ホンダ初のEV「Honda e」のボディサイズは、全長3895ミリ×全幅1750ミリ×全高1510ミリと、フィット並みのコンパクトサイズを実現した。「OK、ホンダ」と呼びかけて情報が得られる「Hondaパーソナルアシスタ」や、スマホがクルマのキー代わりになるなど未来を感じさせるアイテムも充実。
五つのスクリーンを配置。スマホがクルマのキーになるホンダ初のEV
ホンダは、2030年にグローバル販売台数の2/3を電動化することを目標にしているが、その象徴となるのが、同社初の量産EVモデル「Honda e」である。
ホンダ
Honda e
価格:451万円(タイプ:Honda e)
シャープな最新のホンダ車とは真逆で、最新のEVなのにどこかレトロな雰囲気を持ったデザイン。随所に円を基調にした親しみやすさが備わる。社内では親しみを込めて「つるピカデザイン」と呼んでいるそうだ。ボディカラーは写真のモダンスティール・メタリックほか全7色。
ボディサイズは、市販EVの多くが巨大サイズの中、全長3895ミリ×全幅1750ミリ×全高151
0ミリと、同社のフィット並みのコンパクトサイズを実現。内外装は独創的なデザインが魅力的。
また、「OK、ホンダ」と呼びかけて情報が得られる「Hondaパーソナルアシスタ」や、スマホがクルマのキーとして使える機能など、未来を感じさせるアイテムも充実している。
左右はモニターで確認するサイドカメラミラー
パワートレインは、最大トルク315ニュートンメートルを発揮するモーターをリアに搭載し、後輪を駆動する(RR駆動)。駆動用バッテリーの容量は35.5キロワットと、現在発売中のEVの中では少なめで、フル充電での航続距離は283キロ(WLTCモード)だ。
RR駆動の採用で、最小回転半径は4.3メートルと、軽自動車以上に取り回しがいい。さらに、前後オーバーハングの短いパッケージングや、前後輪の間の床下に搭載されるバッテリーによる低重心化、前後重量配分の最適化なども相まって、見た目に似合わず、下手なスポーツカー顔負けの走りを実現する。
このように、他社とは違う「ホンダらしさ」が凝縮された一台だが、航続距離の少なさが気になる人も多いはず。これに関して同社では、バッテリー先行ではなく、「本当にユーザーに必要なEVは何か?」を考えた提案だという。EVの呪縛(=航続距離)から逃れたことで、新たな魅力を手に入れたといっていいだろう。2020年10月30日の発売を前に、第1期の販売予定台数に達したことが発表された。同社の挑戦に注目したい。
※価格は記事作成時のものです。
文/山本シンヤ(自動車研究家)