スピーカーシステムとしてはシンプルな2ウエイ構成で、ツイーター、ウーハーはそれぞれ50ワットのデジタルアンプでマルチ駆動。国産ブランド、クリプトン製の小型アクティブスピーカー「KSシリーズ」の主力モデルとなっている。
「今どきオーディオ」徹底辛口テストクリプトンKS-55
実売価格例:9万9900円
プロフィール
国産ブランド、クリプトン製の小型アクティブスピーカー、KSシリーズの主力モデルだ。アルミ押し出しエンクロージャーや、デジタルクロスオーバーネットワークなど、自慢の技術を積極的に取り入れ、サイズを超えたパフォーマンスをアピールする。
ブルートゥースはaptX HDに対応
USB、光デジタル、アナログに加え、ブルートゥースは高音質なaptX HDに対応。
CD音質CDはS/N感のよさに加え、輪郭のにじみが少ない
スピーカーシステムとしてはシンプルな2ウエイ構成で、ツイーター、ウーハーはそれぞれ50ワットのデジタルアンプでマルチ駆動される。ツイーターは、高域特性に優れたリングダイアフラムタイプで、周波数特性は60kヘルツに達する。入力は、USB(192kヘルツ/24ビットまで)、光デジタル、ステレオミニの3系統。加えて、AAC/apt(アプト)X/aptX HDまでサポートしたブルートゥース接続が可能だ。
まず、CD(光デジタル接続)の音を確認したが、そのS/N感のよさ、質感の滑らかさに、システムとしての素性のよさが実感できる。加えて、輪郭のにじみが少なく、空間にしみ込むように広がる響きの質が高い。
デジタルアンプにありがちなカサつきやとげとげしさは皆無。ジャズトリオは活気に満ちて、ベースのリズムが気持ちよく弾む。女性ボーカルは艶っぽく、口元の動きが感じ取れるほど生々しい。
欲をいえば、これに体を揺さぶりかける低音が加わればとも思うが、それを63.5ミリ径のウーハーに望むのは酷というもの。ここは適度な音量で、明快な音の定位とトランジェントのよさを満喫するのが正しいと思う。
ワイヤレス音質アコースティックな響きが緻密で歌声はしなやか
パソコン経由(USB接続)のハイレゾ音源では、透き通るようなすがすがしい音調が特徴的で、響きが緻密だ。立ち上がりの素早さに加えて、余韻の広がり、遠近感をみごとなまでに描き出す。ライブ収録だったが、そのホールの広さをそのまま感じさせるような再現性はりっぱだ。
ブルートゥース(aptX HD)接続のサウンドでも、スピーカーとしての素性のよさはそのまま引き継がれる。音場の広がりはわずかにコンパクトになり、響きの厚みも後退するが、アコースティックな響きが緻密で、歌声はしなやか。リビングで楽しむサウンドとしては、十分満足のいくクオリティだった。
採点表
ハイレゾ音源は透き通るようなすがすがしい音調
音質(CD) | ★★★★ |
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音質(ハイレゾ) | ★★★★ |
操作性 | ★★★ |
機能性 | ★★★★ |
コメント
PCスピーカーとしてはやや高価だが、本体の作りは精巧で、剛性の高さが実感できる。それが、雑みのないサウンドに結びついている。
※執筆時が2019年9月のため、製品の「実売価格例」は、消費税8%込みの額を表記しています。ご了承ください。
解説/藤原陽祐(AV評論家)