日産は欧州ディーゼル市場から撤退、トヨタも次世代ディーゼルの共同開発のためにタッグを組んだいすゞと資本提携解消を発表。ディーゼルの未来は明るくないように感じる。しかし、トルクフルな特性や熱効率のよさは今でも健在で、「電動化シフト」を表明している欧州メーカーの多くも、次世代ディーゼルエンジンの開発を継続中だ。
超クリーンディーゼルエンジン
日産が欧州ディーゼル市場から撤退! ディーゼルエンジンの今後は?
ここ最近、世界的に風当たりが厳しいディーゼルエンジン。ただ、問題になっているのは旧式ユニットであり、最新のユニットは年々厳しくなる規制に対応しているので、まったく問題はない。特に、世界で最も厳しいといわれる日本のディーゼル規制をクリアしているユニットは、クリーンディーゼルを超えた「超クリーンディーゼル」といってもいい。
ただ、日産は欧州ディーゼル市場から撤退、トヨタも次世代ディーゼルの共同開発のためにタッグを組んだいすゞと資本提携解消を発表と、ディーゼルの未来は明るくないように感じる。
しかし、トルクフルな特性や熱効率のよさは今でも健在で、「電動化シフト」を表明している欧州メーカーの多くも、次世代ディーゼルエンジンの開発を継続中だ。また、「スカイアクティブ-D」を開発したマツダも、「ディーゼルエンジンはまだまだ進化できる」と語っている。
つまり、今後もディーゼルの火は消えることはない。筆者は、電動化パワートレーンとの組み合わせ(ディーゼルハイブリッド)が、今後は増えてくると予想している。
●マツダのスカイアクティブ-D
高効率ガソリンエンジン
実はまだまだ進化中! 今注目すべき次世代型ガソリンエンジンはこれだ!
内燃機関が登場してから100年以上が経つが、その実力を存分に発揮できているかというと、実はまだまだだ。内燃機関は、熱エネルギーを運動エネルギーに変換するデバイスだが、実際に仕事として取り出せているのは30%前後といわれている。
効率を上げるために、各メーカーではさまざまな技術革新が行われているが、直近では、マツダが発表した圧縮着火エンジン「スカイアクティブ-X」が、2019年に次期アクセラに搭載されるといわれている。
トヨタは、カムリに搭載されるダイナミックフォースエンジンが、世界トップレベルの熱効率40%を実現しているが、これにはWEC(世界耐久選手権)を戦うレーシングカーTS050の要素技術がフィードバックされている。ちなみに、TS050に搭載されるエンジンの熱効率は火力発電所と同等(60%前後)だ。
電動化に熱心な日産も、世界初となる可変圧縮エンジン「VCターボ」を実用化。日本ではあまり話題になっていないものの、各メーカーのエンジニアからの注目度は大きい。
このように、まだまだ内燃機関は進化の途上にあるといっていい。
●レースの要素技術を使うカムリ
解説/山本シンヤ(自動車研究家)