ソフトバンクは、9月6日に二つの新料金プランを開始した。「ウルトラギガモンスター+」と「ミニモンスター」がそれで、まずは新規契約や機種変更したユーザーが対象になる。既存のユーザーが端末購入や契約を伴わない形でプラン変更できるようになるのは、11月以降だ。ここでは、新料金プランの概要を見ていこう。
旧プランのウルトラギガモンスターと比べて料金は割安だが、端末割引はなし
ウルトラギガモンスター+」は、昨年導入された「ウルトラギガモンスター」とデータ容量は同じで50Gバイト。最大の違いは、「YouTube」「TVer」「AbemaTV」「GYAO!」といった動画サイトや、「Facebook」「LINE」「Instagram」などのSNSでの通信量が、カウントされなくなる点にある。ソフトバンクは「ウルトラギガモンスター」を“ほぼ使い放題”と訴求していたが、「ウルトラギガモンスター+」では、上記8サービスに限っては“ほぼ”がつかない使い放題になるというわけだ。
料金プランの金額も、「ウルトラギガモンスター」から変更になった。「ウルトラギガモンスター+」はいわゆる「分離プラン」と呼ばれる料金体系で、端末購入に伴って受けられる「月月割」が原則としてつかない。代わりに、料金プラン自体が「ウルトラギガモンスター」より引き下げられている。金額は通話定額の有無によって変わるが、通話が従量制の場合、8078円からが正価になる。端末を購入した場合、1年めが1080円割引になるほか、家族で契約すると2回線めから540円、最大2160円の割引を受けることも可能だ。元々のギガモンスターが9720円(通話は5分以内無制限)からだったことを考えると、部分的ではあるが値下げといえるだろう。
一方で、端末代の実質価格は上がってしまうことになる。月月割がつかないからだ。この負担感を解消するためのプログラムとして、「半額サポート」が用意されている。これは、端末を4年の分割払いで購入するもので、単純計算で1カ月あたりの支払いは、2年分割の半分になる。支払期間を倍に延ばしているので、ここはシンプルだ。
その一方、2年経っても半分の残債が残るため、これまでより機種変更しづらくなる。この解決策として、半額サポートでは購入した端末を下取りに出すことで、残債が免除される。ソフトバンクから転出し、他のキャリアと契約する場合などは手元に端末が残る半面、残債の支払いは必要になり、注意が必要だ。
ミニモンスターはライトユーザー向き
対する「ミニモンスター」は、使ったデータ量に応じて金額が変動する、段階制が特徴になる。ソフトバンクにはキャンペーンとして段階制の「おてがるプラン」が存在したが、「ミニモンスター」はそれを発展的に受け継いだプランになる。もともとの「おてがるプラン」は、1Gバイト、2Gバイト、3Gバイトの3段階で料金が設定されていたが、これを最大50Gバイトまで拡大。1Gバイト、2Gバイト、5Gバイトを超えるごとに料金が上がり、50Gバイトで通信速度に制限がかかる。料金はそれぞれ4298円、6458円、8078円、9158円で、「ウルトラギガモンスター+」と同様、1年めの1080円割引や、「みんな家族割」も利用できる。
また、「おてがるプラン」との違いは、選べる端末の種類にもある。同プランはドコモの「docomo with」と同様、選択できる端末の種類に制約があり、ミドルレンジモデルが中心だった。料金に「月月割」がつかないため、価格の安い端末代が中心に据えられていたというわけだ。これに対し、「ミニモンスター」は、原則としてソフトバンクが販売するすべての端末が対象になる。最新のiPhoneを使う場合も、「ミニモンスター」を選べるのはうれしい変化だ。
ただし、「ミニモンスター」は、あくまでデータ容量の少ないユーザー向けである点には、注意が必要になる。2Gバイトを超えると料金は8078円になり、「ウルトラギガモンスター+」と同額になってしまうからだ。同額であれば、容量が50Gバイトで動画やSNSの一部が使い放題な「ウルトラギガモンスター+」のほうがお得で、かつストレスなく利用できる。
さらに、5Gバイトを超えると料金は9158円になり、料金はあらかじめ「ウルトラギガモンスター+」を選んでいたときよりも割高になる。最初からデータを使わない人にはいいプランかもしれないが、変動が大きな人や、常にデータをたくさん使う人は「ウルトラギガモンスター+」にしておいたほうが安心できる。データ使用量が少ない人は、同じソフトバンクが運営するサブブランドのワイモバイルを選ぶのも一つの手といえるだろう。
解説/石野純也(ジャーナリスト)