現在の家電はたくさんの便利な機能が備わっています。しかし、全ての機能を使いこなしているでしょうか。使わない機能が増えてくると、自分の好みの自分に最適化された家電があったらいいなぁと、つくづく思います。そのカスタマイズ家電ともいうべき分野に、パナソニックが名乗りを上げました。名前は「マイスペック」。9月上旬の発売です。どのようなものでしょうか?
IoTに力を入れるパナソニック
使う機能だけ!「カスタマイズ」できる白物家電
IoT家電は、2タイプに分けられます。今の状況をセンシングして、常にベストなコントロールを自動で行い、人の代わりに、一番良い働きをするモデル。先日ご紹介したパナソニックの炊飯ジャーのフラッグシップ「SR-VSX1」は、これに当たります。
もう一つは、「カスタマイズ」。買った後、自分の使いやすい様に、カスタマイズしてしまうのです。
白物家電は、IoT化される前から、ベストコントロールを追いかけてきました。そう考えると、IoT・
AI共に、その一手段だということができます。しかし、カスタマイズは別。ユーザーニーズの分だけ区分けすると、それでなくとも種類が多い白物家電の種類が、数倍、いや数十倍以上になるでしょうから、現実的ではありません。
しかし、機能が多くなり、使わない機能が増えてくると、自分の好みの、自分に最適化された家電があったらいいなぁと、つくづく思います。そのカスタマイズ家電ともいうべき分野に、パナソニックが名乗りを上げました。名前は「マイスペック」。9月上旬の発売です。どのようなものでしょうか?
9月発売の「マイスペック」とは
マイスペックを形作る3つの要素
マイスペックは、3つの要素から成り立ちます。
1つ目は、基本機能がしっかりした本体です。高温にならないオーブンは、使えないオーブンとされます。それは火力が足らないからです。変な機能より、もう20℃温度をあげられたらイイのに思うモデルは結構あります。標準以上の基本スペックを持った本体。それがないと、カスタマイズは始まりません。
2つ目は、同梱品はできる限り少なくする、です。例えば、今オーブンレンジを買うと、いろいろなものがついてきます。トレー、トレー用焼き網、焼き網、ピザプレート、蒸しプレートなどなど、棚に置くのに困るほどの同梱品も珍しくありません。俺は使わないんだけどなぁと思いながらも、万が一があるので捨てられないのです。プアな作りでもサイズが合っているのはとても使い勝手がイイので捨てられない。マイスペックにはそれ(使うか使わないかわからない同梱品)がない。ちょっと嬉しいです。
3つ目は、後でプログラム追加できることです。これ総合すると、スマートフォン(スマホ)です。スマホは、2人に同じスマホを買って渡しても、1ヶ月もすると全く違う様相を見せます。ケースが違う、入っているアプリが違う、入力方法が違う、アプリレイアウトが違うなどなど。本当に同じスマホと思ってしまうくらいです。そう、それがカスタマイズです。
パナソニックは、初回のマイスペックにオーブンレンジと炊飯ジャーをセレクトしました。キッチンで必要とされる大物家電は、冷蔵庫、炊飯器、オーブンレンジで、その中の2つです。
オーブンレンジ ビストロ NE-UBS5A
白色のモデルは、清潔感がありますが、それを際立たせているのがコンソールです。液晶パネルと操作ボタンしかありません。初めてスマホを見た時、シンプルすぎてどう使うのかわかりませんでした。そんな感じのデザインです。
基本機能は、レンジの「あたため」「解凍」。そしてオーブンの「80〜250℃で焼く」という機能。
同梱品は、オーブンで焼く時に必要となる角皿が一つ。実にシンプルです。メニューは、スマホで決めた後、転送します。自分が使うメニューだけが溜まる仕組みです。
角皿は、パン焼き、お菓子焼きにはイイのですが、オーブン機能を本格的に使うときは、グリル皿を購入します。これで「焼き物」「揚げ物」「トースト」ができる様になります。これでまた、メニューが増やせるわけです。自分が料理を作る度に賢くなるわけです。
IHジャー炊飯器 「ライス&クッカー」 SR-UNX101
こちらは、ちょっと使い方を考えてあります。ポイントは「クッカー(調理鍋)としても使えるところです。
まず、炊飯機能ですが、「SR-VSX1」と同じ「出来栄え、炊き分け」機能のアップデートができます。これもすごいことですが、こちらの魅力は、それに止まりません。
炊いたご飯を冷凍しておくことが前提になりますが、その間、電気鍋として使えることです。炊飯器は、温度コントロールはもちろん、火力も高く、密閉度も高く、吹きこぼれもしません。しかも、そのメニューは、スマホでセレクトできます。炊飯する時は鍋で作った料理を解凍します。
ちなみに、IHジャー炊飯器 「ライス&クッカー」 SR-UNX101は、「冷凍用ごはん」コース搭載が搭載されています。毎日料理を作るのは、この忙しい現代、すごいゼータク。それができないことを前提に設計されています。
最後に
冒頭、キッチン家電で必要な家電と書きましたが、この2つに冷蔵庫があれば、ガス台すら要りません。またテストしていませんので、最終結論は出せませんが、スペックから考えると並以上のレベルだと思います。私は、これを男女の区別なく、独身者に勧めたいです。狭い住まいでも、IoTをフル活用して、マイスタイルを確立できます。冷凍を上手く取り込んだ形で、自分に合った食生活を、自分が使いやすい家電で作ることも可能です。9月の発売が楽しみです。
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京歴史散歩とラーメンの食べ歩き。