テーブル周りで火力を使う料理は2種類。大きく「焼肉」系、そして「鍋物」系に分けられます。今まで、「焼肉」系=「ホットプレート」、「鍋物」系=電気鍋が支配的でした。しかし、テーブルの上で使うとなるとIHクッキングヒーターとそれに対応する器を使ってる人も多いでしょう。しかしIH対応と書かれていても、IHクッキングヒーターの取り扱い説明書には「IH対応でも使えない」と書いてあるのです。使用するのは自己責任。安全性や品質が保証されたものを使いたい場合は、IHクッキングヒーター製造販売の家電メーカーが扱っているアタッチメントがおすすめです。
IHクッキングヒーター対応の鍋・プレートの需要
最近は、テーブル周りの調理家電が元気です。その中に食卓用に設計されたIHクッキングコンロがあります。卓上で鍋物をするときのガスコンロに当たります。しかし、SDGsなど、今後を考えると、燃焼=二酸化炭素排出というガスの出番は、どんどん小さくなるのではないでしょうか?
しかし、ここは災害大国日本。数日でもガスを使った方がベターな時があるという声が聞こえてきます。しかしですね。そういう人に、貴方は日頃、災害ツールを揃えていますかと聞きたいです。かく言う私は、キャンプグッズ=災害対策用として、ディパックに詰めています。もちろんガスです。バッテリーでの熱物は電気を喰いますし、現時点では賢明とは言えません。カレーライスを作るにしても、40分程度のフルパワーが必要です。
私は自宅は電気、中華など火力を必要とするときだけガス。外はガスと分けています。元の話に戻りますが、テーブル周りで火力を使う料理は2種類です。大きく「焼肉」系、そして「鍋物」系に分けられます。今まで、「焼肉」系=「ホットプレート」、「鍋物」系=電気鍋が支配的でした。しかし、テーブルの上で使うとなると少々無骨ではないでしょうか?
そこは食器に近いプレート、食器に近い鍋で対応したいと思いませんか? 今回は、12月のパーティーシーズンを前に、IHクッキングヒーター製造販売の家電メーカーの扱っているアタッチメントを紹介します。
パナソニックは4種
まず、ホットプレートにもIHをいち早く持ち込んだ、パナソニックからです。4種類あります。
(1)卓上IH用てんぷら鍋 KZ-T1K
特殊な様にも感じられますが、天ぷら、揚げ物類は、揚げたてがすごーく美味しい。冷めると風味が格段に落ちます。となると、自宅で揚げて食べるのは、ありありでしょう。
(2)IHホットプレート(IH調理器)専用焼肉プレート KZ-AY10
重さ:3.1kgの情け容赦ないプレート。保温力もあり、美味しさが期待できる。ただ脂を下に落とす(水に落とす)、専門店的な工夫も欲しかった。
(3)IH調理器兼用 斡旋鍋 KZ-AN10
何にでも使える万能なべ。すき焼きなどはまだしも、寄せ鍋用としては少し風情がなさすぎるか。
(4)IH調理器兼用 たこ焼きプレート KZ-TK1
大阪、及びホームパーティーの必需品。千枚通し, 油引きも付属しており、何気にポイント高い。
アイリスオーヤマは3種類で対応。
アイリスオーヤマは鍋1種類、プレート2種で対応。ただし、径違い、色違いを揃え、実質的には、12種類。
IH対応鍋 20cm IHKP-P20(ブラック、ピンク、ブラウン)
土鍋。鉄プレート底に貼り付けることにより、発熱するようになっている。別サイズのタイプ「IH対応鍋 24cm IHKP-P24(ブラック、ピンク、ブラウン)」もある。
IH専用焼肉プレート IHKP-YP14(ブラック、ピンク、ブラウン)
常にホームセンター店頭を考慮したラインナップが特徴のアイリスオーヤマ。店頭を埋めやすい、色展開が秀逸。別タイプの「IH専用平面プレート IHKP-HP14(ブラック、ピンク、ブラウン)」もある。
品質責任とそのカテゴリーの盛り上がり方
テーブル周りの家電はメーカーにとっては、色々な考えが交錯します。と言うのは、テーブル周りは雑多なものがひしめく環境だからです。例えば、鍋。材質も、「土」「鉄 / ステンレス」「アルミ」と色々。ところが、IH対応は理論的には「鉄 / ステンレス」のみ。
ところが鍋メーカーの方から見ると、IHと言う新しいシステム、今後流行るであろうシステムに置いていかれるわけにはいかない。このため、底に鉄板を貼ったりして対応します。
しかし、ここで立ち塞がるのが品質保証、機能保証の壁。どんな対応しようとも効力を発揮しなければ無意味なのです。そしてトラブル(IHクッキングヒーターでエラーが表示されるなど)が起こった場合、価格の高い方にクレームが持ち込まれます。この場合は、鍋ではなく、IHクッキングヒーターを作るメーカー側です。そして、クレームは人でないと対応できません。つまり、コスト的に高いとされる人件費がかかるのです。
この対応策として、メーカーは取扱説明書に、細かな注意書きを入れます。IHの場合は、「IH対応を歌っていても土鍋は使えません。」と言う文言が掲載されることになります。
しかし、それを前面に出すと、IHクッキングヒーターは使いにくいとなります。大体、土鍋などは古くからあるもので、大体どの家庭にも一つ、二つあります。しかし、それが使えないとなると、景気がいい時は、新しい鍋を買ってとなるのですが、今のように未来が見えないと、とりあえず「ガスでいいか」となります。
SDGsが今後規範になることを考えると、「燃焼=CO2を出し、無駄になるエネルギーも多い」はNGですから、早かれ、遅かれ、ガスを使わない方向へシフトすると考えられます。
その時、今までこうだったからと言うのは、通用しません。家電メーカー、鍋メーカー、ユーザーが歩み寄る必要があります。
この時同時に考えなければならないのは、そのシステムをどう発展させていくかです。
パナソニックは、全部「鉄」系ですが、熱々の「揚げ物(天ぷら)」と言う提案をしてくれています。アイリスオーヤマは「土鍋」の底に鉄プレートを貼り付け、少なくとも自社のIHクッキングヒーターでトラブルのない「土鍋」を提案してきました。これらの様に、メーカーが、こんな感じなら認められますと言うお手本があると、活気付きますし、より勘所を心得た商品が増えてくると思います。
これ以外に、IHクッキングヒーターと鍋を同時に出しているのは、ティファール。西洋鍋屋ですから、土鍋はありませんし、全製品にIH対応は記載されています。
ティファールは、欧州メーカーですから置いておくとして、2社以外の日本の家電メーカーでIHクッキングコンロを出しているメーカーはもう少し対応に走ってもいいと思います。出しっぱなしじゃイマイチです。
最後に
伝統工芸と家電の新しい関係
ジャポニズムは未だに欧米でも人気。貴族階級の人の食器に有田焼などはしっかり含まれます。しかし、日本の焼き方は総じて、欧州で普及が高い食洗機対応していません。これは日本の職人の育て方が、先人のできたことをそっくり引き継ぐ形だったためだと考えられています。職人は一流の腕である一方、極めて頑固、人の話に耳を貸さないことが知られています。時々、人の話を聞いて成功する話もありますが、それは成功談。レアなだから話しとして語り継がれるわけです。
しかし、今は違います。グローバル化=均質化を求められます。ここでは、食洗機にかけられる有田焼はないかと言うことです。今、有田焼は、ドイツのミーレ社をパートナーとして、この課題に挑戦しています、具体的には、磁器に近い強度、剥がれない色絵など、難題がありますが、確実に成果を出しつつあります。
私は、IHの場合も同様のことが可能ではないかと思います。
日本が世界に誇れる「器」文化(土鍋)を次の世代に引き継がれるには、今や家電との親和性は頗る大事です。保証という防御策は確かに必要ですが、日本の強みを合体させ、世界により強い商材として提案はできないモノでしょうか?
◆多賀一晃(生活家電.com主宰)
企画とユーザーをつなぐ商品企画コンサルティング ポップ-アップ・プランニング・オフィス代表。また米・食味鑑定士の資格を所有。オーディオ・ビデオ関連の開発経験があり、理論的だけでなく、官能評価も得意。趣味は、東京散歩とラーメンの食べ歩き。