【車のサブスク】トヨタのKINTO(キント)が新サービス「モビリティマーケット(モビマ)」を発表

サブスク

トヨタが展開するクルマのサブスクリプションサービス「KINTO(キント)」は、2021年1月20日、新たなサービスとしてオンラインプラットフォーム「モビリティマーケット(モビマ)」を、2021年4月より立ち上げると発表した。サービスは、KINTO以外のユーザーも利用でき、事前の2〜3月にはプレオープンのキャンペーンも開始する。

執筆者のプロフィール

会田 肇(あいだ・はじめ)

1956年茨城県生まれ。大学卒業後、自動車系出版社の勤務を経てフリージャーナリストとして独立。カーAVやカーナビなど、カーエレクトロニクスの分野を中心にレポート活動を展開しつつ、カメラ系の評論も行う。日本自動車ジャーナリスト協会会員。
▼日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ会員)
▼走りも楽しいエコカーの実力(イミダス)

モビリティマーケットの目的

「モビリティマーケット(モビマ)」は、「どこかに行く」というニーズに応えるため、今後、コロナ禍が落ち着いて移動が自由になる時に向けて「移動のよろこび」を感じてもらえるサービスを提供することを目的とする。その実現のために用意したカテゴリは、以下の5つ。それぞれにマッチしたアクティビティを用意する。

目的は「移動のよろこび」を感じてもらえるサービスとすること

クルマの利用だけでなく、クルマをもっと楽しむために展開。その目的は5つのカテゴリーに分けられた

【新しい生活の扉を開こう】
キャンピングカーを利用したワーケーションや、シェアサイクルで巡る旅、ドライブインシアターなど、ニューノーマル時代の新たな移動体験を提供。

【心踊るスペシャルな体験を】
海外でのKINTOブランドのカーシェアや、モータースポーツの観戦・体験、クルマでしか行けないようなローカルでの食事と体験など、クルマを使った非日常体験を提供。

【クルマ時間をとことん楽しもう】
カーコーティングや、レジャー時の駐車場予約、クルマの中で流す音楽やお出掛けを楽しくするカメラなど、快適なクルマ時間を演出するサービスを提供。

【もっと気持ちよく、軽やかに】
クルマ・電車・バス・船をはじめ複数の移動手段を組合わせたMaaSや、リムジンによる自宅から空港への送迎など、シームレスでストレスフリーな移動サービスを提供。

【やさしく移動を応援】
ドライビングレッスンや、移動する日をピンポイントでカバーする保険、クルマの中の除菌など、移動の安心安全をサポートするサービスを提供。

モビリティマーケットの対象者

これらの活用範囲は広く、キャンピングカーを利用したワーケーションや、車でしか行けないローカルでの食事体験、モータースポーツの観戦・体験などを想定。さらには、車・電車・バス・船などの複数の交通手段を組み合わせた「MaaSサービス」や、現地までクルマで出掛けてシェアサイクルで周辺を旅したり、ドライブインシアターに参加することも含まれる。また、コロナ禍が落ち着いた今後は、トヨタが海外16カ国で展開するカーシェアサービス「KINTO SHARE(キントシェア)」も利用できるようにする計画だという。

サービスは誰でも利用可。KINTO契約者には優待特典を提供

保険や自動車税、メンテナンスなどすべてを含めたKINTOに、「移動するよろこび」までもコミコミに

もちろん、こうした幅広いサービスを実現するには、トヨタだけで提供することはできない。そこで国内事業者と提携することを決め、現時点で20社が確定(後半資料参照)。さらに30社前後と協議中だという。この中には、JTBや近畿日本ツーリストなどの旅行会社も参加しているが、ここで提案するのは、一般的な旅行商品ではなく、KINTO向けに車移動を前提とした旅プランだ。他の提携先とも、そうしたKINTOに最適化したサービス内容になるよう各事業者と練り上げているという。

新サービス立ち上げで提携したのは20社。「今後は100、200と増やしていきたい」(小寺社長)

このサービスの利用は、日本国内に在住・滞在者なら誰でも対象となっているが、契約期間中1台を選ぶ「KINTO ONE(キントワン)」の契約者には3万円相当を、契約機期間中複数台を選ぶ「KINTO FLEX(キントフレックス)」の契約者には6万円相当の優待や様々な特典を付与する予定で、各サービスも優先利用もできるようになる。これにより、KINTOが単に「クルマに乗る」という楽しみ方だけでなく、「移動のよろこび」までもコミコミで提供するサービスとすることを目指す。

スタートアップキャンペーン

モビマを提供する狙いについて、KINTOの代表取締役社長の小寺信也氏は、「クルマの利用だけでなく、クルマをもっと楽しんでいただくことを目的に展開することにした。同様サービスはあちこちに点在しているが、ここでマーケットを開くことで、ここに来るだけで(それらに)アクセスできるようにしたい」と説明。そのために提携事業者も「現在は20社の参画が確定予定だが、さらに30社と協議中で、将来は100社、200社と増やしていきたい」(小寺社長)と、今後サービスの拡大に意欲を示した。

参加者の70%が満足

クルマのサブスク「KINTO」の新サービス「モビリティマーケット」について説明する小寺社長

また、このサービスに先行して2020年末に実施したスタートアップキャンペーンでは、キャンピングカーと車中泊スポットをセットにしたワーケーション体験や、シェアサイクルを組み合わせた旅行プラン、レンタカーとドライブシアターをセットにしたエンタメ体験など「移動の喜び」と題したキャンペーンを実施している。その結果、「参加者の満足度は70%を超えており、サービス展開への手応えを感じた」とも小寺社長は話した。

2021年2-3月にモビマのプレオープン・キャンペーンを実施。利用に弾みを付けたい考え

また、モビマへの出店料について、小寺社長は、「パートナー企業からいただく費用は必要最低限としていて、出店料で利益をあげることを目的にしてはいない。あくまでユーザーに対して様々なサービスを提供し、クルマで移動する楽しみを体験できるコンテンツを利用していただくことが第一の目標」と応えた。小寺社長は最後に「4月の正式なオープン前、2月~3月にプレオープンの体験キャンペーンも予定している」との紹介を行った。

申し込み者数の推移

これに先立ち、小寺社長はKINTOに関する2020年事業報告を行った。その概要は次のようなもの。

KINTOは31車種を用意。20年6月以降の契約数は月間1000件を超える

2019年3月のサービス開始以来、2020年12月までの累計で契約件数は1万2300件。特に契約数が増えたのは、車種の拡充や、認知度を高めるテレビCMなどを本格化させた2020年6月以降で、それ以降は毎月1000件を超える契約が順調に獲得できている。中でも小寺社長が「狙った通り」と表現したのが「クルマの購入経験がなく、Webに親しみのある」20~30代からの支持が全体の4割と高かったことだ。個人ユーザーも全体の8割を超える。KINTOでは諸経費がすべて利用料に含まれ、任意保険が高くなりがちな若年層にメリットがあること、ウェブで契約できる簡単さがメリットとして捉えられたものと思われる。

車種を充実させてCM展開を本格的に始めた20年6月より、毎月1000件を超える契約を獲得できている

保険代も込みとしたことで保険代が高額となる若い世代から支持され、Webでの申込みも全体の6割となった

小寺氏はこれまで「トヨタには車を楽しむサービスがない」ことに課題を感じていたという。そこで、KINTOが一定の評価を得たことで次なる目標に掲げたのがモビマというわけだ。小寺社長の説明からは、モビマを大きな収益源として成長させるよりも、KINTOを含むトヨタ車のユーザーに楽しんでもらえるサービスへと成長させたいと考えている様子が窺える。単にクルマだけにとどまらないサービスの提供が新たな需要創出へとつながっていくのかもしれない。

【菅田将暉】【二階堂ふみ】【矢本悠馬】KINTO presents クルマの話 (WEB限定)

www.youtube.com

資料:提携予定企業一覧

企業名(サービス名) 事業/サービス概要
株式会社NTTドコモ(kikito) スマートフォンと一緒にご利用いただけるさまざまなデバイスをレンタルして利用できるサービス
株式会社SPDホールディングス
(SPDスクール)
関東圏のペーパードライバー講習を専門に出張教習
株式会社オーシャンブルースマート
(PiPPA)
アプリ1つで自転車の貸し出し・返却・精算まで。街中のポートでどこでも借りられて、どこでも返せる駐輪代金不要の自転車移動のシェアサービス
Carstay株式会社(Carstay) 国内最大のキャンピングカーシェア・車中泊スポットの予約サービスを運営
キャンピングカー株式会社
(ジャパンキャンピングカーレンタルセンター)
キャンピングカーレンタル事業
KeePer技研株式会社
(EX KeePer/W DIA KeePer
/DIAMOND KeePer
/CRYSTAL KeePer)
カーコーティング・洗車用ケミカルと機器等の開発・製造・販売、カーコーティング技術認定店「キーパープロショップ」の展開、カーコーティング&洗車の専門店「キーパーLABO」の運営
株式会社JTB ツーリズム(トラベル・地域交流)、エリアソリューション(地域課題起点)・ビジネスソリューション(法人課題起点)を軸とした交流創造事業
scheme verge株式会社(Horai) MaaSアプリ「Horai」と地域事業者のDXを通じたデータ駆動型エリアマネジメント
株式会社SmartRyde(SmartRyde) 全世界150ヶ国で利用可能な空港送迎サービス「SmartRyde」の企画・開発・運営、時間貸し・周遊観光チャーターサービスの展開
株式会社テーブルクロス(byFood.com) インバウンド体験グルメメディア「byFood.com」の企画・運営、社会貢献ができるグルメアプリ「テーブルクロス」の運営
株式会社近畿日本ツーリスト中部
(近畿日本ツーリスト)
旅を通じて「感謝の気持ちを伝える」お手伝い。SDGs・ワーケーション・BCP・防災プログラム等を通じて企業及び行政との連携により課題解決をおこなう事業の展開
株式会社ハッチ(Do it Theater) まだ誰もみたことがないシアター体験のプロデュース、イベントやコミュニケーションのプランニング・制作・運営
富士スピードウェイ株式会社
(富士スピードウェイ)
自動車レースの企画・運営事業・イベント企画・運営事業・レンタル・プランニング事業・サーキットライセンス事業・スポーツ走行運営事業・マーケティング事業
ペーパードライバーサポート愛知
(ペーパードライバーサポート愛知)
ペーパードライバーを対象とした、交通安全と自動車の運転に関する各種講習
トヨタファイナンシャルサービス株式会社
(my route)
街のあらゆる移動手段を組み合わせてルート検索。予約からキャッシュレス決済までmy routeで完結。地元のお店や隠れた観光スポットも満載で、お出かけや寄り道もサポート
株式会社Mellow(Mellow) モビリティを活用した空地活用事業・店舗型モビリティの開業支援およびコンサルティング事業
ライフクリエイション株式会社
(さなげアドベンチャーフィールド)
ライトSUVからクロカン車まで幅広く楽しむことができるオフロードコースを運営
株式会社R-ISE
(ライズペーパードライバーズクラブ)
運転を楽しもう!ペーパードライバー向け講習、目指せ社会復帰!障がい者運転支援講習、運転寿命を延ばそう!高齢ドライバー講習
リンベル株式会社(RINGBELL) カタログギフト・雑貨・グルメ・デジタルギフトなどギフト全般、宿泊・食事・温泉などの体験ギフト
提携予定企業一覧

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