コロナ禍で売り上げを伸ばした家電の一つに「冷蔵庫」があります。その中で「冷凍室」の大きさへのニーズが高まりました。しかし冷凍室だけの容量を大きくすることは難しく、どのメーカーの冷蔵庫も横並び状態。しかし、日立とシャープは冷凍室の容量が大きな冷蔵庫を出しました。この2社はどんな技術を使ったのでしょうか。

2020年はどんな冷蔵庫が売れ筋?

自炊の増加で「冷凍室の大きさ」に注目

今回のコロナ禍で売れた家電の一つにあげられるのが冷蔵庫。

そんな中、注目されたのニーズの一つが冷凍庫の大きさです。

大都市圏で当たり前だった外食がNGとなったため、自宅での自炊が多くなったためです。その際、自宅の冷凍室がもっと大きければ…と言う要望がちらほら見受けられたのです。

そもそも、冷凍庫の大きさは買う時に常に取り沙汰される要素の一つ。特にお弁当など、冷凍食品、作り置きを多用する子どものいるご家庭では、すこぶる重要です。

しかし、「冷凍室」は、冷蔵庫の5室の内の1つ。冷凍室だけ容量を大きくするのは、結構勇気が必要です。ここを大きくすると割りを食うのは「野菜室」なのですが、こちらもある程度以上大きくないといけない。例えば、小さな野菜室では大根丸ごと、キャベツ丸ごとのような「丸ごと」が入らないのです。
カットして保存すると傷みは早いわけで、よくない。傷む前に、下ごしらえをして入れたらいいのですが、いつもいつも時間に十分な余裕があるわけでもない現代人は、困ってしまいます。

画像: 自炊の増加で「冷凍室の大きさ」に注目

他に注目されたのが「冷凍室の位置」。野菜室、冷凍室、どちらが上の方が良いのかも、ケース・バイ・ケースで変わってきます。一番使い易いと言われている冷蔵庫は、レイアウトが自在に組めるものですが、今年のユーザーはただレイアウトを変えることだけに関心を持っている訳ではありません。

冷凍室の大きさが抜きんでたシャープと日立

冷凍室の一般的な大きさは

各メーカーが大いに力を入れているフラッグシップモデルは総容量が大体500〜600L。総容量600Lの冷蔵庫の一般的な冷凍室の容量は100〜110L。ほとんどがこの中に入ります。

ところが、シャープ「SJ-AF50G」(502L)、日立「R-KX57N」(567L)は、他より大きな冷凍室を持ちます。シャープは129Lのメガフリーザーを持ち、日立は最大204Lの冷凍室を持ちます。この数字は「製氷室」「急速冷凍室」を含まないデータです。メーカーの「最大冷凍容量」は、この2つを加えたものですから、これに50L強プラスになります。

この2社はどんな技術を使ったのでしょうか?

画像: シャープ「SJ-AF50G」 jp.sharp

シャープ「SJ-AF50G」

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画像: 日立「R-KX57N」 kadenfan.hitachi.co.jp

日立「R-KX57N」

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冷凍室の大きさを商品の目玉にした「シャープ」

冷蔵庫は、総合家電メーカーの稼ぎ頭です。パナソニック、三菱、日立、東芝など、各メーカーがとても力を入れている分野です。

しかしシャープは、そうではありません。自社が強い分野と弱い分野がはっきりと分かれており、総合家電メーカーというにはちょっと厳しい場合も多いです。シャープが白物家電で確実に成功しているものをあげれば、空気清浄機(プラズマクラスター)、過熱水蒸気を使った電子レンジ(ヘルシオ)、そして電気鍋(ホットクック)というレベルです。他のは、まだ十分に芽を出しきれていない状態です。

このため、シャープは各商品に、一言で言える特徴を持たせるようにしています。
冷蔵庫についていえば、他社より20L近く大きい冷凍室を持たせました。名づけて「メガフリーザー」。

画像1: jp.sharp
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フリーザーを大きくし、外寸を他社に合わせるためにシャープがとった手段は、レイアウト変更です。通常は、製氷室と急速冷凍室が横に配置され、その下に野菜室があるのですが、シャープは製氷室と急速冷凍室を縦に配置し、その隣に野菜室を設けました。狭いながらも、縦長の大根、ごぼうのような野菜も切らずに入れることができます。

野菜が傷みそうになったら、さっさと下ごしらえなどするなりして、この大きな冷凍室でフリージングして保存すれば、傷みすぎて捨てるということを防ぐことができますので、合理的。

画像2: jp.sharp
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シャープの冷蔵庫は、それ以外にも特徴があります。それは、臭い消しにプラズマクラスターを使えるということ。そして、フレンチドアでない場合は、「どっちでもドア」仕様になっていることです。どっちでもドアが本量を発揮するのは、引っ越し時ですね。間取りの関係で、今までと、逆の方向から開けなければならないことがあります。場合によっては買い替えですが、シャープの場合は不要です。どちらからでもドアを開けることができるので、すこぶる便利なのです。

また、現在はAIoT(AI+IoT。シャープの造語)にも力を入れています。

注目すべき技術満載!明日の定番を狙う「日立」

今、冷蔵庫で一番新しい提案をしているのは、日立でしょう。

2018年に、ほぼ半分の厚みで今までと同じ効果を発揮する断熱材を日本メーカーは取り入れました。そのため、ここで技術的には、どこもほぼ横一線。以降、その次の基本になるべき技術は何かを模索しています。

日立は、冷蔵庫の使い勝手を良くするために、次の2つにトライしています。1つは、レイアウトフリーを可能にする「ぴったりセレクト」。これはよく話題になる「野菜室は上か、下か」ということに対して、どちらでも可能です、という技術。

画像: kadenfan.hitachi.co.jp
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またもう一つは「まるごとチルド」。こちらは冷蔵室全体を「うるおいチルド」にしました。これは実に便利。なんたって冷蔵室は、どこもラップが不要です。

ラップは、レジ袋と違い、再利用はほどできません。使用後は、捨てるしかないプラゴミと化します。それを使わずに済むというのは、環境にも優しいのですが、思いついたら突っ込むだけで済むので、素晴らしく使い勝手がいいです。

ところで、うるおいチルドは野菜に優しい技術なので、野菜室に使われますが、日立の冷蔵庫は、冷蔵庫全体がうるおいチルドなので、野菜室を冷凍室に変えても、冷蔵室で野菜を十分冷蔵できます。つまり、他のメーカーが1室なのですが、日立は2室丸ごと冷凍庫にすることができるのです。これが200Lオーバーの冷凍室を持てる理由です。550Lの巨大容量を自在に使える。それが日立の冷蔵庫なのです。

まとめ

日本標準サイズの罪

日本は右ならえ主義的なところがあります。それは、外寸、レイアウト他によく現れています。600Lの場合、フレンチドアの6ドアが一般的。幅は685mm。実は、シャープ、日立以外のモデルは、野菜室、上下の違いはあるといえ、使い勝手という眼で見ると大きな差はありません。逆にその整然とした作りに目を見張ると思います。

しかし、それはある意味、キッチンに自由度を持たせなかった日本建築の欠点でもあります。今、どんなキッチンがいいかと質問すると、ほとんどの人はアイランドキッチンをあげます。これが意味するのは、仕事しやすい広いスペースです。しかし日本は元々狭いキッチンに、これでもかというほど調理道具、家電を詰め込みます。そのため必要な道具、家電のスペースも狭くなっています。冷蔵庫もその例に漏れません。600Lの冷蔵庫は、奥行きの方が幅(685mm)より大きいことが多い。奥のものは取りづらいなど、使い勝手からいうとマイナスです。

今回、冷凍庫のサイズということで紹介しましたが、冷蔵庫の最終スタイルは「標準スタイルからの脱却」かもしれません。まだまだ冷蔵庫の進化は続きそうです。

◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーを繋ぐ商品企画コンサルティング「ポップアップ・プランニング・オフィス」代表。米・食味鑑定士の資格を所有。大手メーカーでオーディオ・ビデオ関連の開発に携わる。趣味は東京散歩とラーメンの食べ歩き。

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