Androidスマホはハイレゾ対応が今や主流
ハイレゾ音源とは、CDを超える情報量を持つ高音質なデジタルデータの音源だ。ネットの一般的な音楽配信サイトでは、MP3やAACなどの圧縮ファイルで配信されているが、ハイレゾ音源の場合は、96kヘルツ/24ビットなどの豊かな情報量を持つファイルが、非圧縮のWAV形式やロスレス圧縮のFLAC形式などで配信されている。
こうした配信サイトは「ハイレゾ配信サイト」と呼ばれており、「e-onkyo music」や「mora」などのサービスで購入することができる(「mora」はハイレゾ音源とCD品質の圧縮音源の両方を配信)。
購入した音源は、WindowsやMacなどのパソコンでも再生できる。より高音質で楽しむため、USB DAC(据え置き/携帯型)のようなオーディオ機器も数多く発売されている。
ポータブルオーディオプレーヤーでも、ハイレゾ対応機器は多いが、実は、スマートフォンでも、ハイレゾ音源ファイルの再生が可能な場合が多い。特に、Androidスマホでは、最新モデルの多くがハイレゾ対応となっているので、アプリを追加する必要もなく、ハイレゾ再生が楽しめる。
また、スマホなら、直接ハイレゾ配信サイトにアクセスし、音源を購入/ダウンロードすることもできるので、パソコンを使わずにハイレゾ音源を楽しめるという利点もある。
注意したいのは、ハイレゾ音源はファイルの容量が大きいので、内蔵メモリーの容量を圧迫しやすいこと。ハイレゾ音源は自宅のNAS(LAN接続のHDD)などに保存するようにして、よく聴く曲だけをスマホに転送するといった使い方がおすすめだ。
以下では、ケース別にスマホでのハイレゾ音源の楽しみ方を紹介していこう。
(1)Androidスマホ+各社純正の音楽アプリでハイレゾ音源を聴く
前述したように、最新のAndroidスマホは最初からハイレゾ対応になっているモデルが多く、音源を用意すれば、ヘッドホンを使って手軽にハイレゾ音源を聴くことができる。
例えば、ソニーのXperiaでは、ハイレゾ対応の音楽アプリ「ミュージック」がプリインストールされている。サムスンのGalaxyも、メーカー側が用意している純正音楽アプリ(Music Player for Galaxy S9 Plus)でハイレゾ再生が可能だ。
●Xperia XZ2 Premium 画面は「ミュージック」
●Galaxy S9+ 画面は「Music Player for Galaxy S9 Plus」
(2)Androidスマホ+汎用のハイレゾ対応アプリでハイレゾ音源を聴く
Androidスマホを使っているが、端末にハイレゾ再生用の音楽アプリがインストールされていないという場合もあるだろう。でも、大丈夫! アプリストアからハイレゾ対応アプリを導入すれば、再生が可能になる。
ハイレゾ対応アプリには、ラディウスの「NePLAYER」(960円)、オンキヨーの「ONKYO HF Player」(無料)などがある。この無料版は、いくつかの機能が省略されるほか、広告表示付きとなるので注意。これらは、「Playストア」でアプリをダウンロードして、インストールするだけで使うことができる。
(3)AndroidスマホにポータブルUSB DACを追加してハイレゾ音源を聴く
スマホで、より高音質で楽しみたいなら、ポータブルUSB DACの追加がおすすめだ。これは、USB DACとヘッドホンアンプが一体化したもので、より高精度なD/A変換が可能。大出力アンプを内蔵しているため、音質的にもグレードアップできるのが強み。
気をつけたいのは、Androidスマホの中には、ハイレゾ音源のデジタル出力ができない機種もあること。この場合は、アナログ接続のポータブルヘッドホンアンプを組み合わせるのがおすすめだ。
ソニー
PHA-3
実売価格例:7万6520円
(4)iPhoneにポータブルUSB DACを接続してハイレゾ音源を楽しむ
iPhoneの場合、純正の音楽再生アプリ「ミュージック」は、ハイレゾ音源には対応していない。また、最新のiPhoneはヘッドホン出力端子を持っていないので、ハイレゾ音源の再生には、ハイレゾ対応の音楽再生アプリとポータブルUSB DACが必須となる。人気の高いiPhoneだが、ハイレゾの再生に関しては、Androidより不利なのだ。
とはいえ、iPhoneとデジタル接続が可能なポータブルUSB DACは、さまざまなメーカーから発売されているので心配はない。ここでは、Fiio・FIO-Q5-AM3Bが挙げよう。PCM最大384kヘルツ/32ビット、DSD最大11.2Mヘルツと、高スペックなハイレゾ音源に対応している。
ハイレゾ再生アプリは、Androidの項でも紹介したラディウスの「NePLAYER」、オンキヨーの「ONKYO HF Player」が、iOSにも対応している。
Fiio
FIO-Q5-AM3B
実売価格例:6万720円
解説/鳥居一豊(AVライター)
※価格は記事制作時のものです。