オーディオシステムのノイズ対策の1つとして挙げられるのが「接地」。つまり、大地アースだ。だが、実際に地面に穴を掘ってアース工事をしたりするのは簡単ではない。そこでブームになっているのが「仮想アース」。オーディオ機器よりも電位の安定したところ(仮想アース機器)につなぐことで、電荷が移動してバランスが取れ、システムが安定し、音がよくなるという仕組みだ。

本稿は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)の中から一部を編集・再構成して掲載しています。

電位が安定してノイズが減少し、音質が改善

安全のためにアースを取るのは、電子レンジなどの家電製品では常識だ。でも、オーディオ再生に、なぜアース対策が必要なのか。それは、大地にアース(接地)したり、コンポのボディどうしをアース線でつないだりすることで、電位が安定してノイズが減少し、音質改善につながるからだ。

オーディオ機器の電気回路のアース(グラウンドともいう)は、筐体に落としていることがほとんどだが、従来からオーディオファンが行ってきた「ボディアース」とは別に、最近ブームになっているのが、「仮想アース」というものなのだ。

仮想アースは、工事や電源も不要。オーディオ機器と1本のアース線でつなぐだけで、音のクオリティアップができるという手軽なアイテムである。10年ほど前に、スウェーデンのエントレックから登場したのが始まりで、国内メーカーも続々と参入して人気が高まっている。

小さな箱型のものが多く、中身は各社それぞれのノウハウがある。特殊配合の金属材料を用いたり、金属とスペーサーを交互に並べて多層にしたりなど、詳細は非公開だが、強力に電位を安定させる機能を持つ。音質傾向もさまざまなのが、オーディオファンの興味をそそる。

というわけで、機器の基準グラウンドを強化する助っ人が、仮想アース。簡単にいえば、オーディオ機器よりも電位の安定したところ(つまり、仮想アース機器)につなぐことで、電荷が移動してバランスが取れ、システムが安定し、音がよくなるという仕組みだ。

以降では、仮想アースの使い方や、どんな製品があるのかを解説していこう。

アースケーブルで機器どうしをつなぐ

オーディオシステムのノイズ対策の1つとして挙げられるのが「接地」。つまり、大地アースだ。だが、実際に地面に穴を掘ってアース工事をしたり、住宅に設けられたアース端子を活用したりするのは、そう簡単にできることではない。そこで、仮想アースが登場するわけだが、どうやって使うのだろうか?

仮想アースは、一般的には仮想アース機器本体に、接続用のアースケーブルが同梱されている。この仮想アース機器を、手持ちのアンプやプレーヤーなどのオーディオ機器とつなぐことによって、大地アースと同じような効果が得られるというもの。これが、仮想アースの基本だ。

実際の接続イメージは、下の図のとおり。実にシンプルなので、まずは覚えておいてほしい。接続に使うアースケーブルは、仮想アース機器に同梱されているものを使えばOKだが、中にはアースケーブルが付属しない製品もある。その場合は、単品売りのアースケーブルを購入しよう。オーディオ用で3000円程度(長さにもよる)から発売されている。

仮想アースの接続イメージ

画像: 仮想アースの接続イメージ

まず、仮想アース機器の端子にアースケーブルを接続しよう。ケーブルのもう片方は、アンプやプレーヤーなどオーディオ機器のアース端子につなぐ。この図のとおり、接続自体はシンプルで難しいことはない。アース端子がない場合でも、後述のような製品を利用すればRCA端子で代用が可能。

アース端子がなくても接続する方法がある

アース端子は、たいていはネジ式になっていて、アースケーブルの先端は、「Y」のような形をしている(「Yラグ端子」と呼ぶ)。接続するときは、アース端子のネジをゆるめてYラグを差し込んで、端子を回して固定するだけだ。

オーディオ機器側も同じように接続すればいいのだが、ご存じのように、アース端子が装備されている製品は少ない

例えば、レコードプレーヤーやフォノイコライザー、また、フォノ入力付きのアンプなどにはブーンというハム音やノイズ対策のためにアース端子が備わっているが、CDプレーヤーやフォノ入力のないアンプなどには基本的に搭載されていないので、そのままではアースケーブルをつなぐことができない。

そこで助っ人となるのが、「RCA端子に差せるアースケーブル」と「RCAの空き端子に差すキャップ型端子」だ。

前者は、アースケーブルの端末の片方がRCA型のプラグになっている。これなら、そのままRCA端子に差すことができる。

後者は、小さなキャップがネジ式になっていて、そのネジの部分にアースケーブルを差し込んで使用できるようにするもの。キャップ自体は、RCA端子にかぶせるように装着するだけと簡単だ。

いずれも、スムーズに接続できるようになって便利だ。なお、使用するRCA端子は、空いている端子なら、入力でも出力でもどこでもいい。

ちなみに、キャップ型の場合、それ自体の品質(素材など)がいいので、端子にはめるだけでも、ノイズの飛び込みや振動を抑える効果がある。これを、試さない手はないだろう。

RCA端子に差せるアースケーブルもある

画像: RCA端子に差せるアースケーブルもある

アースケーブルには「Yラグ-Yラグ」と「Yラグ-RCA」などのタイプがある。アース端子のないオーディオ機器に接続する場合は、RCA端子に差せるタイプを活用するといいだろう。

キャップ型端子をRCA端子にはめる方法もある

画像: キャップ型端子をRCA端子にはめる方法もある

こちらは、RCAの空き端子にキャップをはめるだけで、そこをアース端子にできるアイテム(写真左側)。オーディオ機器にアース端子が装備されていない場合でも、Yラグが装着できる。

各社から多彩に登場!注目の仮想アース製品をピックアップ!

ボックス型や円形、ボードタイプなど多彩

アース製品には、大別して、「電源を持たないパッシブタイプ」(仮想アース)と、「電源や回路を内蔵したアクティブタイプ」とがある。ほとんどが、接地や取り扱いの簡単な前者の仮想アースだ。

まず、外観がボックス型の製品から紹介すると、KOJOテクノロジーサエクは、金属ケース入りだ。本体内部に、それぞれ特殊金属や磁石、カーボンなどを内蔵しているのだが、その詳細は非公開。なお、KOJOは仮想アースを2台、3台と増設することができるのが特徴となっている。

アコースティックリバイブは、円形(円盤型)モデルだ。独自の天然鉱石を内部に収めて、低電位なアース環境を作り出す。

オーディオボードに仮想アース機能を持たせているのが、ティグロン。また、〝粉〟で仮想アースを自作するキット、KaNaDeのKonadeアース01は自作派の人にすすめたい。アラミド繊維、活性炭などイオンを吸着しやすい6種の原料を巧みに配合。粉入りの袋に水を入れ、固まるまで一晩待てば出来上がりだ。

接続に使うアースケーブルにも注目しよう。各社それぞれの技術を生かした力作ぞろいだ。仮想アース製品といろいろな組み合わせを試すと音の違いも楽しめ、仮想アースの世界が広がる。

最後に、アクティブタイプでは、SOCサウンドラボラトリーがおなじみ。オーディオ機器並みの価格だが、電子回路によってアースの基準値となる高精度な電圧を演算、発生させる装置だ。

KOJOテクノロジー
Crystal E

実売価格例:3万7840円(1台)/6万8200円(2台セット)

画像: KOJOテクノロジー Crystal E

●幅80㎜×高さ35㎜×奥行き111㎜
●775g
●専用アースケーブル1.2m×2本付属(RCAプラグ-Y端子×1本、Y端子-Y端子×1本)

RCAプラグ付きのケーブルが付属する
Force bar EPの後継で、従来の金属6層から8層構成へと拡張。各層が接触しないようスペースをあけて、アース効果を強化している。RCAプラグ付きのケーブルが付属するほか、増設用端子も装備。

サエク
SGS-042

実売価格例:19万8000円

画像: サエク SGS-042

●幅96㎜×高さ41㎜×奥行き115㎜
●760g
※ケーブル別売

マイナスイオンと銅素材でノイズを吸収
「グランドスタビライザー」と名乗る、サエクの高級機だ。鉱石からのマイナスイオンと銅素材のノイズ吸収により電位を安定化させる。アース端子が1個付いたシンプルな構成。

アコースティックリバイブ
RGC-24K

実売価格例:10万6480円

画像: アコースティックリバイブ RGC-24K

●直径88㎜×厚さ16㎜
●384g
●アースケーブル(長さ50㎝)、キャップ型端子付属

さまざまな天然鉱石を調合して内蔵
仮想アース装置の元祖、アコースティックリバイブの進化モデルだ。貴陽石やトルマリン、水晶など、さまざまな天然鉱石を調合して内蔵。オーディオ機器が発する有害な電界成分を低減する。

ティグロン
TMB-DR20E

実売価格例:3万7620円

画像: ティグロン TMB-DR20E

●幅470㎜×高さ20㎜×奥行き425㎜
●3.3㎏
●アースケーブル(長さ40㎝)付属

アース端子を装備したオーディオボード
ロシアンバーチ材とマグネシウムなどの3層構造に、アース端子を装備したオーディオボードだ。ケーブルは、長さ40センチの同社の「D-REN Earth」が付属する。

ゾノトーン
Grandio Earth-1

実売価格例:4万4000円(1m)~

画像1: ゾノトーン Grandio Earth-1

●長さ1.0m/1.5m/2.0m(Y-Y)
●外径8.0㎜

5種線材を黄金比でハイブリッドした
Grandioシリーズの最高峰アースケーブル。7NクラスCuを含む5種線材による黄金比ハイブリッドや、入念な構造をアースケーブルに取り入れたものだ。ケーブルのカラーは、ゾノトーンブルー。

ゾノトーン
ZET-R

実売価格例:4950円

画像2: ゾノトーン Grandio Earth-1

●外径12㎜
●アース端子部サイズ/軸径4㎜、最大開口幅2㎜

RCA端子に装着してアース端子化
Grandio Earth-1とペアで使えるRCA端子キャップだ。RCAの空き端子にかぶせるように装着すれば、アース端子化できるというスグレモノ。装着部はネジ式で、Yラグを接続可能だ。

aet
EVO-EW125NI/HIN-EW125NI

実売価格例:6270円(1.5m)~/5万160円(1.5m)~

画像: aet EVO-EW125NI/HIN-EW125NI

【EVO-EW125NI】
●端末:Y-Y/0.6m(受注品)、1.5m、3.0m、5.0m(受注品)
【HIN-EW125NI】
●端末:Y-Y/0.6m(受注品)、1.5m、3.0m、5.0m(受注品)、端末:バナナ端子ーY/1.5m(受注品)

アース用に国産高純度DF無酸素銅を採用
aetの入門向けモデルとトップモデルの2製品だ。EVO-EW125NIは、アース用に初めて国産高純度DF無酸素銅を採用。HIN-EW125NIは、これに加え、PVC導体と帯電防止材の2層構成が特徴だ。

アコースティックリバイブ
REW-1814/REW-2824

実売価格例:5万2800円(0.5m)~/9万6800円(0.5m)~

画像: アコースティックリバイブ REW-1814/REW-2824

【REW-1814】
●端末:Y-Y(標準)/0.5m、1.4m 
【REW-2824】
●端末:Y-Y(標準)/0.5m、1.4m ※端末変更可

アコリバ初となるアースケーブル2種
アコースティックリバイブ初のアースケーブルが2種登場。どちらも共振ピークを分散する楕円単線(PCトリプルC)だが、太さが異なる。絶縁材にもこだわり、テフロンやシルクを採用している。

KaNaDe
Konadeアース01

実売価格例:6000円

画像: KaNaDe Konadeアース01

●キット内容/6種類の粉末複合材料、純綿袋紐、OFC撚り線、綿テープ、化粧箱ほか

仮想アースが自作できるキット
インシュレーターのKaNaDeから、仮想アースの自作キットが登場。イオンを吸着しやすい6種類の原料を用い、Konadeアース粉末に水を加えて固めれば出来上がりだ。

SOCサウンドラボラトリー
ACE6 PLUS

実売価格例:24万2000円

画像: 本体+検出ボード

本体+検出ボード

画像: 背面

背面

高音質パーツを搭載したアクティブアースにも注目!
これは仮想アースではなく、正真正銘のアクティブアースで、オーディオグレードの検出回路や高音質パーツを搭載。手持ち機器のアース電位を大幅に下げるものだ。本体とアースケーブルを備えた木製の検出ボード、電源ケーブルのセットになっていて、オーディオ機器4台までのアース電源をまかなえる。床や畳への直置きが必須条件で、本体を乗せた状態で使う。

■解説/林正儀(AV評論家)

※情報は記事作成時のものです。
※この記事は『極上 大人のオーディオ大百科 2023』(マキノ出版)に掲載されています。



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