これまでにない機能を搭載したモデルや、さまざまな機能が一体になったモデルなど、特徴的なオーディオ製品が続々と登場している。注目モデルを集め、プロが辛口レビューする。テクニクスの「SL-1500C」は、入門クラスとなるレコードプレーヤーだ。
「今どきオーディオ」徹底辛口テストテクニクス SL-1500C
実売価格例:10万8000円
プロフィール
テクニクスでは入門クラスとなるプレーヤーだ。上位機で培われたコアレス・ダイレクトドライブ・モーターなどの技術を投入してクラスを超える高音質を実現。MMカートリッジやフォノイコライザーも同梱し、買ってすぐに聴けるハイCPモデルとして人気が高い。
出力端子は2種類を装備
出力をそのまま出すPHONO端子とフォノイコ経由で出すLINE端子があり、スイッチで選ぶ。
操作性オルトフォンのカートリッジ付属で、すぐ聴ける!
購入してすぐに聴けるレコードプレーヤーは、5万円前後というのが常識だが、本機は違う。アルミダイキャスト仕上げのシンプルで高級感のあるデザイン。同ブランドのお家芸ともいえるダイレクトドライブ(DD)方式の本格派である。価格は、税別で10万円ぴったり。いわばエントリーモデルの最高峰なのだ。
DD方式は、低速で安定的に回転するモーターが必要なため技術的には難しいのだが、そこはテクニクス。上位機譲りのコアレスDDモーターを採用し、正確な回転数を得ている。プラッターはアルミダイキャスト製で、重量は2キロ。レコードをピタッと受け止めるのも頼もしい。
S字のトーンアームが付いて、カートリッジはオルトフォンのMM型、2M Redが付属するのはうれしい。しかも、演奏が終わったらアームが上がるオートリフトアップ機能付き。内蔵のフォノイコライザーは、単体モデルほどのクオリティはないが、手軽に使うには十分だろう。
音質こもらず、抜けのいい現代的なサウンドだ!
聴いてみると、これぞ現代的レコードプレーヤーらしいサウンドだ。こもらず抜けがよく、すっきりワイドレンジ。低音域まで十分にエネルギーを保ち、帯域がしっかり伸びている。女性ボーカルはきめ細やか、かつ定位のいい立体的な再現で、オーケストラは力強く躍動する。明快でスピード感のある再現は、振動対策などの追い込みが効いていることを実感させる。
高価格モデルに比べると、さすがに重心の低さや空間スケールなどの点で物足りなさは残るのだが、そこは割り切ろう。ジャズ、ポップスその他、何をかけてもアナログ盤の特質を生かした高い水準で、明るく高解像度という、2M Redの特徴を引き出してくれる。針交換も簡単だし、先々カートリッジの違いも楽しめる。音質、デザイン、操作性、機能と、4拍子そろった買い得プレーヤーだ。
採点表
DDらしい明快でスピード感のあるサウンドは買い得
音質 | ★★★★★ |
---|---|
デザイン | ★★★★★ |
操作性 | ★★★★ |
機能性 | ★★★★ |
コメント
音質と外観はズバリ価格以上。ただし、テクニクスだけに、プレーヤーとしての一連の操作感に、もう一つ高級な手ごたえが欲しい。
※執筆時が2019年9月のため、製品の「実売価格例」は、消費税8%込みの額を表記しています。ご了承ください。
解説/林正儀(AV評論家)