同社は高級オーディオからホームシアター関連まで製品が豊富で、生産数も多いため償却が可能。
つまり、大手ブランドならではの量産効果が、ユーザーメリットとして反映されているわけだ。
上位機のPMX150との大きな違いは、Wi-Fi機能が省略されていること。
音質面では同等なので、ネットワーク再生機能を利用しないなら、シンプルで価格も手ごろな本機が買い得といえる。
なお、スピーカーは、独自の「竹炭PPウーハー」と「ピエゾ&シルクドーム」ツイーターという力作だ。
■パソコンと接続してハイレゾ再生
■使いやすいリモコン
ハイレゾでは柔らかな空気感まで再現
ハイレゾ再生は、本体前面の端子にUSBメモリーを接続することで可能なほか、USB DAC機能も搭載し、背面のUSBタイプB端子にパソコンを接続すれば、PCオーディオも楽しむことができる。
同社のウエブサイトからは、USBドライバーだけでなく、ハイレゾ再生アプリも無料でダウンロードして利用できるので、手軽に始めたい入門者にもピッタリだ。
ハイレゾ再生は、ふんわりと柔らかな空気感まで再現。フルデジタルアンプは余計なD/A、A/D変換がなく、アンプも低歪みで、音源に含まれる情報をハイレベルで引き出している。
フォーカスがよく、肉厚なボーカルも聴きどころ。
音量を上げすぎると低域が曖昧になる傾向があるが、常識的な音量では価格帯を超える音質。
“ハイファイオーディオ”といっても過言ではないレベルだ。
おすすめ度…A+
独自のフルデジタルアンプ採用。価格帯を超える音のクオリティを実現
ここが〇
USB DAC機能内蔵でハイレゾ再生音質も極めて良好。この価格からは想像を超える音質で、フルデジタルアンプのメリットを感じる。
ココが×
電源投入から音が出るようになるまで、約6秒かかる。PCオーディオでは待てるが、CDやラジオはもっと軽快に楽しみたい。
※文中の「オススメ度」は、「A+」から「C-」までの9段階評価になっています。
※価格は記事作成時のものです。
解説/鴻池賢三 (AV評論家)