今回は腕時計のオーバーホールについてご紹介します。近年ではスマートウォッチなどが普及したことによって、腕時計に対する考え方や価値観も変化しつつあります。しかし、依然として趣味性の高い機械式腕時計も高い人気を誇ります。そんな昔ながらの腕時計を維持する上で欠かせないのがオーバーホールです。とはいえ、オーバーホールの必要性や頻度などがわからないという方も多いでしょう。そこで、腕時計のオーバーホールについて詳しく考えていきましょう。
腕時計のオーバーホールとは
まずは腕時計のオーバーホールとは何なのかをご紹介します。
オーバーホールとは
腕時計は小さな部品を緻密に組み合わせられることによって動作しています。正確に時間を刻むためには、それぞれのパーツが高い精度で噛み合っている必要があります。しかし、長期間にわたって動き続けることになりますので、摩耗や劣化が起こります。そこで必要なのがオーバーホールです。
オーバーホールとは、一度すべての部品を分解してしまい、再度組み立てを行うメンテナンスのことを指します。細かな部品をチェックして劣化が著しいものや破損したパーツなどを交換することによって、正常に腕時計が作動するように調整して、再度組み立てるという作業を行います。
機械式腕時計はシンプルな3針のものであっても100前後の細かなパーツによって構成されていることから、オーバーホールには高い技術が求められます。
オーバーホールを行わないとどうなる?
どんなに技術が進歩しても、機械である以上は必然的に劣化を避けることはできません。高級腕時計はより劣化しにくい材質を正確に加工して組み上げられていますが、部品同士が噛み合い、動作する中で摩耗は起こり、鉄粉なども発生することは避けられません。
そのため、オーバーホールを行わないと次第に劣化は進んでいきます。たった1つのパーツが破損しただけでも、正確に時間を刻むことができなくなってしまう可能性が十分にあります。また、その時点では正確に動いているように見えても、内部のバランスが崩れて他のパーツに負荷がかかり、結果として深刻な故障を引き起こす可能性もあります。
クオーツ式腕時計もオーバーホールは必要?
オーバーホールが必要なのはゼンマイを使用した機械式腕時計だけというイメージを抱いている方も多いかもしれません。しかし、クオーツ式腕時計も長期間にわたって使用することによって劣化は発生します。稼働部品が少ないデジタル腕時計も同様です。特に影響には寿命がありますので、長く使用したいのであればオーバーホールは必要です。
とはいえ、安価なクオーツ式腕時計の中には、オーバーホールが必要なほど長く使用されることを前提として設計されていないものもあります。この場合、ムーブメントをそのまま交換するという対応になることもありますし、そもそもオーバーホールに対応していないというケースもありますので、気になるのであればメーカーに問い合わせてみましょう。
今さら聞けないオーバーホールの素朴な疑問
続いてはオーバーホールに関してユーザーが抱きがちな疑問をピックアップしてご紹介します。
オーバーホールの頻度
機械式腕時計の場合、3〜4年程度を目安にオーバーホールを行うのが一般的です。メーカーによっては明確にオーバーホールの頻度が指定されているケースがありますので確認しておきましょう。
クオーツ式腕時計の場合は、電池交換のタイミングでオーバーホールを行うというケースもあります。
オーバーホールはどこに依頼する?
オーバーホールはメーカーや、専門の時計師のいる時計店、時計修理専門業者などで行うことができます。基本的にはメーカーに依頼すれば間違いありません。メーカー以外でオーバーホールを行った場合、防水性能などの保証がなくなってしまうケースもありますので注意が必要です。
しかし、古い腕時計などの場合はメーカーでの対応が難しいケースもあります。この場合、専門業者などに依頼する形になります。ただし、業者によって使えるパーツや時計師の技術にもバラつきがあります。そのため、大切な時計のオーバーホールを行う場合は、信頼できる時計店や業者を探すことが重要です。
オーバーホール費用の相場
オーバーホールの費用は腕時計のタイプや、どこに依頼するのかによっても異なります。安い場合は1万円前後からですが、高級腕時計メーカーなどになると5万円以上となるケースもあります。また、部品交換などが必要となる場合は、場合によっては追加料金が発生することもあります。メーカーや専門業者であれば、腕時計のタイプ別の基本料金や追加料金が定められていますので、事前に確認しておきましょう。
実際に作業を行う前に見積もりを出してくれる業者であれば、より安心して利用することができます。
まとめ
大切な腕時計を長く使い続けるためには、オーバーホールを定期的に行う必要があります。正常に動作しているように見えても、内部では劣化が進んでいるというケースも少なくありませんので、メンテナンスは絶対に欠かせません。オーバーホールを怠ることで、致命的な故障が引き起こされる可能性もありますので注意しましょう。