「そろそろ、ロボット掃除機が欲しい」と思っている人は多いでしょう。掃除はロボットに任せて、家族と過ごす時間や趣味の時間、あるいは仕事の時間を増やせたらいいいですね。しかし、意外に値段が高いので、購入に踏み切れない人が少なくないようです。そこで今回は、ロボット掃除機の現状と、おすすめの機種を紹介します。
ロボット掃除機の代名詞、ルンバ。
ロボット掃除機といえば、まず思い浮かぶのがルンバ(Roomba)。作っているのはアイロボット(iRobot)というアメリカの会社ですが、メーカー名は知らなくてもルンバという製品名を知っている人は多いのではないでしょうか。
実際、日本で売れているロボット掃除機のうち、およそ3台のうち2台がルンバです。台数シェアでいうと60%台です。といっても、ルンバにも種類があります。今回は、そのうちの2機種を、おすすめ1位と2位に選びました。
ルンバの良いところは、比較的低価格な機種から10万円越えの高額モデルまでラインナップが充実していること。予算に合わせて選ぶことができます。
ルンバを選ぶメリットは、それだけでありません。ルンバは掃除機ですが、その前にロボットなのです。使用目的は掃除でも、本体の中にスマホやパソコンのようにCPUやメモリー、赤外線センサーなどが入っていて、ソフトウェアで動きます。そして、そのソフトウェアが着実に進化しているのがルンバの強みです。
掃除をしながら室内の状況を把握して地図をつくり、効率のいいルートを自分で決めていきます(一部機種を除く)。そして、スマホと連携することで掃除する範囲を設定したり、スケジュールを組んだり、上位機種だと、拭き掃除ロボットのブラーバと連係することもできます。
また、バーチャルウォールと呼ばれる小さな機器を使って進入禁止エリアをつくることも可能。小さな子の遊び場やペットのトイレ、鉢植えなどにルンバが近づかないようにすることができます。
一方、ルンバを使うにあたって気をつけたいのが、意外に力が強いこと。何かにぶつかると察知して方向を変えるのですが、軽いものだと押して行ってしまうことがあります。特に、電気ストーブのコードなどを引っ張られないように気をつけてください。
日本の代表、パナソニックのルーロ。
ルンバに続いて、2番目に売れているのがパナソニックのルーロです。こちらも数種類の製品がありますが、ルンバよりは少なめです。販売台数は、ザックリ言って4台に1台くらい。台数シェアでいうと20%台です。
とはいえ、ルンバとルーロを合わせると約9割で、この2機種の寡占状態となっています。
ルーロを選ぶコツは、個人的には「最上位機種を狙え」だと思っています。というのも、ルーロのカタログ(特にスペック面)を見ると、中位モデルや低価格モデルは、機能的に見劣りするように感じます。とはいえ、最上位モデルだと、かなり予算が上がるのが辛いところですね。
販売台数シェアの残り約10%の中に、ルンバとルーロ以外の製品が含まれます。一応、第3位として数字に表れるのは日立のミニマルくらいです。
以上を踏まえて、おすすめ5選とプラス2機種を紹介していきます。
おすすめロボット掃除機【1位】
アイロボット
ルンバ e5
最初の1台に最適、コスパが高い人気モデル。
ロボット掃除機が欲しいけど「どれを選んでいいか分からない」という人に、まずお勧めなのが、このルンバe5です。
約5万円とロボット掃除機の中では比較的お求めやすい価格ながら、掃除能力は十分、Wi-Fiやスマホアプリ、スマートスピーカーにも対応しています。また、ダストカップを水洗いできるのも人気ポイントのひとつです。
まずは、このe5を使ってみて、ロボット掃除機の良さを実感したら、次にi7のような上位モデルにステップアップするといいでしょう。ロボット掃除機は良いけどルンバじゃないと感じたら、ルーロなど他社機に乗り換えるのもありかと思います。
なお、e5の場合、掃除の途中でバッテリー残量が減ると充電ドックに戻りますが、再スタートはしません。また、ブラーバm6との連携もできません。こうした機能は、上位機種で実現されています。
ルンバ e5
e515060
おすすめロボット掃除機【2位】
アイロボット
ルンバ i7+
ロボット掃除機の進化系、掃除の手間を極限まで減らそう!
ロボット掃除機は便利ですが、掃除のあとダストカップに溜まったゴミは人が捨てる必要があります。ダストカップが小さいので、使用後に毎回捨てるのが基本です。
この問題を解決したのが、ルンバi7+(プラス)です。掃除が終わると、ゴミを自動ゴミ収集器に吸い上げます。収集器の中には紙パックがあって、約30回分のゴミを貯めることができます。つまり、毎日掃除しても月に1回、紙パックを交換するだけでいいのです。
ロボット掃除機としての性能は、e5の機能をすべて搭載した上で吸引力が2倍、そして充電後の再スタートやブラーバとの連係にも対応しています。
なお、e5より高性能な機種がほしいけど自動ゴミ収集器は不要という場合は、i7を選ぶといいでしょう。
ルンバ i7+
i755060
おすすめロボット掃除機【3位】
パナソニック
ルーロ MC-RSF1000
ルーロの最上位モデルは、ルンバに対抗できる日本代表。
「やはり家電は日本製がいい」という人の受け皿になっているのがパナソニックのルーロです。MC-RSF1000は、ルーロの最上位モデルになります。三角形で両側に回転ブラシがあるスタイルもお馴染みですね。
家の間取りを把握して効率を上げていく賢さはルンバの上位機種と同じ、掃除のエリアを指定することもできます。加えて、微細なハウスダストまで検知するクリーンセンサーなど一般の掃除機で人気の機能も搭載しています。
また、最大2.5cmの段差を乗り越えるアクティブリフト、おもちゃや服も感知して避けるセンサー性能など日本の家庭に合わせた、きめ細かな作り込みが感じられます。
ゴミを取るブラシも、ルンバがゴム製なのに対してルーロは一般的な掃除機タイプ。日本の床事情に合っています。ただし、このタイプは髪の毛などが絡みやすいので使用後の掃除が必要です。
ルーロ
MC-RSF1000
おすすめロボット掃除機【4位】
日立
ミニマル RV-EX20
かわいさが人気、小さなロボット掃除機が欲しい人に。
ロボット掃除機を検討するとき、「小さいのがいい」という人も少なくありません。確かに、日本では物が多い家が多いですし、狭いところまで掃除してほしいですよね。
小さい機種を希望する方が、よく検討されているのが日立のミニマルです。ルンバやルーロの幅が約33~35cmなのに対して、ミニマルRV-EX20は約25cmです。
日立は掃除機メーカーとしても人気があって、掃除の基本能力はある方だと思います。Wi-Fiやスマホアプリにも対応していて、スケジュール予約も可能です。掃除モードを選ぶこともできます。
ただし、ルンバやルーロの上位機種のように部屋の形を学習したり、部屋を指定して掃除したり、途中でバッテリーが減ったら充電して掃除を再開するといった機能はありません。
基本は、物にぶつかったら向きを変えて進むというランダム走行なので、掃除に時間がかかります。また、途中で止まったり充電器に戻っていても、掃除が完了しているのか途中なのか分かりません。
ロボット掃除機はロボット+掃除機で、ロボットとしての賢さが大事です。ミニマルは、掃除機としては良いと思うのですが、ロボットの性能が高まると、さらにお勧めしやすいという思いがあって4位です。
ミニマル
RV-EX20
おすすめロボット掃除機【5位】
パナソニック
ルーロミニ MC-RSC10 W
小さくて安い製品を希望なら、これを検討。
小さい機種を希望する方に、もうひとつの選択肢となるのがルーロミニMC-RSC10 Wです。この機種も、幅が約25cmとミニマルとほぼ同じサイズです。
ルーロミニもルーロの仲間ですが、上位機種に搭載されている障害物を検知する360°センサーやスマホとの連係機能はありません。そのため、部屋の形を覚えたり、掃除する部屋を指定するといったことはできません。
掃除の動きは、物にぶつかったら向きを変えて進むランダム走行が中心です。ただ、ラウンド走行やスパイラル走行という方式を組み合わせて掃除の精度を上げる工夫がされています。対応できる部屋は約20畳までで、ダストカップの容量が上位機種より小さくなっています。
この機種が5位なのは、ミニマルと同じ理由です。ロボットとしての賢さが高まれば、よりお勧めしやすい製品になると思います。ただ、値段が安いので予算を抑えたい人には、ひとつの選択肢になると思います。
ルーロミニ
MC-RSC10
おすすめロボット掃除機【番外編(1)】
エレクトロラックス
PUREi9.2 PI92-6DGM
ヨーロッパ生まれの高性能ロボット掃除機。
エレクトロラックスは、ヨーロッパの大手家電メーカーです。日本では、独特の形をしたコードレス掃除機で知られていますが、他にも多くの家電製品を作っています。そのエレクトロラックスのロボット掃除機がPUREi9.2(ピュア・アイ・ナイン2)です。
機能や性能について詳細は省きますが、ザックリ言ってルンバやルーロの上位機種に匹敵する製品です。ただ、日本ではエレクトロラックスの知名度が低いためか、販売台数は伸び悩んでいるようです。当初は10万円を越えていたのですが、だいぶ価格がこなれてきました。予算を抑えながら高機能モデルが欲しいという人は検討してみるといいでしょう。
輸入車を買うとき敢えてドイツ車を避ける、北欧スタイルの家や家具が好きといった感性の人に向いているかもしれません。
PUREi9.2
PI92-6DGM
おすすめロボット掃除機【番外編(2)】
ダイソン
360 ヒューリスト RB02
掃除機メーカーが作った吸引力が高くて賢いロボット。
掃除機といえばダイソン。ロボット掃除機の知名度はイマイチですが、実はダイソンもロボット掃除機を作っています。
特徴は、まず小さいこと。日立のミニマルやパナソニックのルーロミニの幅が約25cmなのに対して、ダイソンのRB02は約23cm。ただし、高さが約12cmあって、これはロボット掃除機の中で最も高い方です。
次に、吸引力が高いこと。ダイソンは、他社機の4倍の吸引力があるといっています。さらに、ブラシの幅が本体と同じなので壁際までしっかりゴミを取ることができます。ルンバやルーロは本体の幅よりブラシの幅が狭いので、これを補うために回転ブラシがついています。一方、ダイソン360ヒューリストは回転ブラシが不要な設計になっています。
そして、賢いこと。特にセンサーが優秀で、ルンバだと押して行ってしまうような障害物も回避できます。スマホアプリにも対応していて、スケジュール設定も可能です。
残念なのは、現在のダイソンクリーナーの標準となっているフラフィヘッドではなくブラシ型のヘッドが採用されていること。ルーロやミニマルと同じように髪の毛などがからむので、その掃除が必要です。
とはいえ、普通のロボット掃除では吸引力がもの足りない人、あるいはダイソンの掃除機を使っている人は検討する価値があると思います
360 ヒューリスト
RB02BN
まとめ
どうでしょう、あなたが欲しいロボット掃除機が見えてきましたか?
最後に、売り場でよく聞かれる質問に答えておきたいと思います。まずは、「ほんとに役に立つの? きれいになるの?」というもの。
掃除の頻度や清潔感は、個人差が大きいものです。なかには、本当に細かなところまで徹底的に掃除したい人もいます。また、アレルギーなどがあって、目に見えない(見えにくい)花粉やアレルギー原因物質をしっかり取り除きたい人もいます。
そういった人は、ロボット掃除機だけで満足していただくのは難しいかと思います。しかし、売り場の肌感覚では多くの人に納得していただけているように思います。
ただ、ロボット掃除機に任せきりというのは難しいでしょう。部屋の隅など、どうしてもゴミや埃を取りきれない場所が出てきます。そのために回転ブラシが付いているわけですが、実は黒い板の上に白い粉を撒いて試してみると、取り残しが出る機種が少なくありません。
また、ロボット掃除機が入れない狭い場所、たとえば家具と家具の隙間などは掃除できません。埃が溜まる一方です。また、ルンバはゴム製のブラシを採用しているため、フローリング(木の床)の目地に溜まった埃が取れにくいという声もあります。
そのため、手軽に使えるスティック型の掃除機を用意しておいて、メインの掃除はロボットに任せ、細かな場所や取り残しはスティック型で補うのがベストじゃないかと思います。
それと、「うちは物が多いから使えない」という人がいますが、逆に「ロボット掃除機を使い始めたら、物を床に置かなくなった」という声もあります。実践できるか否かはお客様しだいですが、ロボット掃除機を使うために家の中が片付くなら、それは良いことですね。
解説/高山とほ(プロダクトライター)
約5年に渡って家電量販店の店頭に立ち、いろいろなお客様に対応した経験から「それぞれのお客様にとって最適な製品を選ぶポイントを的確に伝える」ことをモットーにしているモノ派のライター。学生時代に工業デザインを学び、日本製家電の黄金期に郷愁を感じる世代。アウトドアを好み、道具にはこだわるほう。