電音部とは、バンダイナムコエンターテインメントによる、ダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト。人気DJ・作曲家がそれぞれのキャラクターに楽曲を提供していることもあり、音楽マニアたちの間で話題沸騰中。また、秋葉原、原宿、麻布、渋谷の街をイメージしたキャラクターも魅力的です。シブヤエリアのキャラはにじさんじの人気VtuberがCVを担当して注目されています。この記事では、そんな今話題の「電音部」の魅力に迫ります。
電音部とは
電音部とは、バンダイナムコエンターテインメントによる、ダンスミュージックをテーマにした音楽原作キャラクタープロジェクト。人気DJ・作曲家がそれぞれのキャラクターに楽曲を提供していることもあり、音楽マニアたちの間で話題になっています。
音楽原作キャラクタープロジェクトとは
そもそも「原作キャラクタープロジェクト」って何?と疑問に思う方も多そうですね。音楽原作キャラクタープロジェクトとは、漫画や小説が原作のアニメ・映画…とは異なり、まず最初にキャラクターとそのキャラクターが歌う楽曲が原作としてあり、物語や他の楽曲、コラボなどさまざまな活動に展開していくプロジェクトのことです。
近いところだと、最近人気沸騰中の「ヒプノシスマイク」も同じくキャラクターと楽曲が原作のプロジェクトとなっています。また、ヒプノシスマイクは、池袋や渋谷、横浜、新宿などの東京各のエリアに別れてキャラクターたちがラップバトルをするというコンセプトですが、電音部も秋葉原、原宿、渋谷、麻布とそれぞれのエリアの学校ごとにキャラクターがいるので、一部のファンの間では、電音部はヒプノシスマイクの女子版、という捉え方もあるようです。
世界観
電子音楽が世界のミュージックカルチャーの中心となった近未来。とある技術革新は、新たな世界の創造と共にスーパースターを生み出した。それこそが「DJ」─。
万人にとって身近なカルチャーとなった一方で、抜きんでたトッププレイヤーたちは人々の憧憬の対象となり、そして彼らのプレイ技術の研鑽は「STACK BATTLE」と呼ばれる競技型のショービジネスへと昇華された。その文化は高校生にも浸透し、「電音部」と呼ばれる部活動の隆盛となって現れる。若者たちの粗削りながら刹那の光を放つプレイもまた、人々を魅了するショーとして世界を熱狂させていく。
「自分の信じる音楽、そして仲間達こそがNo.1である。」己の矜持を証明するため、青春の全てをかける少女達の物語。
電音部の魅力は?
コンポーザー(作曲家)陣の本気度の高さ
ダンスミュージック原作のキャラクター、とあって、電音部に登場する全てのキャラクターにはそれぞれに楽曲が存在します。その楽曲のコンポーザー陣は、ダンスミュージックシーンで活躍中の超一流アーティストたちばかり!
Aiobahn、kz(livetune)、ケンモチヒデフミ、KOTONOHOUSE、PSYQUI、佐藤貴文(BNSI)、Shogo&早川博隆、周防パトラ、Snail’s House、TAKU INOUE、TEMPLIME、tofubeats、Nor、パソコン音楽クラブ、ミディ&瀬戸美夜子(にじさんじ)、Moe Shop、YUC’e、Yunomiなど、まさに錚々たるメンバー。よって、普段はアニメなどのキャラクターコンテンツを見ていない人も、この楽曲から電音部にハマるというパターンもあるようです。
エリアならではキャラクターが個性的
秋葉原や原宿、麻布、渋谷のエリアにある高校は、それぞれの街ならではの特色を反映しており、そこに通う生徒たちも個性的。アキバはオタクカルチャー、ハラジュクは「カワイイ」、アザブは「シティ・ガール」感、シブヤはクラブミュージックの本拠地としての貫禄があり、それぞれに良さがあって、どの学校推しになるかめちゃくちゃ悩んでしまいます。また、各エリアごとに声優を同じ事務所で統一し、より「チーム感」を重要視するというこだわりも。
それでは、そんな個性あふれる面々をエリアごとに見ていきましょう。
エリアごとに学校とキャラクターが設定
アキバエリア
外神田文芸高校
電子音楽の黎明期に活躍した文芸高校。パフォーマンスをメインとする現代の電音部を志望する者はほとんどいない。アキバエリアの文化に沿った独特のカリキュラムが特徴的。(電音部公式サイトより)
キャラ名は、左から東雲 和音(しののめ かずね)、日高 零奈(ひだか れいな)、茅野 ふたば(かやの ふたば)。
アキバエリアの特徴は、クラブミュージックとアニメ・アイドルソングの融合した楽曲と、それを反映させたキャラクターたち。ロボットアニメが大好きなセンターの日高零奈、ゲームプレイヤーであり可愛い女の子が大好きな東雲和音、マイクを持つと性格がガラリと変わるアイドルの茅野ふたばなど、「アキバ」感満載のメンツです。
アキバエリアの楽曲自体も、どれも街のカラーを反映していてめちゃくちゃクオリティが高いです。アニソン感あるチップチューンがクセになる日高零奈の「Favorite Days」、シャウトと巻き舌で熱気あふれる異質な空気感が楽しい茅野ふたばの「アイドル狂戦士」なども捨てがたいですが、私のイチオシ楽曲は、東雲和音の「Mani Mani」です。オタク色の強い他2曲とは異なり、ジャズ・ファンクの要素を取り入れた大人っぽい曲調。サックスソロが超おしゃれです。「クラブミュージック」に囚われすぎてない楽曲ラインナップがアキバエリアの魅力と言えるかもしれません。
Mani Mani (Prod. TAKU INOUE)
ハラジュクエリア
神宮前参道學園
帝音国際学院の分校として新設された學園。原宿エリアならではの独自性を打ち出すカリキュラムに基づく、サブカルチャーに特化した電音部への注目度は高い。(電音部公式サイトより)
キャラ名は、左から水上 雛(みなかみ ひな)、桜乃 美々兎(さくらの みみと)、犬吠埼 紫杏(いぬぼうさき しあん)。
神宮前参道は渋谷の帝音国際学院の分校、とあるようにハラジュクエリアはシブヤエリアとの明確な序列が設定されているのが特徴。センターの桜乃美々兎は実際に帝音を受験して落ちたという経験の持ち主で、彼女をはじめとするハラジュクの楽曲はシブヤに対するコンプレックスと対抗心が軸になっています。
ユニット曲の「Hyper Bass」でも帝音に落ちてハラジュクに来る受験生を「ほらほらまた来た傷だらけバンビ」などと表現しており皮肉が効いています。この曲もハラジュクエリアの「カワイイ」カルチャーと、内面にコンプレックスを併せ持った彼女たちを見事に表現していておすすめの1曲です。
そんなハラジュクですが、個人的には「もはやシブヤと同じ土俵で戦う必要はないのでは?」というくらい独自の可愛くてポップなカラーを感じます。特にインスト版がティザー曲にもなっている犬吠埼紫杏「good night baby」は間違いなくこのコンテンツ1番のキラーチューン。私自身もこの曲が一番好きです。この曲はフランス人コンポーザーの「Moe Shop」による楽曲なのですが、耳馴染みのいいメロディアスな旋律にキャッチーな歌詞でありながら、キャラのもつ「毒」を見事に融合させています。
good night baby (feat. Moe Shop)
アザブエリア
港白金女学院
国内最大の財閥「白金財閥」が設立した女学院。学院長を務める白金輝明は白金煌の父。トッププレイヤーの輩出に力を入れ、電音部に巨額の資金を投下している。(電音部公式サイトより)
キャラ名は、左から白金 煌(しろかね あき)、黒鉄 たま(くろがね たま)、灰島 銀華(はいじま ぎんか)。
学院長の娘である白金煌に、名家の娘の灰島銀華といういかにも「アザブっぽい」面々が並ぶ中、トッププレイヤーは白金家でメイドをしている黒鉄たまであるという、実力のパワーバランスが魅力的なアザブエリア。
白金煌の楽曲はtofubeats、灰島銀華はパソコン音楽クラブ、黒鉄たまはケンモチヒデフミ(水曜日のカンパネラ)が作曲しており、シティポップ好きなら知らない人はいない、あまりの本気すぎるコンポーザー陣に、初見時は恐れ慄きました。プロデューサーのコメントでも、アザブはシティポップ、80sスタイルを意識した楽曲がメインと明言されているので、他のエリアに比べて都会的で大人っぽいサウンドが特徴的です。
しかし、そのなかでも一際異彩を放っているのが、センターの黒鉄たまの「いただきバベル」。この曲の推しポイントは、トッププレイヤーのたまの実力が発揮されている高級感のあるサウンドでありながら、めちゃくちゃに「歌詞の治安が悪い」ところ。「同調圧力品行方正めんどくせえ音楽と金で解決すれば?」などパワーワードの連発です。初めて聴いたとき、「音楽と金で解決」という言葉があまりにも暴力的で思わず笑っちゃいました。CVの秋奈の可愛くて挑発的な声が見事にマッチしていてついつい何度も聴き返したくなるクセになる曲です。
いただきバベル (Prod. ケンモチヒデフミ)
シブヤエリア
帝音国際学院
設立から十数年の年月が経つ、シブヤエリアにある音楽に特化した名門国際学院。国内実績No.1を誇り、世界中から最新の音楽を学びに生徒が集まる超強豪校。(電音部公式サイトより)
キャラ名は、左から瀬戸 海月(せと みつき)、鳳凰 火凛(ほうおう かりん)、大賀 ルキア(たいが るきあ)。
4エリアのなかでまさしく「横綱」的ポジションのシブヤ。にじさんじの人気VtuberがCVを担当していることからも一躍話題になりました。そもそも電音部は声優だけでなく、アイドルなど多様なバックグラウンドを持つCVを起用しているのも特徴です。
何かと他エリアからも羨望のまなざしを向けられているシブヤですが、11月に満を持して音源がリリースされ、期待を裏切らない「ラスボス」ぶりを発揮してくれました。シブヤの楽曲は、鳳凰火凛の「Shining Lights」に代表されるように「ザ・クラブミュージック」といった王道ゴリゴリを行くのかと思いきや、瀬戸海月「ぺトリコールを渡って」のように、「最強」のシブヤメンバーの一員でありながらもトッププレイヤーの鳳凰に対するアンビバレントな感情を抱いているセンシティブな1曲もあり、「最強」のシブヤならではの彼女たちが見せてくれる様々な側面に心を奪われました。
個人的なイチオシ曲は「ペトリコールを渡って」なのですが、ここはあえて「最強」のシブヤを体現しているこちらの曲をご紹介します。
Shining Lights (feat. PSYQUI)
まとめ
キャラクター、楽曲ともに魅力あふれる「電音部」プロジェクト。まだまだ始まったばかりのプロジェクトなので、これからリリースされる楽曲がとても楽しみです。また、コロナが収束したらイベントやライブなど、活動の幅も広がっていきそうですね。今後の展開にも目が離せません!